2025年にフランスを旅する理由

インスピレーション

文化・遺産スポーツ・アクティビティ

Thomas Luppo / Jean-Pierre Delagarde / Corinne Dubreuil - FFT / Nicolas Bousser.
© Thomas Luppo / Jean-Pierre Delagarde / Corinne Dubreuil - FFT / Nicolas Bousser.

この記事は 0 分で読めます2025年6月10日に公開

フランスを訪れる理由は、実に千差万別。どの地域を訪れても、どの季節であっても、そしてどんな興味をお持ちでも、きっと心惹かれる体験が待っています。 そして2025年は、そんなフランスを旅する絶好の年。スポーツイベントに文化プログラム、歴史的建造物の再発見や記念イヤー、美食の旅や最新モードまで――フランスは今年も、訪れる人々を魅了し続けます。

遺産

パリのオペラ・ガルニエ
© Jean-Pierre Delagarde / Opéra National de Paris - パリのオペラ・ガルニエ

パリ ノートルダム大聖堂の再公開

Notre Dame, Paris, France

2019年4月15日の火災により、尖塔や屋根、木造の骨組みが焼失して以来、長らく閉鎖されていたパリのノートルダム大聖堂が、2024年12月に再公開されました。

この壮大な復元プロジェクトは、フランス各地の職人たちの手によって進められ、歴史ある建築美が見事によみがえりました。
ヴィオレ・ル・デュク(大聖堂の修復を担った19世紀の建築家)が手がけた高さ93メートルの尖塔も再建され、再びパリの街を見下ろしています。堂内にはかつてないほどの光が差し込み、荘厳な空間が訪れる人々を迎えています。

2025年は再公開後初の本格的な観光シーズン。多くの来訪者が見込まれることから、訪問の際は専用アプリを通じた事前予約がおすすめです。

パリ オペラ・ガルニエ開館150周年

Opéra Garnier, Place de l'Opéra, Paris, France

2025年1月5日、荘厳なオペラ・ガルニエが創建150周年を迎えました。これを記念し、2025年を通してコンサート、展覧会、トークイベント、特別出版物、テーマ別ガイドツアーなど、多彩なプログラムが展開されます。

シャルル・ガルニエが手がけたこの建築の傑作は、今日もオペラやバレエ、コンサート、リサイタルの上演で年間172もの公演を誇る、パリ芸術の象徴的な存在です。
その芸術的遺産と現在の舞台芸術における役割を讃えるこのアニバーサリー・イヤーは、ガルニエ宮の魅力を再発見する絶好の機会となるでしょう。

神秘的な雰囲気が漂うこの劇場は、公演を観ずとも見学だけで訪れる価値があります。豪華な内装や舞台裏の見学、そして"あの有名な"幻の登場人物に出会えるかもしれません…。

カーン 建都1000年

Caen, France

2025年、フランス・ノルマンディー地方の都市カーンは、建都1000年を迎えます
これを記念して、1年を通して多彩なイベントが開催される予定です。

3月20日:2年間の修復を終えたカーン城が再公開。そのオープニングセレモニーが行われます。
3月21日〜28日歴史週間が開催され、カーン城では没入型の体験型ショーがスタート。
6月27日〜29日:48隻もの帆船が港やノルマンディー岸壁に集結し、海と街の祝祭が繰り広げられます。
12月10日〜21日:街の中心部にて、光のアート作品が街を彩る特別なイルミネーションイベントが行われ、記念イヤーのフィナーレを飾ります。

カーンの歴史と今を華やかに照らす、特別な一年。ぜひこの節目の年に、カーンの街を訪れてみてはいかがでしょうか。

文化

エクス·アン·プロヴァンス セザンヌ 2025

Aix-en-Provence, France

セザンヌの街、エクス·アン·プロヴァンスで「セザンヌ2025」開催

2025年、南仏の町エクス·アン·プロヴァンスでは、画家ポール・セザンヌの芸術と遺産に再び光を当てる特別な一年が始まります。

ハイライトのひとつは、2025年6月28日から10月12日までグラネ美術館で開催される国際展「ジャズ・ド・ブファンのセザンヌ」。およそ100点にもおよぶ油彩、素描、水彩画を通して、セザンヌの世界観に迫る回顧展です。

この「セザンヌ2025」の年は、セザンヌが生涯愛した風景や場所を再発見する絶好の機会でもあります。
彼のかつての邸宅「ジャズ・ド・ブファン」や、今もそのまま残るアトリエ、そしてサント・ヴィクトワール山やビベムの採石場など、創作の源となった場所をたどる旅が、きっとあなたを芸術の深みへと導いてくれるでしょう。

パリ ポン・ヌフが“洞窟”に JRのインスタレーションが登場

Pont Neuf, Paris, France

2025年9月1日から30日まで、パリのポン・ヌフが、アーティストJRによって巨大な“洞窟”へと変貌を遂げます。このインスタレーションは、ポン・ヌフがクリスト&ジャンヌ・クロードによって包まれたあの伝説的なプロジェクトから40周年を迎えることへのオマージュです。

1985年、ポン・ヌフは41,800平方メートルの布に覆われ、13kmものロープで固定されるという壮大なスケールのアート作品となり、300万人もの人々がその姿を目にしました。

今回の記念事業では、JRがクリスト&ジャンヌ=クロード財団と連携し、《ポン・ヌフ プロジェクト(Projet Pont Neuf)》と題した没入型インスタレーションを展開。
日中も夜間も鑑賞可能で、巨大な岩のフォルムをもつ洞窟がセーヌ川の両岸を一時的につなぎます。

パリ カルティエ財団の新美術館

Fondation Cartier pour l'art contemporain, Boulevard Raspail, Paris, France

2024年10月に創立40周年を迎えたカルティエ財団現代美術館は、2025年末にパリ中心部1区のパレ・ロワイヤル広場2番地、建築家ジャン・ヌーヴェル設計の建物に移転します。 

一般公開を前に、カルティエ財団は、ジャン・ヌーヴェル、アニエス・ヴァルダ、北野武、パティ・スミス、といった、カルティエの歴史を通じて共に仕事をしてきたアーティストを称えるインスタレーションを開催します。

パリ グラン・パレ再オープン

2021年3月12日、グラン・パレは4年間にわたる大規模改修のため閉館しました。 2024年夏から段階的に公開が再開され、そしてついに2025年6月6日、全面リニューアルオープン。

これまで一般公開されていなかったエリアにも、初めて足を踏み入れることができます。

➡ グラン・パレ再オープン

パリ ポンピドゥーセンター「パリ・ノワール Paris noir」

Centre Pompidou, Paris, France

2025年3月19日から6月30日まで、ポンピドゥー・センターは1940年から2000年までのフランスの黒人アーティストにスポットライトを当てます。

パリ・ノワール」と題されたこの新しい大規模な展覧会では、アフリカからアメリカ大陸まで、50人のアフロ系アーティストの作品を展示。
2025年秋から5年間の休館を前に美術館を訪れる最後のチャンスです。

スポーツイベント

リヨン ユーロゲームズ・リヨン2025

Lyon, France

2025年7月23日から26日までリヨンで開催されるユーロゲームズ・リヨン2025は、スポーツにおける、そしてスポーツを通じたインクルージブ、ダイバーシティ(多様性)、環境責任に取り組んでいます。

このユニークで本質的な大会の課題は、さまざまな背景を持つ人々を集め、環境への影響を最小限に抑えることで、スポーツにおける差別と闘うための情報を提供し、意識を高めることです。

リール ツール・ド・フランスのグランデパール

Lille, Nord, France

夏のフランスを彩る一大イベント、ツール・ド・フランス。

グランデパールは、ツール史上5度目となる北フランスの中心都市・リール。
その後、アミアンを経由し、ノルマンディー地方へ。ルーアン、カーン、バイユーといった名所を巡ります。

ツール・ド・フランス

ブルターニュ ツール・ド・フランス・ファムのグランデパール

Vannes, France

2025年、ツール・ド・フランス・ファム第4回大会が7月26日(土)にブルターニュ地方でスタートします。
この第4回大会では、初めて9日間にわたるレースが行われ、大会の歴史においても大きな節目となります。

美食(ガストロノミー)・グルメ

リュエイユ・マルメゾン 宙に浮かぶビストロ

Rueil-Malmaison, France

2023年にTV番組『トップ・シェフ』に出演して以来、今もっとも注目を集める料理人、ダニー・ケザール Danny Khezzar。2025年2月、彼がパリ西部にユニークなレストランをオープンしました。
その名も「Monsieur Claude(ムッシュ・クロード)」。地上14メートルの高さに建ち、水のミストに包まれた幻想的な空間です。

このお店の名前は、スイス・ジュネーブの名店「Bayview by Michel Roth」の星付きシェフでもあるケザール氏が、SNSで実施した公募で決定したもの。彼が敬愛する祖父へのオマージュとして名づけられました。

この型破りなフレンチ・ビストロでは、フランスとスイスの食材を使った肩ひじ張らない料理が楽しめるほか、毎晩ライブも開催。
新しい“食”と“楽しみ”の形に、期待が高まります。

フェスティバル「Émulsion(エミュルジョン)」

Belle-Île-en-Mer, France

2025年6月7日・8日の2日間、ブルターニュ地方のベル・イル・アン・メール島(モルビアン県)で、第1回となる美食フェスティバル「Émulsion(エミュルジョン)」が開催されます。

島の豊かな海と大地の恵みにスポットを当てた、にぎやかで心温まる2日間。地元生産者によるマルシェや著名シェフによる料理、大勢で楽しむ屋外の大テーブル、さらに音楽ステージも予定されています。五感で味わう美味しさに、思わず「Miam (=おいしそう)!」と言いたくなるイベントです。

ファッション

パリ ルーヴル美術館「ルーヴル・クチュール」

Musée du Louvre, Paris, France

ルーブル美術館は、2025年1月24日から7月21日まで、史上初となるファッションに特化した展覧会「ルーブル クチュール "Louvre Couture. Objets d’art, objets de mode"」を開催します。

この象徴的なパリの美術館は、古典美術の至宝と、一流のクチュリエや有望な若手デザイナーたちの作品を並べて展示します。華やかさと文化が融合した歴史的な瞬間です。まさにパリ!

by Raymond Marie

観光と文化を専門とするジャーナリスト、マリーの密かな楽しみは「どこでも執筆すること」──ただし、オフィスは例外。 時代の空気や日々の移ろいの中に、彼女のインスピレーションの源があります。

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