この秋フランスで見ておきたい珠玉の展覧会

芸術の秋を楽しむ

文化・遺産

Africa Studio / Adobe Stock
© Africa Studio / Adobe Stock

この記事は 0 分で読めます2024年9月25日に公開

アート作品を前に心を揺さぶられ、感動に我を忘れ、素直な気持ちで世界に想いを馳せ、他者あるいは自然との結びつきを見つめ直す…。フランス各地の主要な美術館には、世界に名だたる芸術家の作品が展示されています。クロード・モネからフィンセント・ファン・ゴッホにアンドレ・マッソン、そしてピエール・ボナールに至るまで、珠玉の展覧会を選りすぐりました。どうぞ文化の泉を存分に満喫されてください。

「オリンピックの女性アスリートたち(Les Elles des Jeux)」 国立スポーツ博物館、ニース

Musée national du Sport
© Musée national du Sport

2023年11月8日から2024年9月22日。

彼女たちが競技において優勢を占めたとは言えないかもしれません。しかし国際スポーツの殿堂にその名を刻みつけたことは間違いありません。彼女たちとは、アリス・ミラ、クリスティーヌ・キャロン、マリー=ジョゼ・ペレック、ロール・マナドゥ、シモーヌ・ビルら女性アスリートたちのこと。彼女たちの競技者としてのパフォーマンスと献身的な働きかけにより、スポーツ分野における男女共同参画は進展してきたのです。今夏オリンピックのサッカー競技の試合が開催されたアリアンツ・リヴィエラ(Allianz Riviera)に併設される国際スポーツ博物館(Musée national du sport)ではパリ2024オリンピック・パラリンピック競技会に関連して女性スポーツ史に着目した展覧会を開催。本展は文化プログラム「カルチュラル・オリンピアード」に組み込まれています。

コートダージュル地方、ニースの国際スポーツ博物館を訪ねる

「星の王子さま(Le Petit Prince)」 「オランダ絵画の巨匠たち(Les maîtres hollandais)」 バッサン・デ・リュミエール、ボルドー

Culturespaces V. Pinson / Le Petit Prince Antoine de Saint-Exupéry
© Culturespaces V. Pinson / Le Petit Prince Antoine de Saint-Exupéry

2024年10月18日から12月31日。

この秋、ボルドーのデジタルアートセンター、バッサン・デ・リュミエール(Bassins des Lumières)が仕掛けるのは、わたしたち一人ひとりのなかに眠る子ども心を目覚めさせる没入体験型展覧会です。祝祭に彩られる年の瀬を前に、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの傑作『星の王子さま』の世界を訪ねる詩的な空想の旅に出かけましょう。
2024年2月16日から2025年1月5日。バッサン・デ・リュミエールが一年にわたる長期プログラムとして提案するのは、オランダ絵画の巨匠たちの偉業に迫る展示です。彼らの創作にインスピレーションを与えた大自然や主題。デジタルアートを介してそれらに間近で触れる没入体験をお楽しみください。フェルメールから、レンブラント、ヘンドリック・アーフェルカンプ、ヤン・ステーン、そしてゴッホに至るまで、巨匠たちの色彩と明暗がつくりだす魅惑の世界に引きこまれる展示です。デジタルアートセンターとして生まれ変わったボルドーの旧海軍潜水艦基地内を巡り、本展に通底する「光とそれが醸すムード描くこと」を体感されてください。目にも明らかな光、あるいは和らげられた光、その冷たさや晴れやかさが屋内空間の壁を彩り、わたしたちに内省や熟考をうながします。まるで魔法にかけられたような展覧会です。

ボルドーのバッサン・デ・リュミエールを訪ねる

「どうぞ触ってください! アートと素材(Prière de toucher ! L'Art et la matière)」 ナント美術館

Lyon MBA / Stéphane Degroisse
© Lyon MBA / Stéphane Degroisse

2024年2月23日から9月29日。

芸術作品に目で見て触れるだけではないとしたらどうでしょう?  2024年、ナント美術館(Musée d'arts de Nantes)は、フランス国内の6つの美術館と協力し、来場者が古代、近現代の彫刻の複製に手で触れて、それらを感じ、操ることができる世にも珍しい体験を提供します。目隠しをすれば、研ぎ澄まされた感覚にわくわくと胸躍ることでしょう。子どもたちも喜ぶこと請け合いの展覧会です。

ペイ・ド・ラ・ロワール地方のナント美術館を訪ねる

「アキレウスとトロイア戦争(Achille et la guerre de Troie)」 ローマ文化博物館、ニーム

Musée de la Romanité / Ville de Nîmes.
© Musée de la Romanité / Ville de Nîmes.

2024年4月26日から2025年1月5日。

あなたはトロイア戦争の英雄、アキレウスの物語をほんとうに知っていますか? 2024年、ニームのローマ文化博物館は、ギリシャ神話に登場するこの偉大な人物の誕生から死までの物語を没入型展示ツアーで辿ります。2010年の修復以来、初めて一般公開される、30m²の堂々たるモザイク画を含むコレクションをどうぞご堪能ください。

オクシタニー地方、ニームのローマ文化博物館を訪ねる

「永遠の女性(The Infinite Woman)」 ヴィラ・カルミニャック、ポルクロール島、地中海

Photo : JUDDartIN DEX / Œuvre de France-Lise McGurn, 2024.
© Photo : JUDDartIN DEX / Œuvre de France-Lise McGurn, 2024.

2024年4月27日から11月3日。

イエール諸島(Îles d’Hyères)の宝石、ポルクロール島(Île de Porquerolles)は、伝説によれば、海賊から逃れようとしたひとりの王女が岩に姿を変え島になったとされます。島内にあるヴィラ・カルミニャック(Villa Carmignac)では、女性の表象の世界へと潜り込む、アートの海への魅惑的なダイビングというべき展覧会を開催中。育む女、蜘蛛女、聖女、SF作品のキャラクター、欲望の対象…。本展のキュレーター、アロナ・パルドにより招聘されたバックグラウンドもさまざまな60人のアーティストが、古くから馴れ親しまれてきた神話に現代的な視点を注ぎ、問いを投げかけ、新たに解釈し直し、固定概念を壊します。

プロヴァンスとコートダジュールの間に位置する、ヴィラ・カルミニャックを訪ねる

「ボナールと日本(Bonnard et le Japon)」 オテル・ドゥ・コーモン、エクス=アン=プロヴァンス

Akg-images / Fine Art Images/ Heritage Images
© Akg-images / Fine Art Images/ Heritage Images

2024年5月3日から10月6日。

ピエール・ボナールが「日本贔屓のナビ派画家」とあだ名されたのには理由があります。しなやかな動きや対照的な色彩、唐草模様や様式化された要素、平面的な画面構成など、19世紀末、ボナールは徐々に日本美術の規範を取り入れるようになりました。その過程を明らかにすべく、オテル・ドゥ・コーモンでは、レスコヴィッチコレクションの浮世絵との比較を通してポスト印象派の画家ボナールを紹介する展覧会を開催中です。

プロヴァンス地方、エクス=アン=プロヴァンスのオテル・ドゥ・コーモンを訪ねる

「アメリカの時代の夜明け、1919-1944年(L’aube du siècle américain, 1919-1944)」 カン平和記念博物館

2024年5月8日から2025年1月5日。

ノルマンディー上陸作戦の兵士たちは何者だったのでしょう? 彼らはどんな社会で育ったのでしょう?  ジャズクラブから禁酒法、1929年の経済危機からニューディール政策、チャーリー・チャップリン、カリフォルニアのサーフカルチャー、ニューヨークの摩天楼に自動車などなど、D-デイとノルマンディーの戦いから80周年の節目にあたり、カン平和記念博物館では、権力と過剰、人種間の緊張の時代であった戦間期のアメリカへと来場者をいざなう展覧会を開催中です。

カン平和記念博物館を訪ねる

「ノルマンディーの写真(1840-1890): アートにおける先駆的な対話(Photographier en Normandie (1840-1890) : un dialogue pionnier entre les arts)」 アンドレ・マルロー近代美術館(MuMa)、ルアーヴル

 MuMa Le Havre
© MuMa Le Havre

2024年5月25日から9月22日。

印象派の画家たちのインスピレーションの源である土地ノルマンディー。その比類のない光、海辺の建築、のどかな田園地帯と沿岸の風景は、写真の発展にも大きな役割を果たしました。ルアーヴル(Le Havre)のアンドレ・マルロー近代美術館(Musée d’art moderne André Malraux)は、ノルマンディー印象派フェスティバルの一環として、絵画と写真、双方の傑作と知られざる作品の展示を通し、相互の影響に関心をいざなう展覧会を開催。

ノルマンディー地方、ルアーヴルのアンドレ・マルロー近代美術館を訪ねる

「ボナールとマチスの友情、マーグ財団60周年記念(Amitiés, Bonnard - Matisse pour les 60 ans de la Fondation Maeght)」 マーグ財団美術館、サン=ポール=ドゥ=ヴァンス

Collection Maeght
© Collection Maeght

2024年6月29日から10月6日。

40年を超える親友であったピエール・ボナールとアンリ・マティス。マティスが熱心にスケッチをしたコートダジュールで、この夏、ふたりが再会を果たします。マーグ財団(Fondation Maeght)はその設立60周年を記念し、近代画家の二大巨匠の作品が交差する展覧会を開催。彼らとマーグ家の間で結ばれた絆を(再)発見します。本展ではまた双方の共通点を明らかにすると共に、セルフポートレート、光、モデル、街の光景といった、共通の主題に対するそれぞれのアプローチにも着目します。

マーグ財団はまた、この晴れやかな機会に主要な所蔵作品を展示する新しいスペースを公開します。

コートダジュールのマーグ財団美術館を訪ねる

「色彩で見る時代(Voir le temps en couleurs)」 ポンピドゥー・センター・メス

Adagp, Paris, 2024 / Photo Dove Allouche
© Adagp, Paris, 2024 / Photo Dove Allouche

2024年7月13日から11月18日。

ポンピドゥー・センター・メス(Centre Pompidou-Metz)では、写真愛好家のための展覧会を11月まで開催中。300点を超える作品がお目見えする本展は、第八芸術に数えられる写真の歴史とその技術の発展をたどり、色彩の占める位置を明らかにするものです。アルベール・カーン美術館(Musée Albert Kahn)所蔵のオートクローム作品や、画家・写真家の[AM1] ギュスターヴ・ル・グレイ(Gustave Le Gray)による海辺の風景写真などをご覧いただけます。

ロレーヌ地方のポンピドゥー・センター・メスを訪ねる

 

「川の声、水を渡る(Les Voix des fleuves, Crossing the water)」 リヨン・ビエンナーレ

2024年9月21日から2025年1月5日。

2024年、人びとの熱い期待を集める文化イベントのひとつであるリヨン・ビエンナーレが帰ってきます。約4か月間にわたり、リヨン現代美術館(Musée d’Art Contemporain de Lyon)やリヨン美術館(Musée des Beaux-Arts de Lyon)の庭園、さらには、国鉄SNCFの旧整備工場から文化施設へと生まれ変わったグランド・ロコ (Grandes Locos) やリヨン国際美食館(Cité internationale de la Gastronomie)といった新たなスポットで、さまざまな展覧会やアートインスタレーションが開催されます。ローヌ川とソーヌ川の合流地点、リヨンの街に集う約60人のアーティストが、生きとし生けるものと環境とのつながりを探求します。

リヨン・ビエンナーレ2024のプログラムを見る

「亡命者たち、芸術家の眼差し(Exils, regards d’artistes)」 ルーヴル美術館ランス別館

Adagp, Paris / Centre Pompidou / MNAM-CCI, Dist. GrandPalaisRmn / Jacques Faujour.
© Adagp, Paris / Centre Pompidou / MNAM-CCI, Dist. GrandPalaisRmn / Jacques Faujour.

2024年9月25日から2025年1月20日。

ホメロスからジャック=ルイ・ダヴィッド、ヴィクトル・ユーゴー、ギュスターヴ・クールベを経てマルク・シャガールに至るまで、亡命は(あらゆる形で)美術史の初期から現代に至るまで、芸術家たちにインスピレーションを与えてきました。この秋、ルーヴル美術館ランス別館(Musée du Louvre-Lens)で開催中の展覧会は、絵画、彫刻、写真、文学作品など200点の作品を通して、亡命のさまざまな段階(出発、根絶、移住、歓迎など)と現代美術を含む芸術創造との密接な関係を探ります。

オー=ド=フランス地方、ルーヴル=ラン美術館を訪ねる

「目をとじて見てごらん(Pour voir, ferme les yeux)」 オリヴィエ・ドゥブレ現代創作センター、トゥール

2024年10月4日から2025年3月9日。

この秋、オリヴィエ・ドゥブレ現代創作センター(Centre de création contemporaine Olivier Debré)では、ポルトガル現代絵画の第一人者、アナ・ヴィディガル(Ana Vidigal)の世界を満喫する展覧会を開催します。最近の作品や未発表の作品が明らかにするのは、作家自身の幼少期、ポルトガルの現代史や民主主義への願い、個人や集団の記憶など、アーティストのお気に入り主題の数々です。

ヴァル・ド・ロワール地方のオリヴィエ・ドゥブレ現代創作センターを訪ねる

「ラファエロ・エクスペリエンス(Expérience Raphaël)」 リール宮殿美術館

GrandPalaisRmn (PBA, Lille) : Adrien Didierje.
© GrandPalaisRmn (PBA, Lille) : Adrien Didierje.

2024年10月18日から2025年2月17日。

リール宮殿美術館では、この秋、画家ラファエロの40点の素描を再発見する展覧会を開催。デジタル機器を駆使した展示は、イタリア・ルネッサンスの天才画家ラファエロの作品に浸る格好の機会です。バチカン宮殿のシニャトゥーラの間(ま)にある記念碑的なフレスコ画作品をデジタルアートでお楽しみください。

オー=ド=フランス地方、リール宮殿美術館を訪ねる

「パレード、フランス現代アートシーン(Parade, une scène française)」 モンペリエ・コンタンポランMoCo

2024年10月26日から2025年1月12日。

この秋、モンペリエ・コンタンポランMoCoがローラン・デュマ・コレクションを迎えた展覧会を開催。パリ国立高等美術学校の校長でありアーティストの庇護者、ローラン・デュマが支援する、アデル・アブデスメッド、ニナ・チャイルドレス、クレール・タブレといった現代芸術を代表する面々の作品が展示されます。本展は、特に絵画と造形の実践の観点から、フランスにおける過去 30 年間の芸術シーンの多様性と活力を示すものとなっています。

オクシタニー地方のモンペリエ・コンタンポランMoCoを訪ねる

「セン、コレクターそしてパトロン(Senn, collectionneurs et mécènes)」 アンドレ・マルロー近代美術館(MuMa)、ルアーヴル

Ludovic Maisant - Le Havre Etretat tourisme
© Ludovic Maisant - Le Havre Etretat tourisme

2024年11月16日から2025年2月16日。

クールベ、ドラクロワ、モネ、ピサロ、ドガ、クロス…この秋、偉大な印象派の画家たちが、ルアーヴルのアンドレ・マルロー近代美術館で人びとの熱い視線を集めます。芸術家の庇護者として名を馳せたオリヴィエ・センの孫娘、エレーヌ・セン=フールドがわずか20年前に遺贈した200点を超える作品は必見です。

ノルマンディー地方、ルアーブルのアンドレ・マルロー近代美術館を訪ねる

by France.fr Rédaction

France.fr編集部はフランスのトレンドや最新のニュースをお届けします。

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