2025年にフランスで楽しみたい、見逃せない美術展

心が動く、アートとの出会いを。

文化・遺産

Africa Studio / Adobe Stock
© Africa Studio / Adobe Stock

この記事は 0 分で読めます2024年9月25日に公開, 2025年4月4日に更新

作品に心を動かされ、遠くへと想いを馳せる。 今の世界について真っ直ぐに向き合い、人とのつながりや自然との関係を見つめ直す──。 フランス各地の主要な美術館では、世界中のアーティストたちによる作品が来場者を迎えてくれます。モネ、ドラクロワ、セザンヌ…巨匠たちの名作に出会いながら、心ゆくまでアート鑑賞を楽しんでみませんか? 厳選されたおすすめ展覧会情報をお届けします。

『モネ:印象・日の出』展 カリエール・ド・ルミエール-レ・ボー・ド・プロヴァンス

Carrières des Lumières, Route de Maillane, Les Baux-de-Provence, France

クロード・モネ《睡蓮》1914〜1917年 油彩・カンヴァス|130 × 150 cm パリ、マルモッタン・モネ美術館所蔵
© akg-images - クロード・モネ《睡蓮》1914〜1917年 油彩・カンヴァス|130 × 150 cm パリ、マルモッタン・モネ美術館所蔵

📅 2025年1月31日〜2026年1月4日

印象派誕生150周年を記念した祝祭は、2025年もプロヴァンスの中心で続きます。レ・ボー・ド・プロヴァンスにあるデジタルアート施設「カリエール・ド・ルミエール Carrières des Lumières」では、印象派の巨匠クロード・モネに捧げる没入型展覧会《モネ:印象・日の出》が開催されます。

パリの駅舎、ノルマンディーの海岸、セーヌ川沿い、そしてジヴェルニーの庭──モネが愛した風景が、石壁いっぱいに映し出され、まるで絵画の中に入り込んだかのような体験が広がります。光の変化を見事に描き出した彼の傑作の数々を、新たな角度から再発見できる展覧会です。

また、同会場では第二のデジタル作品として、素朴派の代表アンリ・ルソーに捧げる《税関吏ルソー 夢の国へ》も上映。幻想的な世界へと誘う、心あたたまるオマージュとなっています。

プロヴァンスの岩壁を舞台にしたアートの旅を、ぜひ体感してみてください。

カリエール・ド・ルミエール

『終わりのその先へ──もうひとつの未来を描く地図』ポンピドゥー・センター・メッス

Centre Pompidou-Metz, Parvis des Droits de l'Homme, Metz, France

無題 1993年
© Belkis Ayón - 無題 1993年

📅 2025年1月25日〜9月1日

ロレーヌ地方・メッスにあるポンピドゥー・センター・メッスでは、植民地主義の歴史を新たな視点で捉え直すことをテーマとした展覧会が開催されます。

本展では、アフリカ、アメリカ、中東などにルーツを持つディアスポラ系アーティスト約40名による多様な作品が紹介され、過去と現在、そして未来を問い直すアートの対話が展開されます。

これまで語られてこなかった記憶や視点に光を当てる、深く示唆に富んだ展覧会。歴史やアイデンティティに関心のある方に、ぜひ訪れていただきたい企画です。

➡ ポンピドゥー・センター・メッス

『ジャ・ド・ブファンのセザンヌ』 グラネ美術館-エクス・アン・プロヴァンス

Musée Granet, Place Saint-Jean de Malte, Aix-en-Provence, France

ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1890年〜1895年頃 油彩・カンヴァス|47 × 56.5 cm パリ、オルセー美術館所蔵(1911年 イサーク・ド・カモンド伯爵遺贈)
© Musée d’Orsay, Dist. RMN-Grand Palais / Patrice Schmidt - ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1890年〜1895年頃 油彩・カンヴァス|47 × 56.5 cm パリ、オルセー美術館所蔵(1911年 イサーク・ド・カモンド伯爵遺贈)

📅 2025年6月28日〜10月12日

エクス=アン=プロヴァンスゆかりの画家ポール・セザンヌを讃える企画「セザンヌ2025」の一環として、グラネ美術館では国際的規模の回顧展《ジャ・ド・ブファンのセザンヌ》が開催されます。

“モダニズムの父”とも称されるセザンヌが、1860年から1899年にかけて家族の邸宅ジャ・ド・ブファンで描いた絵画や素描に焦点を当てた本展では、国内外の主要美術館からの貴重な貸出作品が集結。代表作《カード遊びをする人々》も出展される予定です。

セザンヌ芸術の原点をたどる特別な展覧会を、ぜひ南仏エクス・アン・プロヴァンスのグラネ美術館でご体感ください。

グラネ美術館

『ファラオのエジプト』&『オリエンタリストたち』バッサン・デ・リュミエール ー ボルドー

Bassins des Lumières, Impasse Brown de Colstoun, Bordeaux, France

ヴァンサン・パンソン ボルドー「バッサン・デ・リュミエール」
© Culturespaces - ヴァンサン・パンソン ボルドー「バッサン・デ・リュミエール」

📅 2025年2月21日~

2025年、ボルドーのデジタルアートセンター「バッサン・デ・リュミエール Bassins des Lumières 」では、色彩豊かな古代エジプトの世界へと没入する新たな映像展が登場します。

ルクソールやアブ・シンベルの神殿、ツタンカーメンやネフェルタリの墓、ファラオたちの巨大な彫像、そしてピラミッド──。圧巻の映像と音響で、古代エジプト文明の壮麗な景観と建築の魅力が、施設の壁面に次々と浮かび上がります。

同時開催されるもうひとつの没入型展覧会は、19世紀の「オリエンタリスト(東方趣味の画家たち)」の作品に着想を得たもの。ドラクロワをはじめ、アングル、ジェローム、コンスタンといった画家たちのアトリエを訪ねるように、東洋の街路やパティオ patios、スーク souks (市場)、砂漠、野生動物との出会いを映像で旅していきます。

クライマックスでは、アングルの代表作《グランド・オダリスク》が壮大に映し出され、幻想的な異国世界に浸るひとときを演出します。

ボルドーのバッサン・デ・リュミエールで、アートと歴史が交差する非日常の体験をぜひお楽しみください。

Bassins des Lumières 

「さあ、舞台へ!ピエロ、道化師、旅芸人たち」展 欧州・地中海文明博物館(MuCEM)-マルセイユ

Mucem - Musée des civilisations de l'Europe et de la Méditerranée, Esplanade J4, Marseille, France

フェルナン・レジェ《赤い背景の大パレード》1953年 油彩/カンヴァス -国立フェルナン・レジェ美術館所蔵
© Adagp, Paris, 2024 ; photo © Grand-Palais RMN (musée Fernand Léger) / Stéphane Maréchalle. - フェルナン・レジェ《赤い背景の大パレード》1953年 油彩/カンヴァス -国立フェルナン・レジェ美術館所蔵

📅 2024年12月4日〜2025年5月12日

演出家マシャ・マケイエフ  Macha Makeïeff が手がける本展では、ピエロや道化師、旅芸人たちが織りなす幻想的な“舞台”を演出。
ニキ・ド・サンファル Niki de Saint Phalle のアクロバット作品や、ロシア・バレエをはじめ、ミケル・バルセロ Miquel Barceló 、イングマール・ベルイマン Ingmar Bergman、ロベール・ブレッソン Robert Bresson、クロード・カーン Claude Cahun、マルク・シャガール Marc Chagall、チャップリン Charlie Chaplin、コレット Colette といった名だたる芸術家たちの作品が一堂に会します。

オルセー美術館、ポンピドゥー・センター、ピカソ美術館からの貴重な貸出作品も見どころのひとつ。

プロヴァンス地方、マルセイユのMucemで、遊び心と芸術が交差する豊かな時間をぜひ体験してみてください。

欧州・地中海文明博物館(MuCEM)

「ジュリー・マネといとこたち―女性たちの創造の自由」展 フランシスケーヌ美術館-ドーヴィル

Les Franciscaines, Avenue de la République, Deauville, France

ポール・ゴビヤール《ポール・ヴァレリー夫人と息子クロード》 1910年頃|油彩・カンヴァス 所蔵:パリ市立プティ・パレ美術館(パリ市立美術館)
© Paris Musées / Petit Palais, musée des Beaux-Arts de la Ville de Paris - ポール・ゴビヤール《ポール・ヴァレリー夫人と息子クロード》 1910年頃|油彩・カンヴァス 所蔵:パリ市立プティ・パレ美術館(パリ市立美術館)

📅 2025年1月25日〜5月11日

マネ一族の中でもあまり知られていない3人の女性たち――エドゥアール・マネの姪ジュリー・マネットと、そのいとこであるジャニー&ポール・ゴビヤール姉妹。共に芸術に情熱を注ぎ、同じアパルトマンで暮らした彼女たちの作品に光を当てる展覧会が、ノルマンディー・ドーヴィルのフランシスケーヌ美術館で開催されます。

マラルメ Mallarmé、ルノワール、ドガといった芸術家たちにインスピレーションを受けた彼女たちの絵画、水彩、写真作品が一堂に。静かに燃える創造の自由と、女性芸術家としての感性を感じられる貴重な機会です。

ノルマンディーの海辺の街、ドーヴィルで、知られざる芸術の物語を訪ねてみませんか?

フランシスケーヌ美術館

『過去のこだま、未来への約束』 リヨン現代美術館

Musée d'Art Contemporain de Lyon, Cité Internationale, Quai Charles de Gaulle, Lyon, France

Wang & Söderström, Rehousing Technosphere, 2022
© Wang & Söderström, Rehousing Technosphere, 2022

📅 2025年3月7日〜7月13日

リヨン現代美術館では、新たな展覧会『過去のこだま、未来への約束』を通じて、テクノロジーと自然の共生というテーマに光を当てます。

絶滅した、あるいは今や稀少となった植物種の記憶をよみがえらせることで、人間が自然をより深く理解し、守っていく可能性を探ります。

展示では、絵画、彫刻、インスタレーション、さらにはVR体験など多様な作品が並びます。約15人のアーティストが描き出す未来の物語からは、人間と自然が共に生きるための新たなビジョンが垣間見えるはずです。

回復力と脆さをあわせ持つ自然とどう向き合っていくか──今を生きる私たちに問いかける、詩的で力強い展覧会です。

リヨン現代美術館

「未知を感じる ― アート&サイエンス・シーズン」 MOCO-モンペリエ

MO.CO., Rue de la République, Montpellier, France

ベルダゲール&ペジュ《ヒステリック・スカルプチャー》2017年 アーティストと個人コレクションより  H・R・ギーガー《『エイリアン3』のためのスケッチ》1990年 《パサージュ》1971年 所蔵:H・R・ギーガー美術館(グリュイエール)
© Adagp, Paris, 2025. © H.R. Giger. Photo : Marc Dommage - ベルダゲール&ペジュ《ヒステリック・スカルプチャー》2017年 アーティストと個人コレクションより H・R・ギーガー《『エイリアン3』のためのスケッチ》1990年 《パサージュ》1971年 所蔵:H・R・ギーガー美術館(グリュイエール)

📅 2025年2月15日〜5月18日

芸術と科学のあいだに、どのようなつながりがあるのでしょうか?
モンペリエのMO.COでは、この問いに対するひとつの答えを探るべく、時代や素材、分野を越えた約100点の現代アート作品を紹介する展覧会が開催されます。

たとえばモルガン・クルトワは、製薬のプロセスを転用し、香りのする液体で覆われた彫刻作品によって身近な人々の肖像を表現。科学的手法と芸術的感性が融合する、感覚に訴えるインスタレーションが注目を集めます。

アートとサイエンスが交錯する刺激的な世界を、モンペリエのMO.COでぜひ体感してみてください。

➡ MO.CO

『Electric Op ― オプ・アートからデジタルアートへ』 ナント美術館

Musée d’arts de Nantes, Rue Georges Clemenceau, Nantes, France

ヴィクトル・ヴァザルリ(1906–1997)《Alom》1968年 厚紙にシルクスクリーン印刷、合板に貼付 201.8 × 201.8 × 5.2 cm ナント美術館所蔵
© Photo RMN - Gérard Blot © Adagp, Paris, 2025 - ヴィクトル・ヴァザルリ(1906–1997)《Alom》1968年 厚紙にシルクスクリーン印刷、合板に貼付 201.8 × 201.8 × 5.2 cm ナント美術館所蔵

📅 2025年4月4日〜8月31日

2025年、ロワール地方のナント美術館では、オプ・アート(視覚芸術)とビデオアート、コンピュータを用いたデジタルアートとの関係性を探る展覧会《Electric Op》が開催されます。

理論的・造形的な視点の両面から、1960年代から現代に至るまでの作品を紹介。アメリカ・ニューヨーク州バッファローのアルブライト=ノックス美術館とのパートナーシップにより実現した本展では、モダンアートと現代アートが交錯する空間が広がります。

動き、錯覚、光、そしてアルゴリズム──アートとテクノロジーの交差点に立つこの展示で、視覚の不思議と進化の軌跡を体感してみてください。

ナント美術館

by France.fr編集部

France.fr編集部はフランスのトレンドや最新のニュースをお届けします。

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