さあ、春のフランスへ出かけましょう! やわらかな日差しの下、テラスで過ごすひととき、公園や庭園を彩る満開の花々、そしてのんびり歩く海辺や田舎道…。 この季節ならではの大規模な展覧会やフェスティバルも楽しめます。 夏のにぎわいが始まる前の静かなフランスで、心と五感をリフレッシュしませんか?
ゆったりと春の気候を満喫しましょう

ブルターニュからコート・ダジュール、ノルマンディーからバスク地方、ソンム湾 Baie de Somme 、コルシカ島まで。
さらにプロヴァンスのカランクや、アルカション湾のピラ砂丘――フランスには、心ひかれる海辺の風景が各地に広がっています。
大西洋から地中海へと続く海岸線には、趣のある小さな港、どこまでも続く砂浜、入り江の静かな風景が点在し、それぞれに異なる表情を見せてくれます。
春の海辺には、夏のような賑わいはまだありません。視界いっぱいに広がる景色を独り占めしながら、海沿いの小径を歩いたり、少し贅沢なピクニックを楽しんだり――そんな穏やかな時間が流れます。
そしてこの季節は、街歩きもまた格別です。パリの大通りやセーヌ河岸、マルセイユの旧港、リヨン旧市街の路地やトラブール。歴史ある街並みをめぐる時間も、どこかゆったりと感じられます。
やわらかな空気のなかで、急がず、気の向くままに。そんな春のフランスを、味わってみませんか。
自然の目覚めに立ち会う
春の訪れに心が弾み、体を動かしたくなる季節。そんな時こそ、フランスの自然へ。
全土に広がる約2万2,800kmのサイクリングルートやグリーンウェイ(自転車・歩行者専用ルート)、3,000以上のサイクリングコース、11の国立公園、54の地方自然公園、そして18万kmにおよぶハイキングコースが、気ままな寄り道の旅へと誘います。
歩いても、自転車でも、馬でも、水辺でも――思い思いのスタイルで楽しめるのも、この季節ならでは。
アルプスやピレネーでは、シャモアやマーモットがひょっこり姿を見せ、オーヴェルニュでは、スイセンが咲く草原のなかに穏やかな火山の風景が広がります。森に足を踏み入れれば、野生のヒヤシンスの香りに包まれ、アルザスやブルゴーニュ、ブルターニュでは、花に彩られた運河をゆったりと進む時間も楽しめます。
心地よい春風を感じながら、自然の中でリフレッシュする旅へ出かけませんか?
旬の食材を味わう

やわらかなグリーンピースに、香り豊かなアスパラガス。新じゃがや春にんじん、そら豆、シャキッとしたラディッシュ、みずみずしいサラダ――。春になると、畑はまさに旬の恵みであふれます。
冬のこっくりとした料理から一転、この季節は軽やかな“グリーン”が主役。市場には、色とりどりの野菜や食材がずらりと並び、歩くだけでも心が弾みます。
ブルターニュのレンヌ「リス広場」、リールのワズム地区 quartier de Wazemmes、ペリゴールのサルラ Sarlat、ニースのサレヤ広場、オクシタニー地方ナルボンヌのマルシェ――。各地の市場を訪れれば、その土地ならではの豊かさに出会えます。
フランスでは、どの地域でも食を大切にし、旬の食材を活かした料理を囲むひとときが、暮らしの一部となっています。近年は、生産者との距離が近い“地産地消”のスタイルを取り入れるレストランやシェフも増え、季節のリズムに寄り添った料理が注目を集めています。
たとえば、シャンボール城のほど近くにあるレストラン「フルール・ド・ロワール Fleur de Loire」。広大な菜園で育てられる野菜や、50種類ものアスパラガスを使った料理は、春の訪れをそのまま味わうような一皿です。
パリと地方の公園と庭園を訪ね歩く

街のあちこちに小さな広場があり、優雅でロマンティックな庭園が広がるパリ。ブローニュの森やヴァンセンヌの森をはじめ、400以上の公園や庭園を有する、ヨーロッパでも有数の緑豊かな都市です。
春になると、新緑が芽吹き、街歩きや美術館巡りの合間にほっとひと息つける散策スポットがたくさんあります。もし一か所選ぶなら、ルーヴル美術館とコンコルド広場の間に広がるチュイルリー公園がおすすめ。春には花々が咲き誇り、毎年「ガーデン・ガーデン(Jardins, Jardin)」という華やかな庭園イベントも開催されます。
また、春はヴェルサイユ宮殿を訪れるのにも最適な季節。宮殿内の「王の菜園 Potager du Roi 」では、春の陽気の中、厳選された野菜や果物が美しく育ちます。
同じく、ノルマンディー地方のジヴェルニーへの小旅行もおすすめ。クロード・モネが愛した庭園は、色とりどりの花々と優しい香りに包まれ、まるで絵画の中に入り込んだような体験ができます。
さらに、4月になるとロワール渓谷の古城巡りが楽しみの絶頂を迎えます。シャンボール城、シュノンソー城、アゼ・ル・リド城、ヴィランドリー城など、歴史ある城とその庭園は、春の訪れとともに一層美しく輝きます。
パリとその周辺で、春の訪れを感じる贅沢なひとときを楽しんでみてはいかがでしょうか。
山の新鮮な空気でリフレッシュ

スキーを楽しむ人にとっては、まだ十分な雪が残り、陽ざしは明るく、日も長くなる絶好のシーズン。アルプスはもちろん、ピレネー、ヴォージュ、ジュラの各地のリゾートでは、コンサートや展覧会、食のイベント、農場体験、職人との出会いなど、多彩なプログラムが用意されています。料金もこの時期は比較的ゆるやかになり、4月から5月にかけての穏やかな気候とともに、気軽に楽しめるのも魅力です。
そして、誰にとっても心地よいのがこの季節の山の空気。テラスでゆっくり過ごす時間や、どこか初夏を思わせる開放的な雰囲気が広がります。雪の下から顔を出しはじめた草花や、かすかに漂う新緑の香り――季節が移ろう気配を、五感で感じられるひとときです。
冬と春がゆるやかに交差するこの時期は、スキーと自然体験のどちらも楽しめる特別な季節。ヴァル・トランスのような高地のリゾートでは、5月初旬までスキー場がオープンしているところもあります。
春のセルフメンテナンス旅—フランスで心と体をリフレッシュ

冬の重たい空気がやわらぎ、外へ出かけたくなる季節。眠っていた体と気持ちをやさしく目覚めさせるなら、フランスでのウェルネス滞在はいかがでしょうか。
約2,000kmにわたる海岸線には、最新設備を備えたタラソテラピー施設が点在し、春の海とともに心身を整えるひとときを提供しています。大西洋沿岸では、サン・マロ、キブロン、ラ・ボール、ポルニック、サン=ジャン=ド=リュズといった町々が、リフレッシュのための滞在先として人気。この時期は、料金が比較的穏やかなのも魅力です。
もう少し特別な時間を過ごしたいなら、ホテルスパへ。フランスには、上質なスパを備えた名だたるホテルがそろいます。パリだけでも、リッツ・クラブ&スパ Ritz Club &Spa, Sense 、オテル・ド・クリヨン Hôtel de Crillon 内のスパ、マンダリン オリエンタル Mandarin Oriental やフォーシーズンズ ジョルジュ V Four Seasons George V 、ルテシア Lutetia など、洗練された空間が選びきれないほど。
ボルドー近郊のブドウ畑に佇む「レ・スルス・ド・コーダリー」や、アルプスのクールシュヴェルといった自然に囲まれた滞在先でも、春の気配を感じながら心と体を整える時間が待っています。
テラス席で過ごす夜

春分の日、そして3月末のサマータイムへの切り替え。日がぐんと長くなり、春の訪れを実感する季節です。
そんな時期に楽しみたいのが、フランスならではの習慣。カフェやレストランのテラスに腰を下ろし、通りや広場のにぎわいを感じながら、やわらかな陽ざしや心地よい春の夕暮れをゆっくり味わう――そんなひとときが、日常の一部として根づいています。
さらにおすすめなのは、少し視点を上げてみること。ここ数年、パリをはじめ各地でルーフトップが次々と登場し、街を見渡す新しい楽しみ方が広がっています。
なかでも注目は、トゥール・デュオ最上階にあるTOOホテルのスカイバー。足元にパリの景色が広がるような開放感が魅力です。そして、サマリテーヌの屋上では、庭園のような空間からモンマルトル、ノートルダム大聖堂、ルーヴル、エッフェル塔まで、パリを一望することができます。
春のフランスで、アートとフェスを満喫!

フランスでは四季を通して文化の楽しみが広がりますが、なかでも春はフェスティバルが本格的に動き出す季節。毎年恒例の「プランタン・ド・ブルジュ」を皮切りに、各地で華やかなイベントが続きます。
ノルマンディーでは、満開のリンゴの花の下でジャズに耳を傾け、パリでは「We Love Green」がヴァンセンヌの森を舞台に開催。自然と音楽が心地よく重なり合うひとときが広がります。
そしてコート・ダジュールでは、「カンヌ国際映画祭」が世界の視線を集め、街全体が特別な空気に包まれます。
美術展も見逃せません。春のパリでは、注目の企画が目白押しです。
・アトリエ・デ・リュミエール「ルネサンス Renaissance」
・リュクサンブール美術館「Leonora Carrington」
・フォンダシオン ルイ・ヴィトン「バランスの夢 Calder. Rêver en Equilibre」
・オランジュリー美術館「アンリ・ルソー 絵画への情熱 Henri Rousseau, l’ambition de la peinture」
さらに、穏やかな気候のなかで楽しめるスポーツイベントも。パリの街を駆け抜けるパリ・マラソンや、世界中の注目を集める全仏オープン(ローラン・ギャロス)など、春ならではの活気にあふれています。
文化も、芸術も、スポーツも。フランスの春を、思いきり味わってみませんか。

by フィリアトル パスカル
旅行ジャーナリスト。未知なるフランスをご紹介します。 [email protected]








