モネをめぐる一年:2026年の印象派カレンダー

インスピレーション

パリノルマンディー文化・遺産自然&アウトドア・アクティビティ

クロード・モネ《草上の昼食》オルセー美術館蔵
© Photo © RMN - Grand Palais (musée d'Orsay) / Sylvie Chan-Liat  - クロード・モネ《草上の昼食》オルセー美術館蔵

この記事は 0 分で読めます2025年12月17日に公開

2026 年3 月より「印象派を巡る旅」の全域で、モネとその遺産を称える100 以上のイベントが開催されます。
大規模な展覧会では、彼がアカデミズム芸術と決別した初期の作品から、後に数多くの芸術家に影響を与えた連作に至るまで、画家の全時代に焦点を当てます。
特に、ノルマンディー印象派フェスティバルで発表される現代アート作品には、モネの強い影響が見られるでしょう。
他にも、ワークショップ、見学ツアー、散策、クルーズ、ハイキング、講演会、スペクタクル、ピクニックといった多彩なプログラムが展開され、没後100 年をさまざまな形で記念します。

2026年3月から「印象派を巡る旅」では、モネ没後100年を記念して、100以上のイベントが開催されます。
大規模な展覧会では、初期作品から連作《ルーアン大聖堂》、《積み藁》、《ポプラ並木》へ至るまで、モネの創作の歩みを紹介。
ノルマンディー印象派フェスティバルでは、モネに影響を受けた現代アートも発表されます。
ほかにもワークショップやツアー、散策、クルーズ、講演会など、多彩なプログラムでモネの遺産を称えます。

ノルマンディー 印象派フェスティバル  特別エディション

UNE ÉDITION SPÉCIALE DU FESTIVAL NORMANDIE IMPRESSIONNISTE


2026年はクロード・モネ没後100年。ノルマンディーでは、この節目の年を祝う大規模な「ノルマンディー印象派フェスティバル」が開催されます。
今回の特別エディションのテーマは 「庭」。ジヴェルニーのモネの庭を起点に、内と外、自然と人間など多様な視点を探るアート作品が登場します。

ルーアン、カーン、ル・アーヴル、オンフルールなどノルマンディー各地では、視覚芸術・音楽・映像・ダンスなど 60以上のイベントを展開。
日本からは中谷芙二子氏(霧の彫刻)と蜷川実花氏(ルーアン大聖堂ライトアップ)が参加し、モネへの特別なオマージュを捧げます。

ノルマンディー全域が“実現可能な庭”となり、自然と芸術を通じて新たな世界を描く、2026年ならではの特別なフェスティバルです。

 


 

モネと時間

MONET ET LE TEMPS
📅2026年9月29日~2027年1月25日
📍 パリ オランジュリー美術館

オランジュリー美術館では、モネ没後100年を記念し、モネが一生をかけて追求した「時間」との関係に焦点を当てた特別展を開催します。

1870年代以降、印象派を代表する画家とみなされてきたモネは、《積み藁》《ポプラ並木》《大聖堂》などの連作で、光や季節の変化を通して「時間の移ろい」を描くことに挑みました。
その探究の到達点が、晩年に取り組んだ 《睡蓮》の大壁画です。

今回の展覧会では、オルセー美術館やマルモッタン美術館などの名品を含む約40点を厳選。
異なる時期の作品を比較しながら、モネがどのように“時間”を視覚化し、そして《睡蓮》へと到達したのかを紹介します。

《睡蓮》の壁画群を擁するオランジュリー美術館で、モネ晩年の革新的な作品世界をたどる、きわめて特別な機会となる展覧会です。

(マルモッタン・モネ美術館およびパリ芸術アカデミー特別協力)


 

風景画の歴史、モネからホックニーまで(1890 年から2025 年)

Musée Marmottan Monet, Rue Louis Boilly, Paris, France

 HISTOIRES DU PAYSAGE DE MONET À HOCKNEY (1890 - 2025)
📅2026年9月24日~2027年1月31日
📍 パリ マルモッタン・モネ美術館

モネを称え、世界初となったモネコレクションを所蔵する同美術館では、1890年から現代までの風景画の芸術に焦点を当てた特別展を開催します。
19世紀の隆盛期から現代の再解釈まで風景画の変遷をたどる本展では、印象派の巨匠の作品を20世紀と21世紀の芸術家の作品と対比させながら紹介します。

Musée Marmottan Monet © Juliette JNSPC パリ、マルモッタン・モネ美術館


睡蓮の前にモネが見つけたジヴェルニー、 1883 年~ 1890 年

Musée des impressionnismes Giverny, Rue Claude Monet, Giverny, France

AVANT LES NYMPHÉAS. MONET DÉCOUVRE GIVERNY, 1883-1890
📅2026年3月27日~7月5日
📍 ジヴェルニー印象派美術館


本展では、モネがジヴェルニーで新しい環境を探求した、その基盤となる数年間に注目します。
ヒナゲシ、ポプラ、草原や丘、エプト川やセーヌ河の流れなど、画家は、雨や霧、太陽や雲によって形作られたその地形そのものに親しんでいきました。このたび集められた作品群は、制作の地であるジヴェルニーに帰還し、来場者を特別な体験へと誘います。
それは、展示室でモネの視点から描かれた風景を鑑賞し、その後、美術館の周辺を散策することで、今日の姿のままのその風景を実際に辿るというものです。

クロード・モネ《ひなげし畑(ジヴェルニー周辺)》部分、1885 年、オルセー美術館蔵(ルーアン美術館へ寄託中)


ル・アーヴルのモネ

musée d'art moderne André Malraux, Boulevard Clemenceau, Le Havre, France

MONET AU HAVRE
📅2026年6月5日~9月27日
📍 ル・アーヴル アンドレ・マルロー近代美術館(MuMa)

モネの若き日々に焦点を当てる前例のない展覧会となります。
対象となる期間は、家族がル・アーヴルに移住した1845 年からパリで第1 回印象派展が開催された1874 年までです。
本展のために集められる80 点の作品が、モネとその作品にとって決定的となった時期を紐解きます。印象派の先駆者であるブーダンやヨンキントの影響を受け、写真技術に強い関心を持っていたモネは、セーヌ河口で風刺画、静物画、モチーフのスケッチ、海景画の連作といった、最初の実験的な試みを行いました。
早くからノルマンディーのパトロンに支えられたモネは、定期的に滞在するパリで芸術的探求を続け、未来の印象派の画家と出会うことになります。

クロード・モネ《花咲く庭(サント=アドレス)》1866 年頃、
© RMN-Grand Palais (Musée d’ Orsay) / Hervé Lewandowski


泥土の記憶 ~ モネへのオマージュ

Musée Blanche Hoschedé-Monet, Vernon

MÉMOIRE DE LIMON - HOMMAGE À MONET
📅2026年5月16日〜12月5日
📍 ヴェルノン ブランシュ・オシュデ=モネ美術館

フランス現代アートの第一人者であるリオネル・サバテは、記憶を持つ有機素材を使って作品を制作しています。
モネ没後100 年を記念し、彼は睡蓮の池の浚渫(しゅんせつ)作業の際に回収された泥土を使うことにしました。
顔料として再生された泥土は、シルクスクリーンを通して物理的にモネの記憶とお気に入りのモチーフである池の記憶を伝えます。

 


全域で開催される厳選イベント

自然はただの背景ではない

Maison Caillebotte, Rue de Concy, Yerres, France

 LA NATURE N’EST PAS UN DÉCOR
📅2026年5月9日~10月18日
📍 イエール カイユボットの家

カイユボットの家の展示スペースでは、モネの作品に呼応する形で、7名の現代アーティストを招き、「風景」というテーマを再解釈します。


 

ベルト・モリゾの家

MAISON BERTHE MORISOT
📅2026年5月から
📍 ブージヴァル

この展覧会では、ベルト・モリゾ、クロード・モネ、ブランシュ・オシェデ・モネという3名の芸術家の作品を通して、「緑」「水面(波)」、そして「光」を響き合わせ、輝かしい三者の対話(トリローグ)を創り出します。


 

印象派の光フェスティバル

Hameau Fontaine, Isigny-sur-Mer, France

FESTIVAL LUMIÈRES IMPRESSIONNISTES
📅2026年9月10日~12日
📍 シャトゥー フルネーズ集落 

印象派の聖地であり、画家に大きなインスピレーションを与えてきたフルネーズ集落では、印象派の光フェスティバルが毎年開催されます。本年は、家族や友人と一緒に楽しめるよう、音と光のインスタレーション、舞台芸術、展覧会、イルミネーションを組み合わせた新たなナイトイベントで、モネの世界観にオマージュを捧げます。


 

パリ地方 セーヌ河沿い

SUR LES BORDS DE SEINE, EN ÎLE-DE-FRANCE
📅2026年4月~10月
📍 アルジャントゥイユ、シャトゥー、リュイユ・マルメゾン、ブージヴァル

セーヌ河沿いの都市の観光局は、モネとその遺産に目配せするアクティビティを提案します。 リュイユ・マルメゾンでは、展覧会、芸術や河川にちなんだアクティビティ、ガイドツアーが予定されています。
また、アルジャントゥイユ、シャトゥー、ブージヴァルでは、巨匠とその作品の足跡をたどる料理イベント、ガイドツアーやワークショップ、徒歩や自転車での散策、クルーズなどが開催されます。


 

クロード・モネが暮らしていたヴェトゥイユの家、オープン

Vétheuil, France

📅2026年春
📍 ヴェトゥイユ

モネ没後100 年を記念して、モネが1878年から1881年までヴェトゥイユで暮らした家が一般公開されます。
常設展示を通して、モネのキャリアを決定づけた時期と深く結びついたこの地での暮らしと、彼の着想源となった場所を発見し、モネの世界を追体験します。


 

ジヴェルニー周辺

📅2026年1月~12月
📍ジヴェルニー、ヴェルノン、ポーズ

ジヴェルニーとヴェルノン周辺の観光局を統合してできた「ヌーヴェル・ノルマンディー観光局」では、1月~3月、11月~12月にかけ、ジヴェルニーからヴェルノンまでのガイド付きハイキングツアー「印象・冬の陽 Impressions soleil d’ hiver」を打ち出します。
セーヌ河沿いの丘陵地帯を歩くこのツアーの特徴は、冬の落ち着いた雰囲気の中、特別な光と天気のもと、画家が愛した風景を再発見することです。
6 からはジヴェルニーを五感で楽しむツアー、セーヌ河クルーズと芸術散策が、100 周年記念イベントに加わります。
ユール県のプログラムでは、ジヴェルニーから近い小さな町ポーズで、野外展覧会「モネとユール県、芸術、自然、土地の交差する視線 Monet et l’Eure: regards croisés entre art, nature et territoire 」が開催されます。
展示される複製画が、芸術家に多大なインスピレーションを与えた風景が今も生き続け、絶えず変化し続けていることを思い起こさせます。

文化、スポーツ、環境に関するイベントも開催され、モネとこの土地とのつながりをさらに探求することができます。


 

ルーアン

Rouen, France

ルーアン観光局は2026年意欲的なイベントを企画しています。
プログラムの目玉となるのが「箱の中の印象派」という都市型ラリーで、宝探しゲームと文化遺産を巡るツアーを組み合わせた企画であり、家族連れが印象派の巨匠たちの足跡をたどりながら街を(再)発見するよう誘います。テーマ別ツアー、散策やクルーズ、ワークショップ、印象派の文化ジョギングといったスポーツ体験など、誰もが自分なりの方法でモネを称えることができるでしょう。

ルーアン大聖堂 Cathédrale de Rouen, fenêtre Monet © POD VU'


セーヌ河口

Saint-Siméon, France

📅2026年1月~12月
📍 オンフルール フェルム・サン・シメオン

多くの芸術家や印象派画家を迎えたこの農園兼ホテルで、絵画教室、モネの絵にインスパイアされた美食体験、講演会などで画家の遺産を称えます。


 

アルバートル海岸沿い

Chateau Musee de Dieppe, Boulevard de la Mer, Dieppe, France

📅2026年2月~10月
📍 ディエップ城博物館

2026年、城博物館ではモネと印象派に焦点を当てたプログラムが発表されます。講演に加えて、演劇、ダンス、音楽、ボディペインティングを融合した「印象派たち」というショーが開催されます。モリゾ、ゴンザレス、カサット、ブラックモンと一緒に女性による絵画革命にスポットをあてます。


 

他にも多くのイベントがサイト上で検索できます。
IMPRESSIONISTADVENTURES.COM

2026年印象派その他関連ニュース

  • ルノワールと愛
    RENOIR ET L'AMOUR
    📅2026年3月17日~7月19日
    📍パリ オルセー美術館
     
  • ルノワール、デッサン作家
    RENOIR DESSINATEUR
    📅2026年3月17日~7月5日
    📍パリ オルセー美術館
     
  • メアリー・カサット 独立の選択
    MARY CASSATT. LE CHOIX DE L’INDÉPENDANCE
    📅2026年10月6日~2027年2月7日
    📍パリ オルセー美術館
     
  • アルベール・ルブール
    ALBERT LEBOURG
    📅2026年9月~2027年4月
    📍ムードン芸術・歴史博物館


 

@NicolasMauge


by France.fr編集部

France.fr編集部はフランスのトレンドや最新のニュースをお届けします。

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