2026年のフランス旅行ガイド

感動・文化・新しい体験

文化・遺産美食とワインエンターテイメントとナイトライフ

パリのカルティエ財団現代美術館
© Martin Argyroglo - パリのカルティエ財団現代美術館

この記事は 0 分で読めます2026年1月30日に公開

世界有数の観光大国フランスは、2026年もまた記憶に残る一年を約束してくれそうです。
フランスを訪れる理由、あるいは再訪したくなるきっかけは尽きることなく、スポーツ、文化、歴史遺産といった大きなイベントが、旅人の心を大いに揺さぶります。

アール・ド・ヴィーヴル(暮らしの美学)の分野でも、フランスは進化の真っ只中。
新たに誕生する格式あるホテルや、創造性とサステナビリティを大切にするレストランが、現代のフランスらしい体験を提案しています。

文化を満たす旅へ

パリ近郊マッシーに誕生する「ラ・ファブリック・ド・ラール(La Fabrique de l’Art)」
© PCA-Stream - パリ近郊マッシーに誕生する「ラ・ファブリック・ド・ラール(La Fabrique de l’Art)」

毎年のように豊かな話題を届けてくれるフランスの文化シーン。2025年も例外ではなく、そのハイライトのひとつが、パレ・ロワイヤル広場に誕生したカルティエ現代美術財団の新拠点でした。ジャン・ヌーヴェル設計の建築に設けられたこの明るく開放的な空間は、現代美術を軸に、アーティストと観客、新しい創造表現が出会う場として注目を集めています。
そして2026年も、フランスの文化カレンダーは意欲的な企画で彩られます。

  • なかでも注目されるのが、クロード・モネ没後100年を記念した特別な文化プログラムです。印象派誕生の地であるノルマンディーパリ地方(イル・ド・フランス)では、画家が愛した風景をたどる没入型の旅が提案され、芸術家の家々、名高い美術館、そして今も守られる自然景観をめぐることができます。
    ジヴェルニー印象派美術館では、3月27日より展覧会「睡蓮の前にモネが見つけたジヴェルニー、 1883 年~ 1890 年」が開催され、モネがこのノルマンディーの村に移り住んだ初期の創作活動に焦点を当てます。
    またパリでは、オランジュリー美術館マルモッタン・モネ美術館オルセー美術館をめぐりながら、今もなお人々を魅了し続ける巨匠の作品を鑑賞する楽しみが尽きません。
  • さらに、マッシー=パレゾーでは、2026年秋にポンピドゥー・センター・フランシリアン(アート・ファブリック) Centre Pompidou Francilien-Fabrique de l’art が開館予定です。ポンピドゥー・センターと国立ピカソ美術館(パリ)の収蔵庫を統合したこの前例のないプロジェクトでは、保存・研究・教育・創作がひとつの場で交差します。来館者は、作品修復の様子を間近で見学したり、収蔵庫を探訪したり、ワークショップへの参加やレジデンス・アーティストとの交流を楽しむことができます。
  • パリではもうひとつ、ロマン派美術館  musée de la vie romantique が改修工事を終え、モンマルトルの麓にある画家アリー・シェフェール旧邸で再オープンします。常設展示の導線は一新されながらも、館内には往時の雰囲気が大切に残され、庭園のティールームは19世紀パリの空気に浸れる静かな憩いの場として健在です。
  • 南西フランスのトゥールーズ(オクシタニー地方)でも、文化施設の刷新が進んでいます。6年間の休館を経て、オーギュスタン美術館 Musée des Augustins が誇る珠玉の美術コレクションが再び一般公開されました。新しい展示構成では、歴史的作品と現代美術の対話が重視され、あわせてモダンなエントランスや、ブックショップ兼カフェも新設されています。

夢と魔法の世界を歩く

Disney Adventure World / World of Frozen /  Disneyland Paris
© Disney Adventure World / World of Frozen / Disneyland Paris

フランスには、パルク・アステリックス Parc Astérix ジャルダン・ダクリマタシオン Jardin d'acclimatation、ポワティエのフュテュロスコープ Futuroscope など、外せないテーマパークが数多くあります。
なかでも2026年は、ディズニーランド・パリにとって特別に華やかな一年となりそうです。

2026年3月29日、ディズニーランド・パリに、映画『アナと雪の女王』の世界を再現した新エリアがオープン。世界的ヒット作として愛され続けるこの物語の舞台、アレンデール王国の街並みを、実際に歩いて楽しめるようになります。

この幻想的な新エリアで体験できるのは――

  • 「フローズン・エバー・アフター」
     ノースマウンテンからエルサの氷の宮殿へと進む、音楽に満ちたボートライド
     (※『アナと雪の女王/エバー・アフター』)
  • にぎやかな街路と、アレンデール城を望むラグーンでの壮大なショー
  • 北欧デザインに着想を得たレストランやショップ

そしてもちろん、エルサ、アナ、オラフ、スヴェンたちとの出会いも待っています。
物語の世界に入り込んだかのような、夢あふれるひとときを過ごせるはずです。

過去と現在をつなぐ建築遺産をめぐる

フランスの建築遺産は、今なお尽きることのない発見に満ちた宝庫です。昨年、ノートルダム大聖堂の再開に大きな感動が広がったように、2026年もまた、その美しさに浸る機会が数多く用意されています。

2021年から建設が進められてきたトライアングル・タワー(Tour Triangle)は、2026年夏にいよいよ完成予定。台形のフォルム、42階建て、高さ180メートルというその姿は、エッフェル塔、モンパルナス・タワーに次ぐ、パリで3番目に高い建築物となります。
オフィス、ホテル、商業施設、公共空間、パノラマ・レストランを備えたこの新たなパリのランドマークは、太陽光パネルによる再生可能エネルギーの活用や、8,000㎡の公共庭園の整備など、大胆さと持続可能性を兼ね備えたデザインを体現しています。

そしてパリではもうひとつ、注目のアートプロジェクトが実現します。ポン・ヌフが、アーティストJRによる没入型インスタレーションによって、巨大な「都市の洞窟」へと姿を変えるのです。
この演出は、2025年に予定されていた企画が延期されたもので、クリスト&ジャンヌ=クロードによる《ポン・ヌフの梱包》40周年を記念する流れを受けたもの。歴史と現代アートが交差する、見逃せない体験となるでしょう。

新しい“心地よさ”に出会う、洗練の宿

ピレネー山脈にそびえるピック・デュ・ミディ(Pic du Midi)
© Hotellerie des Laquets - ピレネー山脈にそびえるピック・デュ・ミディ(Pic du Midi)

フランスのホテルシーンは、毎年その大胆さと洗練で私たちを驚かせ続けています。都市型パラスホテルから、自然に抱かれたドメーヌ、環境に配慮した隠れ家のような宿まで――2026年もまた、珠玉の新アドレスが加わります。

  • 2026年最大の話題となるのが、世界初のルイ・ヴィトン・ホテルの誕生です。
    場所はシャンゼリゼ通り103〜111番地。かつて銀行として使われていたオスマン様式の建物を舞台に、約6,000㎡の空間がラグジュアリー・ホテルへと生まれ変わります。ホテル内にはカフェ、ギフトショップ、ショコラトリー、そしてルイ・ヴィトンとコラボレーションしてきた国際的アーティストによる常設アート展示も併設される予定です。
  • パリおよびその周辺でも、新規開業が相次ぎます。凱旋門からほど近い16区では、ヴィクトル・ユーゴー大通りの元ブラッスリーが、全24室の5つ星ホテル「ラヴァンチュール(L’Aventure)」へと生まれ変わります。パリらしいエレガンスと大胆なデザイン、洗練されたレストラン、プライベートクラブを備えた、特別なアドレスです。
    さらに西へ進み、セガン島には、ポワント・デ・ザール(Pointe des Arts)が登場。メゾン・サラ・ラヴォワンヌが内装を手がけたこの現代的アーバン・リゾートは、ラ・セーヌ・ミュジカルのすぐそばに位置し、230室の客室、スパ、ルーフトップ、セーヌ川を望むパノラマ・レストランを備え、グラン・パリの新たなランドマークとなりそうです。
  • ピレネー山脈では、標高2,620メートル、ピック・デュ・ミディの地に、長らく使われていなかった歴史的建物がオテルリー・デ・ラケ(Hôtellerie des Laquets)として蘇ります。
    ロープウェイでアクセスするこのホテルには、16室の現代的な客室が設けられ、ヨーロッパ屈指の星空、山々から昇る朝日、高地ならではの静寂、美食、そしてガラス張りのテラスからの天体観測という、唯一無二の体験が待っています。
  • ブルゴーニュ地方もまた、2026年は豊作の年。ユネスコ世界遺産に登録されたブドウ畑の景観の中で、注目のホテルが続々と誕生します。クロ・ド・ヴージョ近くでは、レ・スルス(Les Sources)が14世紀のシトー会修道院を改装したジリー城を手がけ、コート・ド・ニュイのクリマに浸る優雅な滞在を提案。
    ムルソーでは、フォンテニーユ・コレクション Fontenille Collection  がシトー城を36室のエピキュリアンなホテルへと再生し、中世のセラーを見下ろす特別な空間を演出します。
    さらにポマールでは、1112年創建のシャトー・ラ・コマレーヌ Château La Commaraine が、3.6ヘクタールのプルミエ・クリュの畑に囲まれた“ブドウ畑のパラス”として再始動。37室の客室にスパ、プール、ブルゴーニュの名酒に寄り添うガストロノミーが揃います。
  • ロワール渓谷のアンボワーズでは、町初の5つ星ホテルルレ・ダンボワーズ(Relais d’Amboise)が誕生予定。ルレ・ド・シャンボールのオーナーが手がけるこの63室のホテルは、2つの歴史的ホテルを統合し、トログロダイト(洞窟住居)を活かしたスパ、ロワール川と王城を望むルーフトップ、そしてアートセンターを備えます。
  • 大西洋岸でも新たな宿が続々登場。オレロン島では、ベル・ホテル・オレロン・タラソ&スパ – MGallery Bel Hôtel Oléron Thalasso & Spa – MGallery が、自然と調和した佇まいで最先端のタラソテラピーを提案。
    ラ・ボール湾を望むアモリア・ホテル&スパ(Radisson Individuals)は、全46室のコンテンポラリーな空間とオーシャンビューのルーフトップが魅力です。レ・サーブル=ドロンヌでは、オテル・クール・マラン Hôtel Cœur Marin が海や港を望む客室とパノラマ・ルーフトップで、マリンテイストの気取らないエレガンスを演出します。
    そしてキャップ・フェレでは、フィリップ・スタルクが手がけたヴィラ・コレット Villa Colette が、アルカション湾の緑豊かな庭に囲まれた「5つ星の別荘」のような滞在を提案します。
  • コート・ダジュールにも新風が。バンドールから10分のベンドール島では、リカール家とザニエ・ホテルズ Zannier Hotels による大型プロジェクトが、2026年5月から始動します。松林、港、海岸線に点在する93室のホテルに加え、8つのレストラン&バー、1,200㎡のウェルネス施設、スポーツ設備、アートギャラリー、職人の工房、キッズクラブまで備えた、まさに“オールインワン”のデスティネーションです。
  • 海外県・海外領土も例外ではありません。グアドループのル・ムール湾には、フランス領カリブ海初となるプルマンブランドのホテル、プルマン・ロイヤル・キー・ウェルネス・リゾートが誕生予定。ビーチやサーフスポットに近い全102室の4つ星ホテルは、上質なスパと、ローカルアートに着想を得たコンテンポラリーなデザインで、ウェルビーイングを前面に打ち出します。

スポーツの感動に立ち会う

ピレネー山脈を駆け抜けるツール・ド・フランス
© Billy Ceusters / ASO - ピレネー山脈を駆け抜けるツール・ド・フランス

パリ2024オリンピック・パラリンピックの熱狂を経て、フランスでは再び、世界トップレベルの競技を間近で楽しむ喜びが広がっています。2026年もまた、スポーツファンの心を高鳴らせる国際大会が各地で開催されます。

  • なかでも注目は、第113回ツール・ド・フランス
    2026年7月4日にバルセロナをスタートし、7月26日にパリへとフィニッシュします。全21ステージにわたり、山岳地帯や新たな都市を舞台に繰り広げられるレースは、選手たちの圧巻のパフォーマンスはもちろん、ヨーロッパ屈指の美しい風景でも観る者を魅了することでしょう。
  • また、ラグビー7人制ワールドカップも見逃せません。最終ステージは6月5日から7日までボルドーのスタッド・アトランティックで開催予定。
    さらに、ヨーロッパ水泳選手権7月31日から8月16日までサン=ドニのオリンピック・アクアティック・センターを主会場に行われ、オープンウォーター競技はセーヌ川でも実施されます。これらの大会は、パリ2024のレガシーを受け継ぎ、フランスのスポーツ文化を次世代へとつないでいきます。

フランスの匠の技に触れる

フランスには、世代を超えて受け継がれてきた多彩な伝統技術が息づいています。工房の一般公開やワークショップ、体験型アクティビティを通して、旅人がその世界に触れられる機会も豊富です。

なかでも見逃せないのが、2026年4月7日から12日まで開催される「ヨーロッパ工芸の日( Journées Européennes des Métiers d’Art )」
ガラス工芸、陶芸、革細工をはじめとするさまざまな分野の職人たちが工房の扉を開き、普段は立ち入ることのできない制作の現場を公開します。大量観光とは一線を画した、フランスのものづくりの奥深さと真髄に出会える、貴重な機会です。

新しい味に出会う旅

Envie le Banquet
© Envie le Banquet

フランスのガストロノミーは、常に進化を続けています。その原動力のひとつが、新たに誕生するレストランの数々。2026年も、各地で注目のアドレスが話題を集めそうです。

  • パリでは、マレ地区にて、シェフ エロワ・スピンレール が3軒目となるレストランをオープン。
    「アンヴィ・ル・バンケ( Envie le banquet )」と名付けられたこの新店は、なんと“食べ放題”スタイルのビュッフェ。とはいえ、そこは美食の都パリ。たっぷりとした量感に、フレッシュさと洗練を兼ね備えた内容が魅力です。
    ビュッフェには約100品が並び、前菜やメイン、惣菜系が60品(そのうち約20品はベジタリアン対応)、さらに25種のチーズと15種のデザートが揃います。なかでも、パテ・アン・クルートの専用バーは見逃せない名物です。
  • ブルターニュ地方では、サン・マロとモン・サン=ミシェルの間に、新たな美食スポットが誕生。
     マリーヌ・エルヴエパスカリーヌ・アルビシーニが手がけるレストラン 「ダム(Dames )」は、かつての長距離ドライバーに愛されてきた食堂を改装した一軒で、海の幸、旬の野菜、ブルターニュ産の肉を生かしたエレガントな料理を提供します。
  • そしてリヨンでは、全面改装されたコレージュ・スラン(Collège Serin)内に、「ワイン・ユー・ウォント( Wine You Want )」がオープン。
    シェフ ユベール・ヴェルゴワン が厳選したワインとともに、郷土料理を楽しめるこの店は、ワイン愛好家と食通たちの新たな拠点となりそうです。

    Bon appétit ! ボナペティ!

by Raymond Marie

観光と文化を専門とするジャーナリスト、マリーの密かな楽しみは「どこでも執筆すること」──ただし、オフィスは例外。 時代の空気や日々の移ろいの中に、彼女のインスピレーションの源があります。

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