オリンピック・パラリンピックの足跡をたどるパリ散策

パリ2024

パリ文化・遺産都市

  • 距離10 km
  • 時間4日
  • 難易度簡単
  • ステップ4ステップ

パリのセーヌ川
© Richard Heathcote/Getty Images - パリのセーヌ川

この記事は 0 分で読めます2025年4月4日に公開

パリ2024オリンピック・パラリンピックは、世界中の人々に夢と感動を届けました。開会式は、まるでパリそのものを讃えるような壮大な演出に包まれ、誰もが心を奪われたことでしょう。 競技もまた、それぞれが印象的で、パリの街並みや歴史的な建物が、いつもとは違った表情を見せてくれました。セーヌ川やルーヴル美術館、モンマルトルにエッフェル塔──今もその余韻が街のあちこちに残っています。 あの感動をもう一度、パリの風景の中で辿ってみませんか? いつ訪れても変わらない魅力にあふれたこの街は、きっとまたあなたを温かく迎えてくれるはずです。

1日目:絵葉書のようなパリ散歩 サン・ルイ島からモンマルトルまで(5km)

Île Saint-Louis, Paris, France

セーヌ川沿いの散策

2024年のオリンピック開会式で世界中を魅了した舞台──それがパリのセーヌ川。各国の選手団が船でパレードし、川の上や橋、川沿いで繰り広げられたパフォーマンスは、フランスの首都の美しさを存分に際立たせました。
そんな夢のようなひとときを思い出しながら、セーヌ川沿いをのんびり歩いてみませんか?

まずはサン・ルイ島から散策をスタート。水の流れに身をゆだねるように、パリらしさあふれる風景を楽しんでください。島をぐるりと歩いたら、名物アイスクリーム店「ベルティヨン  Berthillon」でちょっと甘い休憩を。

そのままシテ島へ渡って、修復を終えたノートルダム大聖堂 Notre Dameへ。時間があれば、セーヌ川クルーズに乗ってみるのもおすすめ。パリの名所をいつもと違った角度から眺めつつ、あの華やかな開会式に想いを馳せるひとときをどうぞ。

🍴ランチ:
サン・ルイ島の「ル・サン・レジス Saint Régis 」にて、クラシックでボリュームたっぷりのビストロ料理を楽しめます。
住所:6 Rue Jean du Bellay, 75004 Paris

パリ、オステルリッツ橋
© David Burnett/IOC via Getty Images - パリ、オステルリッツ橋

コンシェルジュリー

ノートルダム大聖堂へと向かう途中、ぜひ立ち寄りたいのがコンシェルジュリー  Conciergerie 。セーヌ川クルーズを選んだ場合も、「バトー・ムーシュ Bateaux Mouches 」がすぐ近くに停船するのでアクセスも便利です。

この歴史的建物といえば、2024年パリ五輪の開会式で強烈な印象を残したシーンを思い出す方も多いのではないでしょうか。そう、フランスのメタルバンド「Gojira(ゴジラ)」がセーヌ川を背に、コンシェルジュリーのバルコニーから繰り広げたあの圧巻のパフォーマンスです。
彼らの演奏は世界中で話題を呼び、2025年2月2日のグラミー賞授賞式では見事受賞も果たしました。

かつてマリー・アントワネットが投獄されていた中世の牢獄、そしてフランス革命の激動を今に伝えるコンシェルジュリー。ぜひこの機会に、パリの歴史と文化を肌で感じてみてください。まるで“ライブ”のように、あの時代へと引き込まれていくはずです。

パリ コンシェルジュリー
© Buda Mendes/Getty Images - パリ コンシェルジュリー

モンマルトル

その後は、パリジャン・パリジェンヌにも愛されるモンマルトル Montmartre へ。
この芸術と自由の香りが漂うボヘミアンな街角では、パリ2024大会の自転車競技が開催され、選手たちが急勾配の坂道を力強く登る姿が話題となりました。その情景を思い浮かべながら、あなたもぜひ坂道をのぼってみてください。

丘の上にたたずむサクレ・クール寺院にたどり着けば、パリの街を一望する絶景が広がります。18区の石畳の路地を歩けば、どこか懐かしく、絵になるような風景が続きます。

時間があれば、モンマルトルの小さなブドウ畑を訪れたり、テルトル広場で似顔絵を描いてもらったり、静かな隠れ家レストラン「オテル・パルティキュリエ Hôtel particulier (23 Av. Junot)」の庭で一杯楽しむのもおすすめです。モンマルトルならではの、ちょっと特別なひとときが待っています。

パリ モンマルトル
© David Ramos / Getty Images - パリ モンマルトル

宿泊先

滞在中の拠点には、パリの新たな注目ホテル「メゾン・バリエール・ヴァンドーム Maison Barrière Vendôme」がおすすめです。ヴァンドーム広場とチュイルリー公園の間という絶好のロケーションに建つ5つ星ホテルで、3泊の滞在をゆったりと楽しめます。

それぞれの客室は、歴史に名を残した女性たちへのオマージュとしてデザインされており、優雅で洗練された空間が広がります。パリらしい気品と心地よさを感じながら、特別なひとときをお過ごしください。

2日目:王道のパリを歩く 凱旋門からルーヴルのピラミッドへ(3.5km)

Arc de Triomphe, Place Charles de Gaulle, Paris, France

しばし足を止めて、目の前の光景をカメラに収めましょう。
2日目のスタート地点、凱旋門からルーヴルのピラミッドまで伸びるこの道は、「歴史の軸」とも呼ばれ、ルーヴル美術館からラ・デファンス地区を一直線につなぐ象徴的な景観です。

凱旋門

フランスの首都を象徴するモニュメント、凱旋門 L’Arc de Triomphe 。パリ2024大会では、自転車ロードレースやマラソン競技の重要な通過地点にもなりました。堂々たる姿のアーチを背景に駆け抜ける選手たちの姿は、観る者の心に深く刻まれたことでしょう。

ぜひ、階段を上って凱旋門の屋上へ。世界一美しい通りとも称されるシャンゼリゼ大通りと、パリの街並みを一望する絶景が待っています。巨大なトリコロール(フランス国旗)が風になびき、観客の歓声が今にも響いてきそうな、そんな臨場感に包まれるはずです。

パリ シャンゼリゼ大通り
© Tullio M. Puglia / Getty Images - パリ シャンゼリゼ大通り

コンコルド広場

スケートボードやブレイキンといった都市型競技が、これほどまでに洗練された舞台で披露されたことがあったでしょうか。
パリ2024では、ルクソール Louxor のオベリスクや壮麗な噴水が、3万5,000席を擁する特設アリーナへと姿を変え、選手たちに忘れがたいステージを提供しました。

写真家たちもその魅力を見逃すはずもなく、中でもBMX競技は、パリ大会を象徴するような印象的なショットが数多く生まれました。特に記憶に残るのは、アスリートのアントニー・ジャンジャンが空中で逆さになり、オベリスクの先端と平行に飛ぶ瞬間を捉えた一枚。まさにこの大会の象徴的な一コマとして語り継がれていくことでしょう。

もちろん、アリーナがなくともコンコルド広場の美しさは健在です。金色の装飾が施された鋳鉄の「海の噴水」と「川の噴水」は、この地を訪れたなら一度は見ておきたい名所です。

 

🍴ランチ:Chez Nonos par Paul Pairet
ホテル・クリヨンの中心に位置するこのビストロでは、スターシェフによる本格料理をランチタイムに手頃な価格で楽しむことができます。贅沢だけど、気軽。そんなパリらしい一皿をぜひ。

パリ コンコルド広場
© Aitor Alcalde/Getty Image - パリ コンコルド広場

チュイルリー公園

オリンピックの象徴「聖火台」が設置されたことで、パリ市民や観光客に夢のようなひとときをもたらしたチュイルリー公園。あのヘリウムバルーン型の聖火台は、次のロサンゼルス大会が開催される2028年まで、夏の風物詩として毎年チュイルリーに戻ってくる予定です。

2025年は6月23日から9月14日まで登場予定。再びあの幻想的な五輪の雰囲気を感じられるチャンスです。

花壇や噴水、彫像が美しく並ぶ、フランス式庭園の散策もお忘れなく。ルーヴルから凱旋門へと続く“王の軸線”を望むこの庭園は、静かにくつろぐのにぴったりの場所。あの名物、緑のスチール製チェアに腰掛けて、読書をしながらのんびりとした時間を過ごすのもおすすめです。

パリ チュイルリー公園
© Graham Denholm / Getty Images - パリ チュイルリー公園

ルーヴル美術館のピラミッド

ガラスのピラミッドの前を、朝日を浴びながら走り抜けていったマラソン選手たち──あの光景は、多くの人の心に深く刻まれたに違いありません。

建築家イオ・ミン・ペイによるこのモダンなピラミッドは、威厳あるルーヴル美術館にさらなる魅力を添える存在。まるで光に満ちた“扉”のように、世界最大の美術館の入口へと私たちを導いてくれます。

ここまで来たら、もちろんルーヴル Louvre の中へ。名作の数々とともに、アートと歴史に満ちた旅を存分に楽しんでください。

パリ ルーブル美術館
© Richard Heathcote/Getty Images. - パリ ルーブル美術館

3日目:壮麗なパリをめぐる──グラン・パレからエッフェル塔へ(1.8km)

Grand Palais, Paris, France

グラン・パレ  

パリ2024では、グラン・パレ Grand Palais がフェンシングとテコンドーの競技会場となり、見事に修復されたばかりの壮麗なネフ(nef 中央ホール)と建築美が世界に披露されました。  

ぜひ訪れていただきたいのが、この大規模な修復を経てよみがえった本来の装飾の数々。彫像、外壁、内装の装飾が美しく再現され、建物の威厳と輝きが蘇っています。  

🍴ランチ: Substance(シュブスタンス)  
16区で人気のレストラン。シェフ、マチアス・マルクが故郷ジュラ地方の風土にインスピレーションを得て生み出す一皿一皿が話題を呼び、今や欠かせない美食スポットとなっています。

パリ グラン・パレ
© Iluce / Adobe Stock - パリ グラン・パレ

トロカデロ

トロカデロ広場は、オリンピック期間中、観客たちの熱気に包まれる特別な場所でした。メダリストたちを毎日祝福する「パルク・デ・シャンピオン(チャンピオンの広場)」が設置され、世界中の応援団がそれぞれの国旗を誇らしげに掲げる姿が、エッフェル塔の優しいまなざしのもとに広がっていました。

あなたもぜひ、トロカデロ庭園から「鉄の貴婦人」ことエッフェル塔を眺めてみてください。ここはまさに“ザ・パリ”な写真が撮れる、絶好のフォトスポットです。

パリ トロカデロ
© Maja Hitij/Getty Images - パリ トロカデロ

エッフェル塔

五輪をまとった荘厳なエッフェル塔は、パリ2024の祝祭を象徴する存在でした。期間中には花火やプロジェクションマッピングが行われ、街を彩りました。

なかでも忘れがたいのは、開会式でのセリーヌ・ディオンの歌声。第2展望台から「愛の讃歌」を歌い上げるその姿に、観客たちは涙を浮かべながら聴き入っていました。彼女が身にまとっていたのは、白いシルクジョーゼットにパール刺繍が施されたディオールの特注ドレス。あの瞬間は、今も多くの人の記憶に輝きを残しています。

エッフェル塔の上階にのぼれば、パリを一望する絶景が広がります。夜には光がまたたき、塔はよりいっそう幻想的に。五輪はすでに取り外されましたが、あの感動と祝祭の余韻は、今もこの場所に息づいています。

パリ トロカデロ
© Maja Hitij/Getty Images - パリ トロカデロ

4日目:ヴェルサイユ(パリから約20km)

Château de Versailles, Versailles, France

太陽王ルイ14世も、きっと誇りに思ったことでしょう。パリ2024大会では、ヴェルサイユ宮殿が主要な競技会場のひとつとして注目を集め、ピストル射撃、フェンシング、馬術競技など、宮殿の格式にふさわしい種目が開催されました。

オリンピック・パラリンピックゆかりの地をめぐる旅の締めくくりは、ヴェルサイユでの一日観光。まるで宮廷絵巻のような壮麗な風景のなか、騎士たちが駆け抜けた姿を思い描きながら、フランス王政の歴史に浸ってみてください。

鏡の間やトリアノン宮殿、庭園の噴水や水盤など、ヴェルサイユが誇る華麗な見どころの数々が、あなたを待っています。

🍴ランチ:
庭園でピクニックを楽しむもよし、あるいは、エレガントな「ホテル・レ・リュミエール」内にあるピエール・エルメのカフェで、ゆったりと美食ランチを味わうのもおすすめです。

ヴェルサイユ宮殿
© Alex Pantling / Getty Images - ヴェルサイユ宮殿

アドバイス&おすすめ情報

パリでは移動距離が比較的短いため、徒歩での移動がおすすめです。
地下鉄(メトロ)やRER(高速郊外鉄道)を使えば、効率よく市内をまわれます。

また、自転車シェア「ヴェリブ(Vélib’)」を利用して、オリンピックの自転車競技の雰囲気を感じながら街を走るのも楽しい選択肢です。

by Raymond Marie

ジャーナリスト

観光と文化を専門とするジャーナリスト、マリーには、書斎以外ならどこでも執筆できるというささいな奇癖があります。時間の空気と動きからインスピレーションを得ているからです。