ブルゴーニュで出会う心に響く風景と歴史

サンティアゴ・デ・コンポステーラの道

ブルゴーニュ自然&アウトドア・アクティビティ美食とワイン自然公園

Elizaveta / Adobe Stock
© Elizaveta / Adobe Stock

この記事は 0 分で読めます2025年7月22日に公開

豊かな歴史遺産を誇るブルゴーニュ地方には、「サンティアゴ・デ・コンポステーラの道」と呼ばれるヨーロッパ屈指の巡礼ルートが張り巡らされています。

なかでもGR 213は、オーソワ地方 Auxois からヴェズレーの丘 Basilique de Vézelay まで、約84kmを4〜6日かけて歩くルート。歴史的建造物に触れながら、穏やかな自然の中を進むこの道は、心を整えるひとときを与えてくれます。

1日目:フォントネーからビュフォン

Buffon, France

出発前に訪れておきたいのが、12世紀に建てられたフォントネー修道院 Abbaye de Fontenay
世界で最も古いシトー会の修道院として知られ、1119年にベルナールによって建てられました。石造りの静謐な空間は、まさに時が止まったような美しさです。

歩き始めると、緑豊かなフォンテネーの谷を抜け、やがてモンバールの町へ。ここは18世紀の博物学者ビュフォンゆかりの地であり、彼の名を冠した公園は、かつてブルゴーニュ公の城跡を再整備して造られたものです。

また、ブルゴーニュの「コンポステーラの道」を歩くうえで外せないのが、ビュフォン博物館 musée Buffon
彼の代表作『自然の歴史(L’Histoire Naturelle)』をはじめ、自然観察に情熱を注いだ生涯の成果を知ることができます。

 

宿泊情報:
この日は「ビュフォンのプチ・プリオレ(小修道院) prieuré de Buffon」での滞在がおすすめ。
ルネサンス様式の石造りの邸宅で、ブルゴーニュ運河のすぐ近くという好立地。快適な客室、美しい木立の庭園、そしてプールも備わった、心地よいひとときを過ごせる場所です。

F. Dupin
© F. Dupin

2日目:ビュフォンからムティエ・サン・ジャンへ

Moutiers-Saint-Jean, France

ブルゴーニュ地方を流れるもうひとつの川、アルマンソン川 Armançon 沿いを歩きます。緑豊かな田園風景に加えて、途中に現れるカンシー・ル・ヴィコント村の歴史的な街並みも見どころのひとつです。

この日の終着地は、ムティエ・サン・ジャン。小さなレオール川の谷を見下ろすように佇む美しい村です。到着後は、クールドロワ庭園でひと休みしたり、かつての病院に残る調剤室や歴史的な館を訪ねてみるのもおすすめです。5世紀ごろにその起源を持つこの場所は、ブルゴーニュ地方でも特に古い歴史を誇ります。

宿泊情報:
この日の宿には、「ラ・ビュフォヌリー La Buffonnerie 」というゲストハウスがおすすめ。19世紀風にしつらえられた室内と、のどかな自然に囲まれた環境が魅力で、歩き旅の疲れをゆったり癒せる特別な一軒です。

 A. Gevaudan / OT du Montbardois
© A. Gevaudan / OT du Montbardois

3日目:ムティエ・サン・ジャンからエポワスへ

Époisses, France

この日のルートは比較的短め。ブルゴーニュ地方の「コンポステーラの道」をたどりながら、オーソワ地方の生垣に囲まれた牧草地を進みます。途中には、昔ながらの洗い場(ラヴォワール)や泉、石橋といった素朴で美しい風景が点在し、土地の歴史が静かに息づいています。

セラン川の谷を蛇行しながら歩くと、緑の牧草地や小さな森が続き、やがてコルサン村へ。途中で足を止めたくなるような美しい集落です。

この日のおすすめ立ち寄りスポットは2つ:

エポワス城
15世紀の家々を囲む二重の城壁に守られた、風格ある城館。中世の趣が今も色濃く残ります。

セミュール・アン・オーソワ
丘の上に広がる中世の町。ドンジョン(主塔)周辺の景観は、思わず息をのむ美しさです。

 Boris Stroujko - Adobe
© Boris Stroujko - Adobe

4日目:エポワスからモンレアルへ

Montréal, Bourgogne-Franche-Comté, France

この日は、コート・ドール県を離れ、ヨンヌ県へと足を踏み入れます。両県の境界をなすのは、静かに流れるセラン川。その流れを越えて進むと、エポワスの池沿いに広がる風景が現れます。

道中には、トゥトリーギヨンなどの中世の面影を残す村々が点在し、ロマネスク様式の影響を受けた建築が目を楽しませてくれます。

そしてまもなく、石造りの家々と花咲く通りが美しいモンレアル村に到着。フランスの「最も美しい村」のひとつにも選ばれており、そのたたずまいはまるで絵本の中の世界のようです。

 

宿泊情報:
この日は、「メゾン・クレーム・アングレーズ  Maison Crème Anglaise」のベッド&ブレックファストでゆったりと。イギリス風のインテリアが心地よい邸宅で、プールとテラスも完備。歩き旅の疲れを癒すのにぴったりの宿です。

 Alain Doire / BFC Tourisme
© Alain Doire / BFC Tourisme

5日目:モンレアルからアヴァロンへ

Avallon, France

モンレアルを出発し、ブルゴーニュ地方の巡礼路は徐々に標高を上げていきます。広大な平原「テール・プレーヌ Terre Plaine」を抜けると、丘陵地帯が広がるモルヴァン地方 Morvan へと入っていきます。

途中には、かつての古城跡のあるモンジャラン Montjalin や、素朴な村ソーヴィニー・ル・ボワ  Sauvigny-le-Bois などがあり、変化に富んだ風景を楽しみながら進むルートです。

やがてたどり着くのは、堅牢な石壁に囲まれた町アヴァロン。花咲く段々畑の庭園や、花崗岩の尾根の上に築かれた旧市街からは、クーザン川の谷とモルヴァンの雄大な眺めを見渡せます。
谷に沿って伸びる無数の小径は、歩くたびに異なる表情を見せてくれます。

 

宿泊情報:
今夜は「ロジ・オテル・レ・カピュサン Logis Hôtel Les Capucins」にて。1900年に建てられた素朴であたたかみのある宿で、手入れの行き届いた美しい庭園が特に印象的。旅の終盤を静かに締めくくるのにふさわしい場所です。

Alain Doire / BFC Tourisme - Avallon - Bourgogne
© Alain Doire / BFC Tourisme - Avallon - Bourgogne

6日目:アヴァロンからヴェズレーへ

Vézelay, France

アヴァロンの町を後にし、緑豊かなクーザン渓谷 vallée du Cousin を歩き始めると、ルートはやがてモルヴァン地域自然公園 Parc naturel régional du Morvan へと入っていきます。川沿いの小道や森の入り口、趣ある小さな路地を進むこの道中は、まるで絵画のような風景が続きます。

途中には、かつての水車小屋を改装した魅力的なホテル・レストラン「ルアの旧水車 l'ancien moulin des Ruats 」をはじめ、ムーラン・カドゥーの石橋 pont du Moulin Cadoux や、素朴な集落メリュジアン Méluzienなど、見どころが点在しています。

さらにヴォー・ド・リュニー村 Vault-de-Lugny を過ぎると、いよいよヴェズレー地方のブドウ畑が広がるエリアへ。丘の上に広がる風景が旅の終わりを告げてくれます。

最終目的地は、遠くからもその姿を確認できる象徴的な丘「永遠の丘」。その上に建つのがヴェズレーのバジリカ(サント・マドレーヌ大聖堂)です。ロマネスク建築の傑作として知られるこの建物は、繊細な彫刻や柱頭の装飾など、見応えあるディテールにあふれています。

 

宿泊情報:
今夜の宿には、バジリカからすぐ近くの「レ・グリシーヌ Les Glycines」がおすすめ。洗練されたインテリアの客室は、クラシックとモダンが調和した落ち着いた雰囲気で、上質なベッドリネンが旅の締めくくりにふさわしい休息を提供してくれます。

 JJ.Gelbart/AFCC
© JJ.Gelbart/AFCC

by Munoz Alicia

ジャーナリスト

環境ジャーナリズムに情熱を注ぐアリシアは、持続可能な開発、自然環境、旅について執筆しています。 自然や広大な風景、アウトドアスポーツへの深い愛情が、彼女の文章の随所に表れています。

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