ピエール・スーラージュからワシリー・カンディンスキー、ニキ・ド・サンファル、ゲルハルト・リヒターまで――巨匠たちの作品がパリの美術館やデジタルアートセンターに集います。
ぜひ訪れていただきたい展覧会や没入型体験をセレクトしました。
ルーヴル・クチュール:美術品とモード@ルーヴル美術館
Musée du Louvre, Paris, France

📅2025年1月24日~8月24日開催
今年パリで必見の展覧会のひとつが、ルーヴル美術館で開かれる「Louvre Couture : objets d'art, objets de mode(ルーヴル・クチュール:美術品とモード)」です。
ルーヴル美術館の装飾美術部門が所蔵する宝飾品、青銅器、陶磁器、タペストリーといった作品群のあいだに、約60点の現代的なドレスやアクセサリーが並びます。そこには、モードの歴史と美術の歴史が響き合う対話が生まれ、ジャック・ドゥーセからマダム・カルヴェンに至るまで、数々のクチュリエを刺激してきた創造の源泉を映し出しています。
芸術とファッションが交差する空間で、ルーヴルのコレクションに新たな視点を与える展示です。
▶ ルーヴル美術館
動きの中のモード第3章@ガリエラ美術館
Palais Galliera, Avenue Pierre 1er de Serbie, Paris, France

古代オリエント美術の対話@ルーヴル美術館
Musée du Louvre, Paris, France

📅 2025年2月29日~9月28日
中央アジアから中東まで、古代オリエント美術に関心のある方必見の展覧会です。ニューヨークのメトロポリタン美術館(The Met)の常設コレクションから選ばれた10点ほどの代表的作品が、2025年にルーヴル美術館で特別公開されます。両館のコレクションが出会い、響き合う稀有な機会となります。
▶ ルーヴル美術館
Corps et âmes(身体と魂)@ブルス・ド・コメルス
Bourse de Commerce - Pinault Collection, Rue de Viarmes, Paris, France

📅 2025年3月5日~8月25日
オーギュスト・ロダンからデュアン・ハンソン、マイケル・アーミテージ、ミリアム・カーン、フィリップ・ガストン、マルレーネ・デュマス、ケリー・ジェームズ・マーシャル、クザナイ=ヴァイオレット・フワミ、ミラ・ショー、アーサー・ジャファに至るまで――「身体」というテーマをめぐって多彩な作家の表現を紹介します。
とりわけ1960年代の公民権運動、フェミニズム、反軍事運動などを背景にした作品も展示され、身体が芸術的・社会的思考のなかで果たす役割を深く掘り下げています。
デイヴィッド・ホックニー 25@フォンダシオン ルイ・ヴィトン
Fondation Louis Vuitton, Avenue du Mahatma Gandhi, Paris, France

📅 2025年4月9日~9月1日
モダンアートから現代美術を代表する存在であるイギリス人アーティスト、デイヴィッド・ホックニーが2025年、フォンダシオン ルイ・ヴィトンで大規模に紹介されます。カリフォルニアの風景、ヨークシャーの丘陵、そして近年拠点を置くノルマンディー地方のオージュ地区まで、多彩な題材を描いた作品を通して、特にこの25年間の歩みをたどります。
世界的に知られる絵画やドローイングだけでなく、タブレットを用いたデジタル作品など、ホックニーの新しい試みも展示。2025年のパリで最も注目される展覧会のひとつです。
アール・ブリュット:コレクションの親密さの中で@グラン・パレ
Grand Palais, Paris, France

📅 2025年6月11日~9月21日
この夏、グラン・パレの中心で「アール・ブリュット(生の芸術)」の世界に浸れる特別展が開催されます。
コレクターのブリュノ・ドゥシャルムが集め、ポンピドゥー・センターから貸し出された300点以上の稀少な作品が一堂に会します。自由で予測不能な創作からは、もうひとつの美術史が浮かび上がります。
さらに、アーティストのヘンリー・ダーガーに着想を得たVR体験も用意され、訪れる人々を作品世界へと没入させます。パリで必見の展覧会のひとつです。
▶ グラン・パレ
ヴォルフガング・ティルマンス展@ポンピドゥー・センター
Centre Pompidou, Paris, France

📅 2025年6月13日~9月22日
5年間の改修工事に入る直前、ポンピドゥー・センターの公共情報図書館がドイツ人アーティスト、ヴォルフガング・ティルマンスの実験的な表現の舞台となります。
写真、音の記録、インスタレーションを通して、急速に変化する情報伝達のあり方を背景に、現代社会を独自のまなざしで切り取ります。
今夏パリで体験できる必見のアート体験です。
閉館中は、ポンピドゥー・センターのコレクションがパリ各地の美術館に展示される予定です。
詳細なプログラムも公開されています。
ニキ・ド・サンファル&ジャン・ティンゲリー@グラン・パレ
Grand Palais, Paris, France

📅 2025年6月20日~2026年1月4日
2025年、パリを代表する文化施設グラン・パレでは、美術史において最も象徴的かつ多作なデュオのひとつ、ニキ・ド・サンファルとジャン・ティンゲリーの作品を紹介します。
展示では、ポンピドゥー・センター初代館長ポントゥス・フルテンの果たした役割にも焦点が当てられています。彼の作品収集や展覧会企画によって、この二人の革新的なアーティストたちの成功が大きく後押しされたことが浮き彫りになります。
グラン・パレで開催される必見の回顧展です。
▶ グラン・パレ
「ゴッホ」と「星の王子さま」@アトリエ・デ・リュミエール
Atelier des Lumières, Rue Saint-Maur, Paris, France

📅 ゴッホ :2025年7月7日~8月30日(毎週 月・水・金・土)
「星月夜」や「ひまわり」といったゴッホの代表作が、大規模プロジェクションと新たな演出によってアトリエ・デ・リュミエールに登場します。
筆致の細部や鮮やかな色彩のコントラスト、渦を巻くようなフォルムを間近に感じられる没入型展示で、ポスト印象派の巨匠の世界を新しい視点から体験できます。
📅 星の王子さま:2025年4月11日~8月31日(毎週 火・木・日)
子どもや、サン=テグジュペリの作品とともに育った大人には「星の王子さま」がおすすめ。砂漠の横断から、想像上の星や惑星の旅まで、原作の水彩画がデジタル投影され、詩的で幻想的な旅へと誘います。
「ジョン・シンガー・サージェント ― パリを魅了する」@ オルセー美術館
Musée d'Orsay, Paris, France

📅 2025年9月23日~2026年1月11日
アメリカでは広く知られる一方で、フランスではあまり紹介されてこなかったジョン・シンガー・サージェント。
実は19世紀末のパリの芸術界でスタイルを築き、キャリアをスタートさせました。
オルセー美術館では彼に大規模な回顧展を開催し、《マダムX》や《自宅のポッツィ博士》をはじめとする90点以上の作品を展示します。カロリュス=デュランに師事し、モネやドガとも親交を持ったサージェントは、写実主義と印象派双方に影響を受けながら、流れるような筆致、鮮やかな色彩、大胆なポーズで肖像画の名手としてその名を確立しました。
▶ オルセー美術館
「ベルテ・ヴェイユ ― 前衛の画商」@オランジュリー美術館
Musée de l'Orangerie, Paris, France

📅 2025年10月8日~2026年1月26日
ピカソ、マティス、モディリアーニ、ディエゴ・リベラ… こうした近代美術の巨匠たちの背後には、一人の先見性と大胆さを備えた女性の存在がありました。ベルテ・ヴェイユ Berthe Weill は、パリで初めて前衛芸術を扱った女性画商であり、エミリー・シャルミー Émilie Charmy、シュザンヌ・ヴァラドン Suzanne Valadon、ジャクリーヌ・マルヴァル Jacqueline Marva といった女性作家を含め、多くの芸術家を発掘・支援しました。
本展では、約100点におよぶ絵画、素描、彫刻、ジュエリーを通して、長らく美術史の中で忘れられていたこの先駆者に光を当てます。芸術の自由を掲げ、保守主義や偏見、反ユダヤ主義と闘い続けた40年の歩みをたどる、魅力あふれる展覧会です。
George Condo@パリ市立近代美術館
Musée d'Art Moderne de Paris, Avenue du Président Wilson, Paris, France

📅 2025年10月10日~2026年2月8日
ジョージ・コンド George Condo の世界は、喜び・怒り・憂鬱を表現する歪んだ肖像、ハイブリッドな人物像、黒・白・青のモノクロームなど、観る者を魅了しつつ不安も呼び起こします。
レンブラント、ゴヤ、ピカソ、ロダンといった巨匠から影響を受ける一方で、グラフィティやポップカルチャーを取り入れ、人間像を再構築。シュルレアリスムや抽象表現と「心理的キュビズム(ひとつの顔に矛盾する感情を共存させる技法)」を融合させた独自のスタイルを確立しました。
本展では《Big Red》(1997年、カートゥーンの世界に着想を得た作品)を含む、約80点の絵画、110点のドローイング、20点の彫刻を通じて、40年以上にわたる大胆かつカテゴライズ不能な創作活動を紹介します。
「カンディンスキー ― 色彩の音楽」@ フィルハーモニー
Philharmonie de Paris, Avenue Jean Jaurès, Paris, France

📅 2025年10月15日~2026年2月1日
絵画と音楽がひとつになるとき――。抽象絵画の先駆者ワシリー・カンディンスキーの創作における「音」の中心的役割を探る展覧会が、パリ・フィルハーモニーで開催されます。
ポンピドゥー・センター(改修中)から貸し出された数々の作品を含む約200点が展示され、視覚芸術と楽譜、オブジェ、音楽的記憶が融合する没入型の体験を提供します。カンディンスキー自身のレコードコレクションも公開され、彼の芸術と音楽の深い結びつきを体感できる内容です。
ジャック=ルイ・ダヴィッド展@ルーヴル美術館
Musée du Louvre, Paris, France

📅 2025年10月15日~2026年1月26日
「#名画で学ぶ主婦業」でSNSで話題となった「マラーの死 La Mort de Marat 」や、「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト Bonaparte franchissant le Grand-Saint-Bernard」 「皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式 Le Sacre de Napoléon」――フランス革命と帝政を象徴する名画の数々で知られるジャック=ルイ・ダヴィッド。
フランス美術アカデミーの父であり、新古典主義を代表する巨匠が、没後200年を迎える節目にルーヴル美術館で大規模に紹介されます。
約100点に及ぶ代表作が一堂に会し、古典的な厳格さと歴史的場面の重みが織りなす、ダヴィッド芸術の比類なき力を体感できる回顧展です。
▶ ルーヴル美術館

by France.fr編集部
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