ワインのイメージが強いフランスですが、近年はクラフトビールを中心に、地域色あふれるビールが各地で注目を集めています。
ビール ― 親しみと土地の個性を映すフランスの味わい
ワインの国として知られるフランスですが、ビールもまた、長い歴史とともに人々の暮らしに寄り添ってきた存在です。
近年はとくに、地域に根ざしたクラフトビールへの関心が高まり、その魅力があらためて注目されています。
2014年7月18日には、「地域の伝統に由来するビール」が、ワインや蒸留酒、シードル、ポワレと並び、フランスの文化・食・景観遺産として正式に位置づけられました。
フランス各地では、醸造所見学やミュージアム、テイスティングを通して、土地ごとのビール文化に触れることができます。
オー・ド・フランス地方 ― 北フランスのビール文化
ベルギーと国境を接するオー・ド・フランス地方では、ビールは古くから人々に親しまれてきました。
この地域では、素朴でコクのある味わいのビールが多く、食事とともに楽しまれています。
ビール文化圏ともいえるオー・ド・フランス地方には、大小あわせて約350の醸造所が点在し、現在も地域に根ざしたビール造りが続けられています。
「トロワ・モン(La Trois-Monts)」「ジャンラン(Jeanlain)」「ビエール・シュティ(Bière Ch’ti/ブラスリー・カステラン)」など、地域を代表する銘柄も数多く、今もなお地元の醸造所によって大切に受け継がれています。
また、ビールはこの地方の食文化とも深く結びついています。
ビール文化を語るうえで欠かせないのが、「エスタミネ(estaminet)」と呼ばれる、北フランスの伝統的な食堂兼カフェ。
地元の人々が集い、ビールと郷土料理を気軽に楽しむ、温かな社交の場です。
ビールで牛肉をじっくり煮込む郷土料理「カルボナード・フラマン(carbonade flamande)」に代表されるように、ビールは料理の味わいを引き立てる存在として、日々の食卓に欠かせません。
オー・ド・フランス地方には、こうした地域ならではの豊かな食文化が今も息づいています。
さらに、バイユール(Bailleul)では、2027年にビール文化を紹介する施設「シテ・ド・ラ・ビエール(Cité de la Bière)」のオープンが予定されており、
オー・ド・フランスのビールの魅力をより深く知る拠点として期待されています。
グラン・テスト地方 ― ビール文化が息づく地域
フランス東部に位置するグラン・テスト地方では、ビールは今もなお、日常に根づいた伝統的な飲み物です。
アルザス
アルザスでは、ビールはアペリティフの定番。プレッツェルとともに味わわれるほか、
「ビール煮込みの豚すね肉(jarret braisé à la bière)」など、郷土料理にも欠かせません。
地方各地には多くの醸造所やマイクロブルワリーがあり、ビール造りの工程や技法を見学することができます。
また、8月初旬にはシルティグハイムで「ビール祭り(Fête de la Bière)」が開催され、街全体がにぎわいます。
ロレーヌ
同じくグラン・テスト地方に属するロレーヌでは、ステネに「国際ビール博物館」があり、
ヨーロッパのビール文化や歴史を幅広く紹介しています。
シャンパーニュ地方 ― シャンパンだけではない魅力
グラン・テスト地方の一部であるシャンパーニュでは、シャンパンのセラー見学に加え、
「ビールとその味覚の道(La route de la bière et ses saveurs)」という観光ルートも楽しめます。
約40kmにわたるルートでは、アルデンヌ地方のフランス側・ベルギー側双方の醸造所を巡り、
土地ごとの個性あふれるビールに出会えます。
フランス各地に広がる、ローカルビールの世界
ビール文化は、グラン・テストやオー・ド・フランスにとどまりません。
ブルターニュから南仏、さらには島々にまで、地域色豊かなビールが広がっています。
- コルシカ島:ピエトラ
- レ島:ビエール・ド・レ
- オレロン島:ビエール・デ・ノーフラジュール
- マルティニーク島:ロレーヌ(Lorraine)
近年では、5月にパリで開催される**「パリ・ビア・ウィーク」**など、
クラフトビールをテーマにしたイベントも増え、ビールをめぐる旅の楽しみ方はさらに広がっています。
※ アルコールの過剰摂取は健康に害を及ぼします。適量を心がけましょう。

by France.fr編集部
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