ルルド

奇跡を求めて年間500万人が訪れる国際的巡礼のメッカ

聖母マリアが現れ、いくつもの奇蹟が起きたことで世界的に有名なキリスト教の聖地。19世紀半ばからこれまでに66の奇蹟が起こったと言われます。人口約1万5,000人のこの町に、世界130カ国から年間500万人もの人々が奇蹟を求めて訪れます。宿泊施設の数は189軒と、国内でパリに次ぐ宿泊キャパシティを誇っています。

1858年:驚くべき物語

ルルドは、ガーヴ・ド・ポー川が流れるのどかな小さな村で、たくさんの水車小屋があります。そうした水車小屋の一つ、ボリー水車小屋には、10年前から、フランソワとルイーズのスビルー夫妻が4人の子供たちと一緒に住んでいます。長女の名前はマリー・ベルナルドで、ベルナデットと呼ばれています。1844年1月7日に生まれました。1854年、家族は貧乏のどん底に落ち込みます。父フランソワが仕事中の事故で片目を失い、泥棒の疑いをかけられ、監獄に入れられ、水車小屋は破産してしまうのです。その後コレラが流行し、ルルドでは38人が死亡しました。ベルナデットもコレラと結核に罹り、一生を病気がちで過ごします。水車小屋を離れることを余儀なくされた一家は、1857年に“独房”と呼ばれる16㎡の広さしかない古い監獄に移り住みます。14歳になっても、読み書きもできず、初聖体拝領もまだ受けていなかったベルナデットは、こうしたすべての出来事に打ちのめされていましたが、信じられないような体験をすることになります。

ベルナデットと聖母出現:

1858年2月11日、ベルナデットと妹のトワネットと友人のジャンヌ・アバディは、ガーヴ・ド・ポー川のほとりにあるマサビエルと呼ばれる洞窟に薪を拾いに行きます。トワネットとジャンヌが薪を拾っている間、ベルナデットは、風が吹いたような音を聞きます。思わず顔を上げた彼女は、マサビエル洞窟の岩のくぼみの中に、白い衣装を着た婦人を見ます。これが最初の出現です。その後、17回の出現がありました。
ルルドの町には、象徴的な意味をもつものがいくつかあります。・浄化のシンボルである水(毎年10,000㎥が消費され、発送されています)。・(マサビエル洞窟の)岩:私たちが身を寄せることができる信仰の岩。・信仰と希望の象徴である光:大ロウソクと松明の行進(4月から10月までの間毎晩夜9時から行われます)を通じて、聖域で見ることができます。

このようなシンボルに触れ、奇跡を求める人々が、ひきもきらずルルドに足を運びます。また訪れる人の目的は礼拝だけでなく、同じ苦しみを持った人同士のコミュニケーション、さらに、ピレネー山脈の自然とふれあうための拠点ともなっています。

主なみどころ

聖域 Sanctuaires

人口4,000人ほどのピレネー山麓の小さな村が聖地となったのは19世紀のこと。貧しい少女の前に聖母マリアが出現し、奇蹟が起きたことがきっかけとされています。
1858 年2月11日、貧しい家庭に生まれた14歳の少女ベルナデット・スービルーが洞窟で、白いドレスにベールをまとった聖母マリアに出会う。その後18回にわたってマリアはベルナデットの前に出現し、9回目の出現のとき、マリアのお 告げによってベルナデットが手を触れた地面から泉が湧き出し、その水を飲んだ人は病気が治るという奇蹟が起こりました。その話はまたたく間にフランス中に広が り、鉄道の敷設に伴ってヨーロッパ各地から奇蹟を求める人々が訪れるようになったのです。
洞窟の上には聖堂が建てられ、聖域となりました。今では、いく つもの聖堂があり、船底をイメージした聖ピオ10世地下聖堂Basilique souterraine St. Pie.Xは、2万5,000人を収容してミサを行うことができる世界で3番目に大きな聖堂。野外広場では水曜と日曜に朝のミサが、毎日、午後9時15 分から夜のミサが行われる。ロウソクを手にした人々が広場を行進し、祈りを捧げて洞窟へ。神聖な空気と参加者の熱気に圧倒されるでしょう。

奇蹟の洞窟 Grotte miraculeuse

洞窟の周辺は常に行列で、車椅子やストレッチャーに乗せられた人が優先的に進むことができる。洞窟の奥に建てられた白いマリア像の左下には、湧き続ける泉があり、熱心に祈りを捧げている人が見られる。泉の水は、水汲み場の水道から自由に汲むことができ、ボトルに詰めて持ち 帰る人がたくさんいる。

ベルナデットゆかりの地 Sur les Pas de Bernadette

聖域の周辺では土産物屋がひしめき、聖母マリアやベルナデットをあしらったグッズが売られている。少し歩くとベルナデットにゆかりの場所がいくつかある。製粉場だった生家Moulin de Boly、洗礼を受けた教会Eglise Paroissiale du Sacre-Coeur、幼い頃暮らした「独房」Cachot、通った礼拝堂Chapelle du Chateau-Fort、父親の家Maison Paternelle...。通りにはベルナデットのイラストをあしらった道案内板が出ている。「独 房」は、かつては牢屋だった建物を貧しい人々に開放した施設。

城塞 Château Fort/ピレネー博物館 Musée Pyrénées

ルルドは中世の時代から軍事的に重要な土地だった。街を見下ろす高台にある要塞はビゴール伯爵の城跡だ。宗教戦争や地震などで何度も被害を受けて修復を重 ね、牢獄として使われたこともあった。11~12世紀のロマネスク様式、13~14世紀のゴシック様式の城壁の一部が残っている。高台からはピレネーの 山々に抱かれたルルドの街が一望の下。聖域を見ると楕円形の緑地の下が大きな地下聖堂になっているのがわかる。1921年からはピレネー博物館となり、農 具や馬具、家具、食器、衣装、靴・・・、フランスとスペインにまたがるピレネーの民族文化が幅広く展示されている。庭園にあるミニチュアはピレネー地方の 村々。建築様式の違いや人々の暮らしぶりがわかる。塔の内部はピレネー地方の資料を保存する図書館となっている。

ピック・デュ・ジェールへ登るケーブルカー

ジェールの丘へ登ることができる古いケーブルカー。頂上からはピレネー山脈の美しい山々とルルドの町が一望できます。

グルメ

ルルドがあるオート=ピレネー県は美食の地方。食文化に触れないことには、この地方を知ったとは言えないほど。ビゴール(ピレネー山麓)地方の郷土料理を食べ、南西部ピレネー独特の訛りが飛び交う賑やかな朝市を覗いて、地元の生産者とも交流してみましょう。
是非味わいたいお勧め料理は、母乳で育てたラム肉、ガルビュール(白インゲン豆スープ)、ガスコーニュの黒豚、フォワグラをはじめとする鴨料理の数々。スウィーツをお求めならば、ピレネー郷土菓子ガトー・ア・ラ・ブロッシュ、カイユー・デュ・ガーヴが良いでしょう。

アクセス

  • 飛行機

タルブ・ルルド・ピレネー空港からルルド市街地まで10km。
パリ・オルリー空港、ロンドン・スタンステッド空港、オーリオ・アル・セーリオ空港(ミラノ)、ブリュッセル空港、バルセロナ空港から往復便が運航。
ポー・ピレネー空港からルルドまで45 km。
パリ・オルリー空港、パリ・シャルル・ド・ゴール空港、リヨン・サン・テグジュペリ空港、マルセイユ・プロヴァンス空港から往復便が運航。

  • 鉄道

SNCFルルド駅を利用。パリから1日に複数の往復便あり。所要時間5時間30分。

高速道路 A64号線を利用、出口はsorties 11または12。

Lourdes 

Place Peyramale, 65100 Lourdes