
外環道上に現れる森
自然と建築の真の融合への挑戦。「ミル・アルブル(Mille Arbres)」プロジェクトは、凱旋門にほど近いポルト・マイヨー(Porte Maillot)に建設される予定であり、パリ北西部の緑化計画の中心的存在となります。「1,000本の樹」を意味するその名が示す通り、樹木が建物のいたるところに植えられるため、大気汚染を防ぎ、利用者は環状道路の真上にいることを忘れて生活することができます。建ぺい率を最適化する逆ピラミッド形の建物は、非常に近未来的なデザインであり、建築愛好家たちを魅了してやみません。
パリが一望できる新スポット
郊外に限らず、パリの中心部でも変化は始まっています。パリのセーヌ河岸、まだ一般にあまり知られていない場所がその舞台です。現在、この建物面積40,000m²の建物の一部を、パリ都市計画局(Ateliers Parisiens d'Urbanisme)が使用しています。「既存の建物を保存しながらの再開発」というのが、この「モルラン・ミクステ・キャピタル(Morland mixité Capitale、新旧共存都市)」計画の主題です。実現のあかつきには、ホテル、オフィス、フィットネスクラブ、マルシェ(市場)が誘致される予定で、様々な形で楽しめる施設となりそうです。さらに、ビルの屋上からはパリの街の180度の絶景パノラマが望め、眺望が好きな人々には朗報といえるでしょう。
話題のスポーツ施設
「スポーツ、自然、樹(De Sport, de nature et de bois)」と題されたこの計画によって、パリ市と、隣接するヴァンヴ(Vanves)の街の境界は薄れ、地続きになります。パリの南部に建設される予定のこの巨大なビルは、人の行き交う活力の場となるとともに、2,500 m²の面積がスポーツ施設に充てられることになっています。2024年にパリで開催されるオリンピックの推進力となることも期待されています。スポーツ愛好家も大満足のプロジェクトです。
レ・アール・プシャールの再開発
昔の鋼管製造工場の跡地である、レ・アール・プシャール(Les Halles Pouchard)が新しい用途へと生まれ変わります。「グラン・セール(Grandes Serres、大温室)」計画は、古い産業跡地を革新的なコミュニティ空間へ転換するものであり、パリの北はルルク(l’Ourcq)運河沿いの、計画には理想的ともいえるウォーターフロントエリアで展開されます。テナントはホテル、劇場シアター、アートギャラリー、レストランなどを優先的に誘致。なんと100,000 m²もの規模となるこの一大再開発プロジェクトは、文化芸術を愛する者、建築を愛する者たち双方の注目の的となっています。
ポルト・ド・ラ・シャペルの「オ・ヴェール」計画
ポルト・ド・ラ・シャペル(la porte de la Chapelle)とラ・ヴィレット公園(le Parc de la Villette)公園の間にある、「エオル・エヴァンジル(Éole-Évangile)」と呼ばれる区域は、約13,000 m²の広大な三角形の土地です。「オ・ヴェール(Au vert)」、すなわち「緑化」という意味のこのプロジェクトは、この巨大な空間を「都市型エコロジー」と「持続可能な都市開発」のモデル街区に変身させるというもの。原則的には住居、オフィス、商業施設、文化活動施設、スポーツ施設の建設が奨励されます。一般開放される予定の広さ4,700m²の公園を中心に、それぞれのエリアがつながる設計となっています。景色を楽しみながら、都会の喧騒から逃れて散歩を楽しんで。
ラ・クールヌーヴの「文化創造工場」
パリ北部には、バブコック(Babcock)と呼ばれる工業エリアがあり、かつては工業用のボイラー製造工場が立ち並んでいました。その52,000m²の広大な敷地で展開されるのは、「ラ・ファブリック・デ・キュルチュール(La Fabrique des Cultures、文化創造工場)」プロジェクト。この計画が目指すところは、過去を残しつつ、未来のテクノロジーに注力すること。荒廃地であったこの場所が、文化芸術、スポーツ、住居、商業、オフィスのためのスペースに大変身を遂げ、さらに「拡張現実」クラスターのおかげで、グラン・パリ計画のプレイヤーたちの触媒の役目を果たします。パリの文化的イノベーションの新たな原動力となることでしょう。
歴史の記憶の場所、ロマンヴィル
ロマンヴィル要塞(Le Fort de Romainville)は、19世紀初頭、パリの防衛線を形成した16の要塞のうちの1つです。現在、「グラン・リラ(Grands Lilas、偉大なライラック)」プロジェクトによって要塞周辺地区(le quartier du Fort)の全域が、環境配慮型の街へと転換を始めており、また文化、芸術にかかわる施設の受け入れが整ってきています。レジスタンス博物館(le musée de la Résistance)のオープンを歓迎する歴史愛好家たちは多いでしょう。「グラン・リラ」は、自然豊かな環境に恵まれ、かつ交通機関へのアクセスが非常に容易であることに加え、さらに生物多様性への配慮と農業に関するプロジェクトもあり、そのための用地も準備されています。パリの北東で、新鮮な空気を味わえる新しいスポットの誕生です。
パリ北部の都市型農園
パリへの物流の新たな入り口となる巨大施設、シャペル・アンテルナシオナル(Chapelle international)の再開発工事の第1フェーズが先日完了しました。次なる第2フェーズでは、フィットネスジムや、サクレ・クール寺院(le Sacré-Cœur)を望む住居、商業施設などの再開発が行われますが、なかでも特に注目されているのが、建物の屋根に設置された7,000m²の都市型農園です。「マッシュルーフ(Mushroof)」と名付けられたこのプロジェクトの目的は、サスティナブル農法で農産物を生産し、さらに近隣の事業者と提携のもと、ショートフードサプライチェーン関係を構築することにあります。私たちがラ・シャペル産野菜のファンになるのは、そう先のことではないかもしれません!
IT起業家のための隠れ家
ここは、未来を担う企業が集う場所。パリ南部のヴィトリー・シュル・セーヌ(Vitry-sur-Seine)にあるこの広大な敷地は、2030年までに、21世紀型の生産都市モデルとなることが計画されています。「ポール・ギャール・アルドワンヌ(pôle Gare Ardoines)」と名付けられたこの施設は、ファブラボ、工房、événements 3.0.などを受け入れ、新しいデジタルテクノロジー企業の集積を目論見ます。緑溢れるテラスと可動式のキネティックファサードに囲まれる環境で、必要なものは全てこの中に用意されています。IT起業家の隠れ家といえるでしょう。