モンマルトルのブドウ収穫祭

凱旋門、エッフェル塔、シャンゼリゼ大通り、オペラ座・・、文化が花開いたヨーロッパの一大都市パリ。この洗練された街で今日もブドウの栽培がおこなわれていることをご存知ですか?

パリ北方、有数の観光名所であるモンマルトルの丘は、ノートル・ダム寺院に次ぐ観光客数を誇り、毎年1200万人の人々が訪れています。白亜のサクレ・クール寺院や画家の集まるテルトル広場、石畳の情緒あるアベス地区などいかにもパリらしいロマンチックな界隈は、年月を経ても常に多くの観光客の憧れです。

じつはこの丘には、今日もブドウ畑が残り、毎年10月の第2週末に、その年のぶどう収穫を祝って3日間に渡って盛大なお祭りが行われていますが、実はここで入手できる希少な「パリ産ワイン」(!)があるのです。モンマルトルのブドウ畑で収穫されたブドウだけを使った知る人ぞ知るワインで、毎年1000本前後で限定生産されています。

お祭りでは他にも、フランス各地方の文化や名産品を紹介に多くの出店者が集まるスタンドが立つほか、伝統芸能を紹介するパレードも行われ、サクレクール寺院の周辺一帯は3日間の間、大変な人出で賑わいます。ブドウ収穫祭というだけでなく、パリにいながらフランス全土の文化を体感できるイベントで、昨年は30万人以上の入場者がありました。収穫祭は年々人気のイベントとなっており、今年はさらに多くの見物者数が見込まれています。モンマルトルブドウ収穫祭はパリの秋を代表する、見逃せない重要なイベントの一つとしてその地位を確立しつつあります。
またこのイベントはパリ18区の商店や公共施設、住民が一丸となって開催している古いお祭りで、75回目の開催となる今年は、「モンマルトルと映画」をテーマ実施され、ただワインを飲むだけではなく、モンマルトルの街と映画の歴史を振り返るイベントになっています。クロード・ルルーシュ監督が招待されている講演会ほか、モンマルトルを舞台にし、日本でも本国でも大ヒットした映画「アメリ」に因んだ音楽コンサートや、その他モンマルトルで撮影された映画の上映も予定されていて、映画ファンにはたまらないイベントになることでしょう。

モンマルトルのブドウ畑の歴史

かつては一面がブドウ畑だったマルトルの丘は、長い間パリ郊外の農地で、村一面がブドウ畑に覆われていました。その後の都市整備で、農村だったモンマルトル界隈も開発され、現在のような開けた住宅街になりましたが、サクレクール聖堂の裏をラマルク・コーランクールの駅に向かって下っていくと、今日も残るブドウ畑があります。現在パリには、このモンマルトルのブドウ畑以外に、ベルヴィル、ベルシー、15区のジョルジュ・ブラッサンス公園のブドウ畑が残っており、パリ市によって管理されています。
数字で見るモンマルトルのブドウ畑
モンマルトル美術館のすぐ隣にああるブドウ畑は総面積にして1556㎡。栽培されているブドウの品種は全27種類。生産量でみると75%がガメ(主にボジョレーで栽培されている品種)、20%がピノ・ノワールで、その他にセイベル、メルロー、ソーヴィニョン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、リースリングなどが栽培されています。毎年ここで収穫されたブドウを使って約1700本ほどのワインが生産されます。

限定生産の理由

ワイン製造が営利目的のものではなく、売り上げもすべて社会活動の資金に充てていることにあります。ブドウ畑の栽培を管理しているのはパリ市で、一般人にはまったく知られていないような18区内のいくつかのカーヴで醸造が行われています。

モンマルトルで収穫されたブドウだけを使った希少なワイン!

モンマルトルで生産されるワインはたった1種類。ガメやピノ・ノワールを原料に、フルーティーで軽い口当たりが特徴的なワインを毎年生産しています。どちらかというとワインの味を追求した逸品というよりは、収集品として価値のある物珍しいワインのイメージが強く、アルコール度も11.5度とワインにしては低め、かつて大衆酒場で好んで飲まれていたような気取っていないワインが販売されます。毎年、モンマルトルに所縁のあるアーティストや作家の、歌手の名前が付けられ、50clの細いボトル一本当たり40ユーロ前後で売られています。

モンマルトルのワインはどこで入手できる?

18区テルトル広場の角にあるモンマルトル観光協会Syndicat d’initiative、モンマルトルのブドウ畑組合では一年を通じてワインを販売しており、過去に生産されたワインも展示されています。ただ、基本的に生産量が少ないものなので、在庫があるかどうかは保証できません。また、ブドウ収穫祭では、このワインを限定で扱っているワインセラーのリストも配布されています。

モンマルトルの人気に火をつけた映画「アメリ」

特にこの人気を不動のものにしたのは、2001年に本国でも日本でも大ヒットしたジャン=ピエール・ジュネ監督の映画「アメリ」。パリの街が一望できる丘の上サクレ・クール大聖堂や、石畳に街灯が似合うまさに「パリらしい」ロマンチックな街並みを舞台に、愛と笑いにあふれるパリジャンの日常生活を紹介した作品は、多くの人に「モンマルトルの丘に佇むアパートに住んでみたい」と思わせたことでしょう。

モンマルトルをこよなく愛するパリッ子のお勧め

モンマルトル観光協会の責任者であるロベール・ダングジェールやブドウ畑協会会長ジル・ギエがお勧めするワイン関連施設、一般ガイドでは紹介されていないとっておきのお店です。生粋のモンマルトルっ子のアドヴァイスに従って、おいしいワインの発見に出かけましょう!

ワイン専門店セリエ・ド・ラ・ビュットCellier de la Butte 113 rue Caulancourt75018 ParisTel: + 331 46 06 91 96

ワインバーミディネットMidinette 2 rue Robert-Planquette75018 ParisTel: + 331 42 54 40 70

ポンポネットPomponnette 42 rue Lepic75018 ParisTel: +33 1 46 06 08 36 レストランカフェ・ブルク Café Burq6 rue Burq75018 ParisTel: +331 42 52 81 27

マスコットMascotte 52 rue des Abbesses75018 ParisTel: +331 46 06 28 15

ボンヌ・フランケットBonne Franquette 18 rue Saint-Rustique75018 ParisTel: + 331 42 52 02 42

ワイン美術館ミュゼ・デュ・ヴァンMusee du vin 5 square Charles-Dickens75016 ParisTel: +331 45 25 63 26

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