2023年に必ず訪れたい8つのピカソ展

油彩画、デッサン、陶芸などさまざまな分野で20世紀以降の美術に軌跡を残したパブロ・ピカソ。2023年は没後50年を記念する年であり、フランスをはじめ世界各地で50もの特別展が開催されています。ピカソの作品、そしてその膨大な芸術的遺産に触れる機会となります。現代的な視点、ピカソと同時代の芸術家たちとの対話、美術史を彩る巨匠たちなど、フランス各地の美術館で予定されている特別展をご紹介します。

「ピカソと先史時代」 人類博物館 - 国立自然史博物館

2023年2月8日〜6月12日

油彩画、彫刻、デッサン、陶器、そして彫刻された小石まで・・・。トロカデロ広場から数分のところにある人類博物館では先史時代の洞窟壁画がピカソに与えた影響に焦点を当てます。洞窟壁画、岩面彫刻、巨石の遺跡、家具、ヴィーナス小像など20世紀初頭に発掘された旧石器時代のさまざまな遺物とピカソの作品との芸術的な対話をお楽しみください。

パリの人類博物館 – 国立自然史博物館Le Musée de l’Homme Museum national d’histoire naturelle を訪れる (外部リンク) (英語)

「ピカソ没後50年記念、色彩を巡るコレクション」 パリの国立ピカソ美術館

2023年3月7日〜8月6日

ピカソ没後50年を記念し、パリ国立ピカソ美術館では新しい視点を持って常設展を鑑賞することを提案しています。美術館所有のピカソの名作および、ギレルモ・クイトカGuillermo Kuitcaやオビ・オキグボObi Okigbo、ミカリーン・トーマスMickalene Thomas、シェリ・サンバChéri Sambaなど現代アーティストの作品がこの春より、美術館となっているサレ館に展示されます。イギリス人デザイナーのポール・スミスPaul Smithが演出を手がけており、ピカソの作品の最も象徴的な瞬間や主題、作品が後世に引き継がれていることの意味を再考させます。秋には、コンセプチュアルアーティストで写真家のソフィー・カルSophie Calleによる、ピカソの作品をめぐり、別の現代的なビジョンが提示される予定です。

パリの国立ピカソ美術館le musée national Picassoを訪れる (外部リンク) (英語)

「ピカソ1969-1972 〜 始まりの終わり」展アンティーブのピカソ美術館

2023年4月8日〜6月25日

ピカソの仕事ぶりを見ればわかることですが、創造性には限界も年齢制限もありません。ピカソ晩年20年間が特徴的なのは、非常に旺盛な創作活動をおこなったことがあげられます。生き生きとした色彩にあふれ、大きな判型の画を用いて、闘牛士や銃士などお気に入りのモチーフを繰り返し登場させるなど、ピカソは新たな芸術的な実験を重ね、後世に多くのメッセージを残しました。2023年春、アンティーブのピカソ美術館で開催されるピカソ没後50周年記念特別展で、ぜひピカソの傑作に触れてください。

コート・ダジュール、アンティーブのピカソ美術館le musée Picasso d’Antibesを訪れる (外部リンク) (フランス語)

「形と変容:ピカソの陶芸作品」展 マグネリ美術館、陶器博物館

2023年5月6日〜10月30日

天才ピカソの創作活動は絵画だけに止まりません。コート・ダジュールにあるヴァロリスVallaurisは、1948年から1955年にかけてピカソが住んだ村で、村内のマグネリ美術館はピカソが滞在中にマドゥーラ工房で制作した陶器作品の充実したコレクションを所蔵しています。この夏、マグネリ美術館はピカソ没後50周年記念イベントの一環として、ピカソの豊富な作品の一部を公開します。また特別展開幕に合わせて2023年5月6日、7日にはヴァロリス・ゴルフ・ジュアンVallauris Golfe-Juanの市内で、記念イベントが開催されます。

コート・ダジュール地方のヴァロリスのマグネリ美術館、陶器美術館Le Musée Magnelli, Musée de la céramique を訪れる (外部リンク) (フランス語)

「ピカソが見たゴヤ」展 カストルのゴヤ美術館

2023年6月30日〜10月1日

オクシタニー地方のカストルCastresにあるゴヤ美術館はスペイン美術を中心としたコレクションを所蔵する美術館で、ゴヤとの密接な関係を明らかにすることを軸にしたピカソ展が開催されます。スペイン出身のゴヤとピカソは、生きた時代は違いますが、闘牛や戦争風刺など多くの共通した画題があります。素描、版画、リトグラフ、写真を通して、ピカソの作品においてゴヤがいかに重要な役割を担っていたかを検証します。

オクシタニー地方カストル
ゴヤ美術館ー スペイン美術館le Musé Goya-Musée d’art hispanique を訪れる (外部リンク) (フランス語)

「ガートルード・スタインとピカソ。言語の考案」展 ルクセンブルク美術館

2023年9月13日〜2024年1月21日

ピカソ没後50年を記念し、ルクセンブルク美術館は、ピカソの最も誠実な友人であり、崇拝者であったアメリカ人の詩人ガートルード・スタインGertrude Steinに焦点を当てます。彼女は近代絵画のコレクターとして知られ、キュビズムの巨匠として知られるピカソの作品も「アヴィニョンの娘」などを始め、いくつもの傑作を所蔵しています。スペイン人画家ピカソの作品はスタインの作品である詩と対話し、特別な関係を演出しているように見えます。また展示からは、スタインとアンリ・マティスやジャン・コクトーと言った前衛的な芸術家たちとの関係や、ピカソがアンディー・ウォホールやロバート・ラウシェンバーグといったポップアート界で活躍するアーティストたちに与えた影響なども探ります。

パリのルクセンブルク美術館Le Musée du Luxembourg を訪れる (外部リンク) (英語)

「近代のパリ 1905年 – 1925年」展 プティ・パレ

2023年10月17日〜2024年4月28日
フォーヴィスムがセンセーションを起こしたことで知られる1905年開催の展覧会サロン・ドートンヌから1925年のパリ万国博覧会まで、20世紀の最初の1/3は文化が激変した時代です。写真、絵画、彫刻、デザイン、ファッション、映画、建築など、パリは新しい芸術の実験の舞台となり、多くの才能が集まりました。破壊的とも言える芸術家だったピカソがこの世を去って50年、パリ市立近代美術館では、近代に活躍した芸術家たちにスポットを当てます。

プティ・パレPetit Palais, パリ市立近代美術館Musée des Beaux-Arts de la ville de Parisを訪れる (外部リンク) (英語)

「ピカソ。2023 デッサン」展 ポンピドゥーセンター

2023年10月18日〜2024年1月22日

ピカソ没後50年を記念して、ピカソのアトリエからデッサンや版画を、世に知られた周知の作品、あるいは知られざる作品を問わず、2000点以上も集め、ピカソの仕事を辿る特別展がポンピドゥーセンターで開催されます。くねくねとしたライン、ストライプのデッサン、パステル調の色合いなど、創造性に溢れる才能に触れることができます。傑作が生み出される舞台裏を見ることができ、それはまるで個人的な日記を見るようです。2023年秋にぜひ鑑賞したい貴重な至宝の数々が展示されます。

パリのポンピドゥーセンターle Centre Pompidouを訪れる (外部リンク) (英語)