ミディ運河沿いで、美味しさと発見に満ちた旅を。 ペダルをこぐたびに、オクシタニー地方の味わいや風景に出会える、自転車でめぐる特別な一週間。 トゥールーズからセットまで、小さな寄り道が楽しく、通り過ぎる景色も心に残ります。
1日目 : バラ色の街・トゥールーズ
Toulouse, France
- サイクリングの出発前に、まずはトゥールーズの中心、キャピトル広場へ。歴史と活気が交差するこの広場で、街の空気を感じながらのんびりと過ごしてみては。広場に面した中庭に足を運べば、都会の喧騒を忘れさせてくれる静けさに包まれます。
- ランチはサン=ジョルジュ地区へとペダルを進め、木陰のテラスが心地よい「バルタザール
Restaurant Balthazar」へ。地元の旬の食材を大切にした料理は、この土地ならではの美味しさを届けてくれます。
- 午後は、修道院を活用した美術館「オーギュスタン美術館」で芸術に触れたあと、緑豊かな「植物園」へ。街の中心にありながら、自然の静けさに包まれる心地よい空間で、ゆったりとした時間を。
- 夜は、煉瓦と木の温もりが心地よいレストラン「ユヌ・ターブル・ア・ドゥ Une Table à Deux」で、心が満たされるディナーをお楽しみください。
- 今夜の宿は、ガロンヌ川沿いに佇む「メゾン・ソクロ Hôtel Maison Soclo」。緑に囲まれた庭園と水音が響くプールのある空間で、トゥールーズらしいやすらぎの時間をお過ごしください。
2日目:トゥールーズからカステルノダリへ(66km)
Castelnaudary, France
- ミディ運河をめぐるサイクリング旅、2日目はトゥールーズを出発して本格的な運河の風景へ。プラタナスの並木がつくる緑のトンネル、いくつもの水門(閘門)、そして運河沿いの風情ある家々…走るたびに風景が変わる、美しい一日が始まります。
途中、ロラゲ港の休憩所でひと息入れたら、ピエール=ポール・リケが設計した運河の要所「ノルーズ分水点」へ。ミディ運河の歴史を語るうえで欠かせない、象徴的な場所です。
- ランチはロラゲ地方の中心部にある美食レストラン「オーベルジュ・デュ・ポワ・ピュブリック Auberge du Poids Public」で。地元の新鮮な食材を使った伝統料理を、田園風景を望む落ち着いた空間でお楽しみください。
- 午後は、カステルノダリの「グラン・バッサン Grand Bassin」へ。ミディ運河最大の貯水池として知られ、18世紀の風車からは町並みを一望できます。
- 旅の締めくくりは、運河近くのゲストハウス「クロ・ダンドレ Clos d’André」でのんびりと。家庭の味が光る伝統のカスレを味わいながら、心も体も満たされる夜を。
3日目:カステルノダリからカルカッソンヌへ(52km)
Carcassonne, France
- カステルノダリを朝早く出発し、ミディ運河沿いにカルカッソンヌを目指す一日がスタート。途中、4つの水槽を持つ印象的なサン・ロック水門を通過しながら、風景と運河の技術美を楽しみましょう。
- 旅のゴールは、ユネスコ世界遺産にも登録された中世の城塞都市カルカッソンヌ。ランチは軽めに済ませて、午後は思いきりこの歴史都市を堪能しましょう。オード川右岸に位置し、いまも人々が暮らすこの中世都市は、約2500年の歴史を体感できる貴重な場所です。
- 歴史好きにはたまらない見どころが満載。コンタル城や複数の博物館、そして中世の暮らしを体験できるワークショップも開催されています。夜にはランタンを片手に、語り部の案内でめぐる幻想的なナイトツアーもおすすめです。
- 一方で、現代的な楽しみを求める方には、趣あるブティックやカフェ、小さな醸造所など、歴史の香りと今がほどよく溶け合う街歩きも魅力。
- ディナーは、プロヴァンスの彩りあふれるレストラン「ジャルダン・ドゥ・レスタニョル Jardin de l’Estagnol」へ。夜は、城壁の見える憧れのホテル「オテル・ド・ラ・シテ Hôtel de la Cité」で。ロマンチックな眺めとともに、旅の最終夜をゆったりとお過ごしください。
4日目:カルカッソンヌからオンプスへ(39km)
Homps, France- ミディ運河の旅も4日目。この日は地域のワイン文化に触れながら「ヴァントナック城」を訪れるところから始まります。ワインの歴史が息づく場所で、風土とともに育まれてきたヴィティカルチャー(ぶどう栽培)の魅力を感じてみましょう。
- ランチはオンプスの港へ。運河沿いのレストランでは、地元の名物料理とともに、穏やかな水辺の風景を楽しめます。
- 午後はオンプスの村をゆっくりと散策。石造りの家が並ぶ美しい路地を歩けば、この土地の素朴で静かな魅力に心がほどけていきます。
- 夕食は、糸杉やオリーブの木、樹齢百年を超える菩提樹に囲まれたレストラン「レ・トンヌリエ Tonneliers」で。自然に包まれた空間で、心満たされるひとときを。
- 夜は、運河沿いを歩くロマンチックなナイトウォークで一日の締めくくりを。今夜の宿は「ジャルダン・ドンプス Jardin d’Homps」。緑豊かな庭園を備えた、くつろぎのゲストハウスでゆっくりお休みください。
5日目:オンプスからナルボンヌへ(35km)
Narbonne, France- ミディ運河沿いのサイクリングもいよいよ終盤へ。プラタナスや松の木陰が心地よい道を、舟の船体に水が静かに当たる音をBGMに、のんびりと進んでいきます。
- 古代ローマの面影が残る街、ナルボンヌに到着したら、ランチはレ・アールの市場 marché des Hallesへ。地元のチーズや新鮮な海の幸、そしてラングドック地方のワインに舌鼓を。
- 午後は、大司教の館 Palais des Archevêques を訪ねてみましょう。美しく整えられた庭園は、散策にも小休止にもぴったり。塔の上から眺める街の風景もぜひお見逃しなく。
- 旅の締めくくりの夜は、ラグジュアリーなゲストハウス「ヴィラ・アンブロジア La Villa Ambrosia」へ。アンティーク家具と現代的なインテリアが調和した明るく洗練された空間で、ふたりの時間をゆったりと過ごせます。屋内プール、ジャグジー、マッサージルーム、そして充実した朝食まで揃った、心と体をときほぐす極上の滞在です。
6日目:ナルボンヌからベジエへ(59km)
Béziers, France
- ナルボンヌを出発し、道中の見どころを巡りながらベジエへ向かいます。最初に現れるのは、「トンネル・デュ・マルパ Tunnel du Malpas」。世界初の運河用トンネルとして建設されたこの場所は、創設者ピエール=ポール・リケの情熱と先見性を今に伝える重要な遺構です。「くり抜かれた山」の名を持つ地層の中を173メートルにわたり通り抜けるトンネル内では、浸食によってできた美しい壁面の模様が見られます。
- さらに進むと、運河の象徴的存在「フォンセランヌの9連水門 9 écluses de Fonseranes」へ。船を何段もの高低差で昇降させるこの壮大な水門群は、ミディ運河における最大の技術的見どころです。
- 道の途中には、歴史の名残を今に伝えるピュイセルギエ城 Château de Puisserguier も。丘の上にそびえるその姿は、かつての防衛拠点の面影を色濃く残し、周囲の自然や保護された景観を一望できます。
- 午後は、フォンコード修道院 Abbaye de Fontcaudeへ。古代の温泉信仰を起源とするこの修道院は、見事な修復によって往時の美しさを取り戻しました。サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の支線沿いにあるこの地は、静けさと歴史の重みが感じられる特別な場所です。
- 夕食は、ベジエの闘技場近くにある温かな雰囲気のレストラン「ラ・メゾン・ド・プティ・ピエール La Maison de Petit Pierre」へ。夜は街の中心にあるブティックホテル「オテル・パルティキュリエ・ベジエ Hôtel Particulier Béziers」で。洗練された内装と落ち着いた雰囲気が、旅の疲れを優しく癒してくれます。
7日目:ベジエからセットへ(51km)
Sète, France
- ミディ運河の旅もいよいよ最終日。まずは「ポン・カナル・ド・ベジエ(ベジエの運河橋)」を通過。全長93アーチ、高さ12メートルを誇るこの「船のための橋」は、オルブ川の上を水が流れる壮観な構造です。橋の上からは、街の橋群やサン=ジャックの丘、サン=ナザールの丘が織りなす美しい眺望が広がります。
- 地中海に面した港町セットに到着したら、ランチは「ラングドックのヴェネツィア」と呼ばれるこの街の漁師町エリアへ。静かな小道を歩きながら、地元の暮らしを感じてみましょう。昼食には、海辺のレストラン「ラ・ポワント・クルト La Pointe Courte」へ。新鮮な魚介と地中海の風味が詰まった、素朴ながら洗練された料理が楽しめます。
- 午後はサン・クレール山に登って、街と海を一望するパノラマを堪能。その後は海岸沿いの道を散歩しながら、潮風とともに旅の終わりを噛みしめてください。
- 夜はセット中心部にある「レ・クレ・セクレット Les clés Secrètes 」での滞在を。運河を望むスイートルームは、洗練されたインテリアと唯一無二の世界観が魅力。特別な夜を、ゆったりとお過ごしください。
ひとことアドバイス
ミディ運河沿いを巡る自転車旅の準備をする際には、環境への配慮もお忘れなく。
過剰な消費やゴミを減らすために、持ち物はよく考えて選びましょう。
たとえば、洗って何度も使えるトートバッグや固形タイプのケア用品、マイボトル、リユースできるカトラリーなど、エコで実用的なアイテムを選ぶのがおすすめです。

by Leguen Mélanie
ジャーナリスト
メラニーはバスク地方のビアリッツでジャーナリストとして活動しています。ヴィンテージへの情熱を持ち、今では地域の魅力を発見しながら、お宝探しと街歩きの日々を楽しんでいます。