コートダジュールには、美しい海だけでは語り尽くせない魅力があります。
黄金色のミモザが春の訪れを告げるマンドリュー=ラ・ナプール(Mandelieu-la-Napoule)、世界中の香水文化を育んできたグラース(Grasse)、芸術家たちに愛されたムージャン(Mougins)、レモンと地中海の風景が広がるマントン(Menton)、そして南アルプスの豊かな自然に抱かれたヴァルベルグ(Valberg)。海辺のリゾートから丘の上の村、花畑、庭園、そして山岳リゾートまで、多彩な風景が広がっています。
花と香り、アート、食、自然──コートダジュールのさまざまな表情に出会う5日間の旅へ出かけてみませんか。
■Day1 ニース → マンドリュー=ラ・ナプール
コートダジュールの旅は、ニースからスタート。ニースからマンドリュー=ラ・ナプールへは、TER(地域鉄道)で約40〜45分。カンヌを経由して気軽にアクセスできるほか、レンタカーなら海沿いの道路を走って約40分です。
車で向かうなら、途中でアンティーブやカンヌに立ち寄りながらドライブを楽しむのもおすすめ。地中海の青い海を眺めながら西へ進むと、「ミモザの都」として知られるマンドリュー=ラ・ナプールに到着します。
マンドリュー=ラ・ナプール
Mandelieu-la-Napoule, France黄金色のミモザに出会う、コートダジュールの春の始まり
毎年1月から3月にかけて、マンドリュー=ラ・ナプールの丘陵地は、黄金色のミモザで鮮やかに染まります。
オーストラリア原産のミモザは19世紀半ばにこの地へもたらされ、温暖な気候のもとで根付きました。
今ではマンドリュー=ラ・ナプールは「ミモザの都(Capitale du Mimosa)」として知られ、コートダジュールに春の訪れを告げる町となっています。
なかでも毎年2月に開催されるミモザ祭りは、この町を代表するイベントです。
1931年から続く伝統ある祭りでは、ミモザで華やかに飾られた山車が街を巡る花のパレードをはじめ、夜のライトパレード、子ども向けイベント、音楽やダンスのステージなど、5日間にわたり街全体がお祭り一色に包まれます。
沿道では観客にミモザの花束が配られ、冬の太陽のように明るい黄色い花が街中を彩ります。
マンドリュー=ラ・ナプールは、130kmにわたってコートダジュールを結ぶ「ミモザ街道(Route du Mimosa)」のハイライトでもあります。ボルム・レ・ミモザからグラースまで続くこのルートは、地中海沿岸やエステレル山塊、そしてヨーロッパ最大級のミモザの森として知られるタヌロンの森を巡る、冬だけの特別なドライブコースです。開花シーズンには、山肌を埋め尽くす黄金色の景色と甘くやさしい香りが旅人を迎えてくれます。
シャトー・ド・ラ・ナプール
Château de La Napoule - La Napoule Art Foundation, Avenue Henry Clews, Mandelieu-la-Napoule, France町を訪れたら、まずは海辺にたたずむシャトー・ド・ラ・ナプールへ。
赤い石造りの城は20世紀初頭にアメリカ人芸術家ヘンリー&マリー・クルーズ夫妻によって再生され、現在は美術館として公開されています。
彫刻が点在する庭園からはカンヌ湾を一望でき、芸術と自然が調和する美しい空間です。
さらに時間があれば、モン・サン・ペールのハイキングや、SUP・カヤックでエステレル海岸を巡るアクティビティもおすすめです。
海辺のレストランでは新鮮な魚介料理やプロヴァンス料理を味わい、地元のマルシェでは季節の野菜やオリーブオイルなど、南仏ならではの食文化にも触れられます。
1月から3月中旬にコートダジュールを旅するなら、ぜひマンドリュー=ラ・ナプールへ。
海と山、芸術、そして一面に咲き誇るミモザが織りなす景色は、この季節だけの特別な思い出になるでしょう。
■Day2 マンドリュー=ラ・ナプール → グラース
世界を魅了する香りが生まれる、香水の都へ
グラース
Grasse, Franceミモザの花咲くマンドリュー=ラ・ナプールを後にして向かうのは、コートダジュール内陸部に位置するグラース。
海岸線から車で約30分、丘陵地帯に広がるこの町は、2018年に香水に関する伝統技術がユネスコ無形文化遺産に登録された、世界的な「香水の都」です。
かつて革製品の産地として栄えたグラースでは、革手袋の香りづけに花のエッセンスが使われたことをきっかけに香水産業が発展しました。
現在もフラゴナール(Fragonard)、モリナール(Molinard)、ガリマール(Galimard)といった歴史ある香水メゾンが受け継ぐ伝統の技術は、世界中の高級ブランドを支え続けています。
国際香水博物館
Musée International de la Parfumerie (MIP), Boulevard du Jeu de Ballon, Grasse, Franceまず訪れたいのは、国際香水博物館(Musée International de la Parfumerie)。
古代から現代まで約4,000年にわたる香水文化の歴史を紹介する世界でも珍しい博物館で、香料植物の栽培から調香、ボトルデザイン、製造技術まで、香水づくりの奥深い世界を知ることができます。世界中で愛される名香「シャネル N°5」にまつわる展示も見逃せません。
グラースを訪れたら、ぜひ体験したいのがオリジナル香水づくりです。
フラゴナールやモリナール、ガリマールでは、調香師のアドバイスを受けながら、さまざまな香料を組み合わせて自分だけの香りを制作できます。旅の思い出を持ち帰るだけでなく、その瞬間の記憶を香りとして残せる、グラースならではの特別な体験です。
ドメーヌ・ド・マノン
36 Chemin du Servan, Grasse, France香りの旅は、町の外へも続きます。
グラース周辺には、センティフォリアローズやジャスミン、アイリス、オレンジの花など、香水の原料となる植物が育つ花畑が広がっています。
なかでもドメーヌ・ド・マノン(Domaine de Manon)では、季節ごとに咲く花々を間近に見学でき、花から香水が生まれるまでの物語に触れることができます。5〜6月にはバラ、8〜10月にはジャスミンが見頃を迎え、季節ごとに異なる表情を見せてくれます。
町の中心部では、石畳の坂道が続く旧市街をゆっくり散策しましょう。「芸術と歴史の街」に認定されたグラースには、中世の面影を残す路地や広場、教会が点在し、南仏らしいオーカー色の建物が穏やかな街並みをつくり出しています。丘の上から眺める景色も美しく、海辺のリゾートとはひと味違うコートダジュールの魅力を感じられるでしょう。
夏に訪れるなら、毎年8月に開催されるジャスミン祭りもおすすめです。街にはジャスミンの香りが漂い、花で飾られたパレードや音楽、ダンスなどでにぎわいます。マンドリュー=ラ・ナプールのミモザ祭りと並び、この土地が花とともに暮らしてきた文化を象徴するイベントです。
グラースは、香水を「買う」場所ではなく、「香りが生まれる背景」を知ることができる町。花を育てる人、香料を抽出する人、調香師たちの技術が受け継がれてきたからこそ、世界中の名香がここから生まれてきました。花の景色を楽しんだ前日に続き、この日はその花が香りへと姿を変える瞬間に触れる一日を過ごしてみませんか。
■Day3 グラース → ムージャン
芸術と美食に出会う、丘の上の小さな村
ムージャン
Mougins, France香水の都グラースから車で約30分。緑豊かな丘の上にたたずむムージャンは、中世の面影を残す美しい村です。
石畳の路地を歩けば、アトリエやギャラリー、小さな広場が次々と現れ、穏やかな時間が流れています。
村の高台からはカンヌ湾や地中海、晴れた日にはエステレル山塊まで見渡すことができ、その眺望も大きな魅力の一つです。
ムージャンは、長年にわたり多くの芸術家を惹きつけてきました。
なかでも最も有名なのが、晩年をこの村で過ごしたパブロ・ピカソです。
1961年から1973年に亡くなるまで、ピカソは村の郊外にあるノートルダム・ド・ヴィ修道院近くの邸宅で制作を続けました。
村の中心部にはピカソの像が建ち、今もなお芸術家たちの息づかいを感じられる場所となっています。
ムージャン女性芸術家美術館
FAMM (Femmes Artistes du Musée de Mougins), Rue du Commandeur, Mougins, France散策の途中には、ぜひFAMM(Femmes Artistes du Musée de Mougins:ムージャン女性芸術家美術館)へ足を運んでみましょう。女性芸術家に焦点を当てたユニークな美術館で、歴史的な作品から現代アートまで幅広いコレクションを展示しています。村にはほかにもギャラリーや工房が点在し、芸術作品との思いがけない出会いが待っています。
