パリからアンジェへ──ノートルダム大聖堂に新たな命を吹き込んだ職人たちを訪ねる5日間の旅。 百年の木、精緻な石彫、赤く輝く金属。 フランスの技と情熱を間近に感じる、サヴォワフェールの道を辿る旅へ。
1日目 : パリ ─ノートルダムの記憶をたどって
Notre Dame, Paris, France
- 旅のはじまりは、フランスの首都パリから。
ノートルダム大聖堂 Notre-Dame de Paris の歴史と再生の物語に触れる、没入型のガイドツアーへご案内します。美しく修復されたステンドグラス、再設計された祭具や家具、その一つひとつに込められた職人たちの手仕事と情熱を感じてください。
- 夕食は、ノートルダムから徒歩15分の「レ・ファーブル・ド・ラ・フォンテーヌ Les Fables de la Fontaine 」へ。モダンで創造性あふれる料理を、洗練された雰囲気の中で楽しめる人気レストランです。新鮮な食材と美しい盛り付けも魅力のひとつ。
- 食後は、ライトアップされたノートルダムの幻想的な姿をお見逃しなく。その後はセーヌ川沿いを散歩しながら、ホテル「SO/ Paris」のルーフトップバー「ボニー Bonnie」へ。パリの街を一望できる特等席で、夜景とともに一杯のカクテルを。
- 宿泊は「SO/ Paris」で2泊。デザイン性の高い空間と、息をのむようなパノラマビューが魅力のホテルで、忘れられない滞在をお楽しみください。
2日目 : パリからジェヌヴィリエを経てジヴェルニーへ(全行程87km)
Giverny, France- パリから北へ。最初の目的地はジェヌヴィリエにある「ルフェーヴル工房 Ateliers Lefèvre 」。石材加工の専門工房で、ノートルダム大聖堂のフライング・バットレス(控え壁)や彫像の修復において重要な役割を果たした職人たちの現場です。まるで時をさかのぼるようなガイドツアーでは、石に刻まれた歴史の声に耳を傾けることができます。
- 次は、イル・ド・フランスとノルマンディーの境界に位置するイヴリーヌ県ゴムクール Gommecourt へ。「ジュトー工房 l’Atelier Juteau 」では、光とガラスが織りなす繊細な職人技が体感できます。
ノートルダム大聖堂のステンドグラス修復を手がけたことで知られるこの工房では、バラ窓や高窓の輝きを見事によみがえらせました。
細やかな手仕事、色彩の魔法、そして職人たちの知恵──この魅力的な世界に触れてみましょう。
- 夕食と宿泊は、ジヴェルニーの自然に包まれた隠れ家「ル・ジャルダン・デ・プリュム Jardin des Plumes 」へ。アール・デコの趣が漂う空間で、洗練されたもてなしとエコ・コンシャスな滞在を満喫できます。星付きシェフ、ダヴィッド・ガリエンヌが地元食材にひねりを加えた料理で感性を魅了。
もし時間に余裕があれば、シェフによる料理教室にも参加して、忘れられない美食体験を楽しんでみてください。
3日目 : ジヴェルニーからシャルトルへ(105km)
Chartres, France- ステンドグラスの世界をさらに深く知るため、次の目的地シャルトルへ。大聖堂のすぐそばにある「国際ステンドグラスセンター Centre International du vitrail 」では、中世の名作から現代アートまで、時代を超えて進化してきた“光の芸術”を体感できます。
- そこから車で約1時間、今夜の宿は「グリート・シャルトル・エスト Greet Chartres Est 」。アンティーク家具がセンス良く再利用され、日常のアイテムが詩的に生まれ変わる空間。ありのままの温かさと、環境への配慮が調和した、心地よい滞在が待っています。ホテルというより、心くつろぐ小さなオアシスのような場所です。
4日目 : シャルトルからアンジェへ(123km)
Angers, France
- 次の目的地は、ロワール地方のモージュ・シュル・ロワール Mauges-sur-Loire 。ここにある「ペロー工房 Ateliers Perrault 」では、ノートルダム大聖堂の象徴でもあった“森”──巨大なオーク材の屋根構造が、代々受け継がれてきた職人技と精密な技術によって見事に再現されました。伝統的な工具と最新のエンジニアリングが交差するこの工房では、一本一本の梁に物語があり、一つひとつの動作が歴史を受け継いでいます。
- 午後は雰囲気を変えて、アンジェの街歩きへ。石畳の路地と木組みの家が残る旧市街は、まるで中世へと時をさかのぼるよう。必見スポットは「アンジェ城 château d’Angers 」。この壮大な城塞には、中世のタペストリー芸術の傑作《アンジェの黙示録 Tenture de l'Apocalypse 》のタピスリーが展示されており、色と糸で綴られた壮大な物語と職人技が鑑賞できます。
- 夕食は、マエンヌ川沿いにある人気のレストラン「カルミーヌ Carmine 」へ。洗練とリラックスが心地よく同居する空間で、シェフ・マクシム・エランの手による革新的な一皿を楽しめます。見た目にも美しい料理と意外性のある味の組み合わせ、そしてあたたかな雰囲気が旅の夜を彩ります。
- 滞在は「 オテル 21 フォッシュ Hôtel 21 Foch」へ。ミニマルなデザインと落ち着いた快適さを兼ね備えたブティックホテルで、細部にまでこだわったサービスとサステナブルな取り組みも魅力。アンジェ中心部で静かにくつろぎたい方にぴったりの一軒です。
5日目;アンジェからノワイヤン・ヴィラージュへ(45km)
Noyant-Villages, France
- 次の目的地は、アンジェから東へ約45km、ロワール地方にあるノワイヤン=ヴィラージュ。「ルビエール芸術鍛造工房 Forge d’Art Loubière 」では、金属に命が吹き込まれる現場を間近で体感できます。赤く熱した鉄が打たれ、曲げられ、彫刻されていく様子は圧巻。その手仕事の精密さは、まさに職人の真骨頂です。
ここでは、ノートルダム大聖堂のステンドグラスの金属枠(鉄製の錠前や枠部品)の修復も手がけられ、伝統と革新が共存する貴重な技が受け継がれています。工房見学では、火花が散る鍛造の現場と、職人たちの圧倒的な集中力と技術に目を奪われることでしょう。
- 熱気あふれる工房を後にしたら、約15kmほど離れた「リレ湖」へ足を延ばしてみてください。水辺と森、静かな風景の中で、小鳥のさえずりに耳を澄ませながらゆったりと散策を。
鍛冶場の熱を癒すような、穏やかなひとときが広がります。
アドバイスとおすすめ情報
職人のアトリエは、まさに創造の詰まった小さな宇宙。でも、いつでも扉が開いているとは限りません。訪問の際は、事前の電話や予約が何よりの味方。がっかりしないためにも、少し早めに計画を立てて、必要であればメッセージを残しておきましょう。
そして何より、日々“美”を生み出す人たちとの出会いを、存分に楽しんでください。

by Faustine François
好奇心旺盛でアクティブなフォスティーヌは、編集チームをまとめるのも、現場で人々にインタビューするのも大好き。旅こそが、彼女の原動力です!