アルザスの冬は、物語のような光景が街じゅうに広がる特別な季節。
パリから1泊2日の短い旅でも、ストラスブールの歴史ある大聖堂、クリスマスツリー発祥の地・セレスタ、そして温かな灯りが揺れるコルマールまで、アルザスの「本場のクリスマス」をぎゅっと味わうことができます。
今回のアルザス旅を体験してくれたのは、面高ケンスケさん、島村雄大さん、木谷生さん の3名。
クリスマスシーズンのストラスブール、セレスタ、コルマールをめぐりながら、この季節だけの風景と出会いを楽しんでいただきました。
左から 木谷生さん 島村雄大さん 面高ケンスケさん
🎄1日目🎅
パリ東駅から TGV で約2時間で「クリスマスの首都」ストラスブールへ。
高速鉄道を使えば、移動のストレスが少なく旅がぐっと快適になります。
チケットの検索や予約には Rail Europe(レイルヨーロッパ)を利用すると、旅程づくりがスムーズです。
効率的な移動手段が整っていることで、1泊2日の滞在でも旅程が組みやすくなります。
10:00 ストラスブール駅着
Gare de Strasbourg, Strasbourg, France到着後はトラム(路面電車)に乗って、街の中心へ向かいます。
午前 ストラスブール旧市街を散策
Petite France, Strasbourg, France大聖堂と旧市街を歩きながらストラスブールの歴史と街並みをゆっくりと巡ります。
朝の旧市街は観光客も少なく、建物の色や石畳の美しさがより際立つ時間帯。
クリスマスマーケットの開場(11時)前なので、静かな雰囲気のまま街の素顔に触れられるひとときです。
午前 パティスリー Avellina
62 Grand'Rue, Strasbourg, Franceパティスリー Avellina Instagram:@avellina.patisserie
散策の途中で立ち寄ったのは、地元で人気のパティスリー Avellina。
ここには、LouiseとThéophileの若き才能あふれる二人の職人がいます。
店内には、可愛らしいフォルムのケーキやパウンド、季節限定の焼き菓子が並び、ひと息つくのにぴったり。地元の若い世代が手がける「新しいアルザス菓子」に出会える特別な休憩になりました。
パティスリー「Avellina」のパティシエ ルイーズさん&テオフィルさんと。
12:00 ランチ「メゾン・カメルゼル」へ
Maison Kammerzell, Place de la Cathédrale, Strasbourg, France大聖堂前に建つ名店で、フォアグラや魚のシュークルートなどアルザスならではの昼食を。
まずはこの地方らしさをしっかり味わえるひとときです。
名物フォアグラと、3種のお魚のシュークルート
14:30 プライベートボート NAO
Quai Finkwiller, Strasbourg, France午後は、街の中心を流れる川で水上クルーズ。
静かに進む電気ボート“NAO”に乗り込むと、ストラスブールの景色が一気に変わります。
水の高さから眺める大聖堂や木組みの家々は、まるで別世界のよう。
歩いて見ていた街並みが、水面の反射とともに柔らかくほどけていき、視界がゆっくり開けていく感覚に思わず息をのみます。
エンジン音のない静かな船上では、川の流れや風の音まで聞こえるほど。
街の喧騒からふっと距離が生まれ、クリスマスシーズンのにぎわいとはまた違う、アルザスの素顔に触れられる時間でした。
16:00 クリスマスマーケット散策
Strasbourg, Franceストラスブールには大小複数のマルシェが点在。
ホットワイン、手作りオーナメント、アルザス菓子…
夜に近づくほど灯りが濃くなり、街全体が祝祭の空気に包まれます。
🎅フランス🇫🇷 アルザスのクリスマス🎄
— フランス観光局 (@ExploreFranceJP) December 11, 2025
ストラスブールでは、クレベール広場や歴史ある大聖堂を中心にクリスマスマーケットが広がり、街全体がまるでひとつの物語の舞台に✨… pic.twitter.com/yYWshp7wHH
今日は #クリスマスツリーの日 🎄🎅
— フランス観光局 (@ExploreFranceJP) December 7, 2025
「クリスマスの首都」と称されるストラスブール。
クレベール広場には、今年も高さ30メートルの大きなクリスマスツリーが登場🎄
17時からは1時間ごとにイルミネーションショーが幕を開け、冬の夜空に物語が広がります✨ #ExploreGrandEst #ExploreFrance pic.twitter.com/V0sxYsdA5Y
20:00 ブラッスリー「ル・メテオール」で夕食
10 Rue du 22 Novembre, Strasbourg, France地元の人が集まる人気店「Le METEOR」(Instagram:@le.meteor)へ。
朝から歩いた一日を、アルザスらしい料理で締めくくります。
宿泊:メゾン・ルージュ
Maison Rouge Strasbourg Hotel & Spa, Autograph Collection, Rue des Francs-Bourgeois, Strasbourg, Franceストラスブールでの宿泊先は、旧市街の中心に佇む5つ星ホテル「メゾン・ルージュ」。
街の象徴ともいえる赤い外観が目を引く歴史的建物でありながら、館内はモダンで洗練された雰囲気。
程よい緊張感と温かさが共存する、上質な空間が広がっています。
印象的なのは、その心地よさだけではありません。
メゾン・ルージュは、フランスの環境認証である 「Clef Verte(クレ・ヴェールト)」 を取得しているホテル。
再生可能エネルギーの利用や廃棄物削減、地域生産者との連携など、旅行者が無理なくサステナブルな滞在を選べる取り組みが実践されています。
歴史ある街の中心で、環境への配慮を大切にしながら過ごせる点も魅力のひとつです。
立地は抜群で、大聖堂やクリスマスマーケットまで歩いてすぐ。
1泊2日の旅でも効率よく街をめぐることができ、夜は静かな客室でゆっくりと旅の余韻に浸れます。
翌朝は、焼きたてのパンや地域の食材が並ぶ朝食からスタート。
クリスマスの華やぎの中にあって、落ち着いたホテル時間が旅をより豊かにしてくれました。
🎄2日目🎅
10:00 ストラスブール → セレスタ
Sélestat, Place de la Gare, Sélestat, Franceストラスブールとコルマールのちょうどあいだに位置するセレスタ(Sélestat)は、アルザスのなかでも特に“クリスマス”とゆかりの深い街です。
人口は約2万人と小ぶりながら、ルネサンス建築や石畳の通りが美しく残る落ち着いた雰囲気で、冬になると静かな街並みにクリスマスの伝統がそっと彩りを添えます。
セレスタが特別なのは、「クリスマスツリーの最古の文献(1521年)」が残る街であること。
この歴史を現在まで大切に受け継ぎ、毎年12月には街全体でツリー文化を紹介する展示やイベントが開かれます。
10:30 アルザス製パン館へ
Maison du Pain d'Alsace, Rue du Sel, Sélestat, Franceまずは、焼きたての香りが広がる製パン館「Maison du Pain」へ。
ここでクリスマスの定番・ブレデル(Bredele)の成形実演&試食を体験します。
アルザスの冬のお菓子文化に触れられる特別な時間。
セレスタ Maison du Painでブレデル作り
人文主義図書館でクリスマスツリー発祥の歴史を辿る散策
Bibliothèque Humaniste, Place Dr Maurice Kubler, Sélestat, France中心部には、15世紀創設の人文主義図書館(Bibliothèque Humaniste)があり、ここではクリスマス時期だけ、1521年のツリー記録を見ることができます。
歴史的建造物と現代的な展示が調和した空間で、ツリーの誕生と広がりを知ることができる貴重な場所です。
今日はセレスタから Bonjour🇫🇷
— フランス観光局 (@ExploreFranceJP) December 7, 2025
セレスタ(Sélestat)は “クリスマスツリー発祥の地” として知られる街。
16世紀の文献にはすでにツリーを飾る風習についての記述が残されており、人文主義図書館ではクリスマスの時期に限り、この貴重な文献を特別公開しています🎄✨… pic.twitter.com/kqXyQMJ5o1
サン=ジョルジュ教会
Église Saint-Georges de Sélestat, Pl. Saint-Georges, Sélestat, Franceさらに、街を象徴するサン=ジョルジュ教会では、ツリーの装飾の変遷や地域に伝わる伝統を紹介する展示が行われています。
案内人として登場するキャラクター “サピナス教授”(「クリスマス・ティーチャー」:ツリー文化の“先生”のような存在)も、街のユニークな魅力をやさしく伝えてくれます。
観光地としての派手さはありませんが、その分、街の静けさや人々のあたたかさが心に残ります。「クリスマスの原点に触れる旅」ができる場所——それがセレスタです。
今日も、クリスマスツリー発祥の地・セレスタから Bonjour🇫🇷
— フランス観光局 (@ExploreFranceJP) December 10, 2025
この小さな街には3つのクリスマスマーケットがあり、
そこでは職人さんが手がけた木彫りのオーナメントも見つかります🎄
最初の飾りは、小さな赤いリンゴだったと言われているんですよ🍎… pic.twitter.com/bU0Gdi7VWm
12:30 「Le CG」でランチ
Le CG Restaurant & Chambres d’hôtes à Sélestat, Marché aux Choux, Sélestat, France料理はシンプルながら丁寧で、地元の素朴な味わいが伝わってくる優しい一皿が並びます。
セレスタの穏やかな空気を感じられるランチタイムになりました。
午後:セレスタ → コルマール
Colmar, Place de la Gare, Colmar, Franceコルマールのクリスマスマーケットを散策
Colmar, Franceコルマールの中心部には、手仕事の雑貨が並ぶマーケット、地元食材や温かなスイーツが集まるグルメエリア、そして夕方になると運河沿いが幻想的に輝くイルミネーションエリアなど、テーマの異なる市が点在しています。
街を彩る木組みの家々や花のデコレーションが冬の光に映え、どこを歩いても絵本のページをめくるような景色が続きます。
マーケットを巡りながら、アルザスの手仕事やお菓子、ワイン文化に触れられるのも魅力のひとつ。
日が傾くにつれて街の色合いがゆっくり変わり、オレンジ色の光に包まれた旧市街に温かさが広がります。
「歩いている時間そのものが楽しい」と感じられる、心が自然と弾む午後になりました。
🎅フランス🇫🇷アルザスのクリスマス🎄
— フランス観光局 (@ExploreFranceJP) December 10, 2025
『ハウルの動く城』や『美女と野獣』の世界観の参考になったとも言われる街・コルマール。
木骨組(コロンバージュ)の家々が並び、おとぎ話に迷い込んだような景色が広がります🏠✨… pic.twitter.com/c5rlRq1k8q
コルマールのクリスマスマーケットでは、サン・ニコラと並んで記念写真を撮影できるスポットも用意されていました。
プフィスタの家
Maison Pfister, Rue des Marchands, Colmar, France三角屋根と出窓が印象的な「プフィスタの家」。
宮崎駿監督による映画『ハウルの動く城』の着想源のひとつになったともいわれる建物です。
コルマール旧市街のほぼ中心に位置し、16世紀に建てられたこの家は、街の歴史を今に伝える存在として親しまれています。
アルザスのクリスマスは、華やかな光や賑わいだけで語り尽くせるものではありません。
静かな朝の旧市街、受け継がれてきた菓子やパンの香り、人々の暮らしに寄り添うあたたかな灯り——そうした一つひとつの風景が重なり合い、心に残る旅の時間をつくり出しています。
1泊2日という短い滞在でも、アルザスが大切に守り続けてきた「本場のクリスマス」に触れることができます。
物語の中を歩くような小さな旅へ出かけてみてはいかがでしょうか。

by Noriko FUKUDA フランス観光開発機構








