毎年、ブルゴーニュ地方のボーヌ施療院(Hospices Civils de Beaune)は、自らのドメーヌで造られたワインを、サザビーズ主催のオークションで販売します。
ワイン愛好家が世界中から集うこの伝統行事は、街全体が3日間にわたってお祭りムードに包まれる、ボーヌの秋の風物詩です。
11月の第3週末、ブルゴーニュ地方のボーヌの街はワインの祭典一色に染まります。
「栄光の3日間(Les Trois Glorieuses)」と呼ばれるこのイベントでは、ブルゴーニュワインの豊かさを称える祝祭が3日間にわたって繰り広げられ、そのハイライトが有名な「オスピス・ド・ボーヌのワインオークション」です。
期間中、ワイン愛好家や専門家が世界中から集まり、ワインセラー見学やテイスティングを楽しみます。さらに、ボーヌのパレ・デ・コングレ(会議宮殿)では、ブルゴーニュ全域に広がる約100のアペラシオンが一堂に会する「グラン・ヴァン祭り」が開催されます。
ワインと観光が融合する、ブルゴーニュを代表する華やかな週末です。

世界最古のワイン慈善オークション
ボーヌ施療院のワインオークションは、1859年に始まった世界最古かつ最も有名なワインの慈善オークションです。
毎年、ボーヌの大ホールで、施療院のドメーヌから生まれた500樽以上のワインが出品されます。
「名誉委員会による特別樽(pièce des Présidents)」として出品される1樽は、オークションの象徴であり、その収益は慈善活動に充てられます。
2023年のオークションでは、ノートルダム大聖堂の尖塔再建にも使用されたオーク材で作られたマジ・シャンベルタン・グラン・クリュ(Mazis-Chambertin Grand Cru)の樽が出品され、35万ユーロで落札されました。これは、2022年に次ぐ史上2番目の高額取引として話題を呼びました。
2024年には、ボーヌ・プルミエ・クリュ レ・ブレッサンド(Beaune Premier Cru Les Bressandes)の樽が36万ユーロで落札され、再び歴史に名を刻みました。
500年の歴史を誇るワインドメーヌ
この施療院のワインドメーヌは、寄進によって築かれてきた歴史を持ちます。
現在では約60ヘクタールにおよび、そのうちピノ・ノワールが約50ヘクタール、シャルドネが残りの10ヘクタールを占めます。
畑の約85%がプルミエ・クリュとグラン・クリュで構成されており、ボーヌ周辺だけでなく、コート・ド・ニュイやマコネ地区にも広がっています。
キュヴェの名には、寄進者や恩人たちの名前が冠されています。
ボーヌの街が祝祭に包まれる週末
この由緒あるオークションに加え、ボーヌでは週末を通して誰もが楽しめる多彩なイベントが開催されます。
ワイン愛好家は、地域のワイナリーやボーヌ施療院のドメーヌを訪ね、特別な試飲会やガラディナーに参加できます。
街中では、エスカルゴやブッフ・ブルギニョンなど地元の美食が並ぶグルメマーケットが開かれ、民族音楽のパレードが通りを彩ります。
スポーツ好きには、ブドウ畑を駆け抜けるハーフマラソンも人気です。
この「栄光の3日間(Les Trois Glorieuses)」は、ワイン、食、文化、そして人々の情熱が融合する、ブルゴーニュを象徴する秋の祭典です。

by France.fr編集部
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