WINE WHAT(ワインワット)編集部に聞く「旅するワイン~オクシタニーに恋をして」

インスピレーション

(左)ブドウ畑とカルカッソンヌ(右)「WINE WHAT(ワインワット)」2021年3月号
© ©WINE-WHAT - (左)ブドウ畑とカルカッソンヌ(右)「WINE WHAT(ワインワット)」2021年3月号

この記事は 0 分で読めます2021年3月2日に公開

ワインと食のライフスタイルマガジン「WINE WHAT(ワインワット)」2021年3月号では、南西フランスのオクシタニー地方に関する特集が掲載中です。その名も「旅するワイン~オクシタニーに恋をして」と題した全24頁の大特集は、ワインを切り口にオクシタニーを旅してみたら?という、ワイン好きはもちろんフランス好きの心に夢を与える内容です。

現地に赴き、ワイナリーをはじめ、郷土食、旅先の宿、郷土料理に街歩きと、全方位で取材にあたられた編集部の山田靖編集長とライターの山本真紀さんに、オクシタニー地方の魅力について伺いました。
インタビューをお受けいただきありがとうございます。 まず、「ワインワット」がどのような雑誌なのか、France.Frの読者に教えていただけますか。

山田編集長: ワインに精通されている方向けというよりは、ワインについて勉強中、あるいは関心のある初心者の方に向けて、ワインの面白さやおいしさを紹介している雑誌です。月に2回くらいは、ちょっと良いワインを飲んでもらえるようなライフスタイルを提案しています。 また、ワインだけでなく、食や旅も大きなテーマとして掲げています。ワイン好きの方には、いろいろな場所を訪れて食とワインを楽しみたい方が多いですからね。 今回のオクシタニー地方の特集もそういった意味で、ワインとワイナリーに焦点を当てつつ、食やホテルについても紹介しています。コロナが明けたら行ってみたいと読者の方に思ってもらえたら嬉しいですね。
1©WINE-WHAT(右)宿泊施設、醸造場、ショップが併設されたドメーヌ・リーブラック(ベレスタ)にてオーナー一家と懇談。左から、通訳の野崎さん、ライターの山本さん、リュックさん、山田編集長、ゾエさん、カリンさん。(左)コリウールの町中のあちこちにあるワインショップの1軒に入り、品揃えをチェックする山田編集長。
オクシタニーという地方は、ボルドーやブルゴーニュといった有名なワイン産地と比べてまだ知名度がそこまで高くないと思うのですが、ワイン業界でこの土地はどのように認知されているのでしょうか。

山田編集長: 南西フランスのワインは、手に入りやすい価格帯というイメージがあります。扱っている輸入元も多いので、一般の方は必ずしもオクシタニー産のワインと認識しておらずとも、実はかなり多く飲まれていると思います。

山本さん: 「ワインは特別な飲み物」という時代が終わり、よりカジュアルに飲まれるようになってきた中で、リーズナブルというのは強みです。毎日のデイリーワインとして、オクシタニー産ワインの消費が今以上に日本で増える可能性は大いにあると思います。 ワイン産地のくくりとしては「南西地方」や「ラングドック・ルシヨン」といった地域にあたりますが、日本でオクシタニーと聞いてもまだ多くの方にとってはピンとこないので、もっとアピールの余地があると思っています。 実際に生産者の方に取材をさせていただくと、皆様とてもおしゃべりで、中には6時間も話してくださった方もいました!通訳の方も疲労困憊でした(笑)。でも、彼らの内に秘めた熱い思いに触れることができたので、それを今度は私たちが、消費者の皆さんにもっと発信して伝えていけたらと思っています。
2©WINE-WHAT シャトー・ラストゥール(ガイヤック)のユベール・デ・ファラモンさん。6時間の取材中、ガイヤックやオクシタニーの歴史について休みなく語り続けてくれた。
オクシタニー地方を実際に訪れて、特にどんな方にこの地方をお勧めしたいと感じましたか?

山本さん: オクシタニー地方出身のシェフが弊誌のインタビューで「旅慣れた方ほどオクシタニー地方にはまる」と話してくださいましたが、実際に訪れてみて確かにそうだと思いました。 多くの方は最初、ブルゴーニュ、ボルドー、シャンパーニュといった有名ワイン産地を訪れます。そうして3、4回フランス旅行をされた方がようやくオクシタニー地方を選んで行くと、その味わい深さに感動し、何回も訪れたくなってしまう。 地理的に近いスペインの文化も少し入っているので、フランスをあちこち行き慣れた方からするとエキゾチックさを感じるはずです。フランスは行き尽くした、なんて余裕を見せているに方こそ、オクシタニー地方を訪れて新たな驚きを感じて欲しいと思います。

山田編集長: オクシタニー地方には地元愛のマインドが根付いていると感じました。地元の人々とお話しすると、自分たちの歴史やワインに対して強い愛着とプライドを持っています。こうした「おらが町」のような雰囲気も、この地方を特徴づける要素だと思います。フランス旅行をよくされる方も、ここでは一味違った人間的な出会いがあると思います。 また、カルカッソンヌのような壮大な風景や、カスレのような郷土料理など、ワイン以外の面でもいろいろ楽しめる魅力的な地域だと思いました。
3©WINE-WHAT 堅牢なカルカッソンヌ城壁がブドウ畑の背後に。
現地では、どのようにワインを楽しまれたのでしょうか。食とワインの組み合わせについても伺いたいです。

山本さん: 訪問先のレストランでは、地元のワインをいただきました。日本でも、その土地にしかない地場品種に価値を置く方が増えているので、旅行者の方にも是非試していただきたいと思います。 カベルネやシャルドネなどといった国際品種は割とぱっきりした濃い味に仕上げられるので、料理とのペアリングの際に、実は万能ではありません。逆に土着品種は土っぽい複雑味があり、さほど重すぎないので料理と合わせやすいということが全般的に言えるのです。そんなにワインに詳しくない方でも、難しく考えずにふわっと合わせやすいのがオクシタニー産ワインの魅力だと思います。もちろん、難しく考えようとすればまた面白い組み合わせができるので、いろいろな楽しみ方の幅がありますね。
4 ©WINE-WHAT (左)ワインに強いビストロ「ラ・ターブル・ド・ソムリエ」(ガイヤック)で、地場品種を使ったスパークリングワインをオーダー。(右)「ラ・ターブル・ド・ソムリエ」(ガイヤック)で人気なのは、料理とワインのペアリング・コース。グラスにセットされた丸い紙の裏面には、注がれているワインの情報が記載されている。
山田編集長: 行ったからにはやはり地場のものを堪能したかったので、どのレストランでも基本的に僕はオクシタニー地方の郷土料理であるカスレを注文していました。すると、店によって煮込んだものや焼いたもの、はたまたこれって本当にカスレ?と思わず疑ってしまうものなどバラエティに富んでおり、驚かされました!同じカスレでも、別物と言っても良い味に仕上がっているので、合わせるワインも様々です。スタイルによって、赤でも白でもいけるんじゃないかな。 ワインが分からない方でも、お店の人が勧めてくれる地場品種と合わせていただくと興味深いと思います。
5©WINE-WHAT(左)カルカッソンヌ城壁内にあるビストロ「ル・サン・ジャン」にて、オクシタニーを代表する郷土料理のカスレを。(右)日本でカスレを食べ続けてきた‶カスレ番長”の山田編集長、「ル・サン・ジャン」のカスレを平らげてテンションMAX。
山本さん: お料理の話で言うと、オクシタニー地方は地中海に面しているので新鮮な海産物も豊富なんですよね。新鮮なお魚が美味しいというのは、日本人からするとホッとするし、ありがたいです。 フランスには濃厚な赤ワインと肉の組み合わせがメインの地方もありますが、一方オクシタニー地方では、海のものと山のもののバランスがよく、白ワイン、赤ワイン、ロゼと、それぞれに合わせていただくことができます。思わず仕事を忘れそうになりながら楽しめました(笑)。
あまり日本でお目にかかれない土着品種のワインを飲む機会があるのは、観光の良いきっかけになると思います。これだけは飲むべきという、現地のおすすめのワインはありますか?

山本さん: コルビエール産のいろんな赤が日本に入ってきているのですが「オクシタニー地方=赤ワインとお肉」というイメージで固まってしまうのはもったいないので、あえて白ワインをお勧めしたいです。コリウールの白ワインを海の幸と合わせて飲んでいただくと「オクシタニー地方はお肉だけじゃなくて海の幸も合うのね、じゃあ日本の刺身とも合うんじゃないか」ってどんどん発想も広がりやすいと思います。
6©WINE-WHAT(左)コリウールの小路を歩いて、日本人シェフが活躍する「ル・サンキエム・ペシェ」へ向かう。(右)「ル・サンキエム・ペシェ」のランチ・コースで提供された、白身魚の刺身をあしらった南瓜スープ。合わせたのは、グルナッシュ・ノワールという赤ワイン用のブドウで造られた白ワイン。ルーション産の自然派だった。
山田編集長: コリウールでアンチョビ工場を見学した際、併設された「アンショワロック」というお店で、生のアンチョビと酒精強化の赤ワインをいただきました。

山本さん: アンチョビだったら白ワインだろうという固定観念を面白い形で崩してくれましたね。

山田編集長: 正直、僕は日本酒が合うと思ったんですが、実際に試してみるととても美味しかったです。試飲をしながら、近くでお店の人がその場でシャッシャッとアンチョビを開いている様子が見られたのも面白かったです。
7©WINE-WHAT コリウール名物のアンチョビを製造販売する「アンショワ・ロック」にて。女性スタッフが鮮度抜群のイワシを一尾ずつ開き、骨を取り除いて並べていた。

8©WINE-WHAT ボイルや塩漬け、オイル漬けなど数種あるアンチョビ製品は料理アレンジも自在。
宿のお話も伺いたいと思います。今回の滞在で利用された、個性的で忘れられない宿はありましたか?

山田編集長: 元はワイナリーだった施設を改装したドメーヌ・リーブラックというホテルは、洗練されてお洒落でありつつも、田舎を感じるアットホームな雰囲気で素敵でした。日本に留学されているお嬢さんが帰国していて、通訳のように間に入って会話してくれたのが印象的です。 また、カルカッソンヌで泊ったホテル・ド・ラ・シテは、宿泊施設としてはさることながら、敷地内に立派なワインカーブもあり素晴らしかったです。

山本さん: ワインを保管するコンクリートタンクを宿に改装したリーブラックホテルは、ワイン好きには堪らないと思います。ワイン好きな方にオクシタニー地方のおすすめを聞かれたら、いの一番にこのホテルを勧めます!大きなタンクを見たら「人が住める大きさだ」と妄想する方は結構いると思うのですが、まさか本当にそこを宿にするなんて。宿のオーナーが建築家なのですが、さすが彼らは夢を実現するプロだなと感心しました。 他のホテルにも言えますが、アプローチがモダンだと感じました。昔からのオクシタニーらしさを残しつつも、古臭く感じさせない。おもてなし上手で、都会の方でも満足して帰れるクオリティの高さだと思います。
9©WINE-WHAT 醸造に使われていたコンクリートタンクが連なる、ドメーヌ・リーブラックの醸造場。現在はタンク内部の壁が取り払われ、細長い醸造ルームとして再利用されている。
オクシタニー地方ではどんなお土産を買いましたか?

山田編集長: やっぱり地場のモノですね。カスレの缶詰も買いましたし、カスレ作りが趣味の知人に白インゲン豆を買ったり、知り合いのレストランにアンチョビを買って持って行ったりしました。すると、すぐに料理になって出してくれました(笑)。

山本さん: ワイン好きの方はお料理も好きな方が多いですよね。完成されたものも良いけど、アンチョビみたいに自分で料理できるものも良いと思います。お土産としては小さいけど、自宅で大きい料理になる。エッセンスになるようなお土産が良いなと思いました。 もちろん、重い思いをしてワインもがっつり持って帰りますけどね(笑)。
10©WINE-WHAT コリウールのワインショップで、近くの港に建つノートルダム・デ・ザンジュ教会がデザインされたワインを発見。お土産に最適。
次にオクシタニー地方を訪れる際に、行ってみたい(もしくは再訪したい)場所はありますか?

山本さん: 到着したトゥールーズや、帰国するための飛行機に乗ったモンペリエといった大きい都市は今回の滞在ではゆっくり見られなかったので、また来たいです。

山田編集長: 僕も同じです。あと、カルカッソンヌはもう一度来たいですね。でも、オクシタニー地方はとにかく広いから、行っていない場所に行けば必ず何かあるんじゃないかという気がしています(笑)。

山本さん: あと、ワインバーホッピング!レストランでがっつり食べるのも楽しいのですが、せっかく旅行に来たのだから何軒も行ってみたい、という時に楽しめるのがワインバーですよね。立ち飲みで、ワイン1杯と小さいおつまみを食べながらいろいろ巡り歩くのが楽しい。次の都市巡りの際に満喫したいと思います。
確かに、トゥールーズはワインバーが充実しています。世界のワインバーコンテストで3年連続1位を受賞している「ル・ニュメロ・サンク・ワイン・バー(Le N°5 Wine Bar)」というバーもありますし、屋内市場にも立ち飲みのワインバーがあります。カスレを出すレストランも伝統的なレシピの所から前衛的なものを出す所とバラエティ豊富ですので、編集長のカスレ・コレクションをますます充実させてくれことでしょう。次に行かれる際に是非ご堪能ください。

本日は、貴重なお話をありがとうございました。

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◎特集「旅するワイン~オクシタニーに恋をして」はWINE WHAT 2021年3月号に掲載中!WINE WHATオンライン記事はこちらからご覧ください。 ◎オクシタニー地方観光局公式サイトはこちら(英語ページ)

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応募期限: 3月12日(金)午後5時まで 応募方法: フランス観光開発機構の公式Twitterをフォローして、こちらの投稿をリツイート 当選発表: 当選者にのみダイレクトメッセージで直接ご連絡いたします。

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