フランスで出会う、不思議で魅力的な“隠れ文化スポット”13選

マスクとシュノーケルを付けて海に潜ると現れるのは、6体の巨大な人間像。

環境芸術家ジェイソン・デカイレス・テイラーによるこの海中美術館 l'écomusée sous-marin は、海洋保護への関心を高めるために設置されたもの。カンヌ沖のサント・マルグリット島周辺にあり、誰でも無料で見学できます。

建築家アラン・ブルボンネ Alain Bourbonnais によって創設されたファビュローズリー La Fabuloserie は、「アール・ブリュット（生の芸術）」と呼ばれる分野の、奇想天外でユニークな作品を集めた、風変わりな文化施設です。

常設展示が並ぶ「メゾン＝ミュゼ（家のような美術館）」には、1000点を超える作品が収蔵されており、屋外には「Jardin Habité（住まう庭）」と名付けられた野外美術館も広がります。なかでも、プチ・ピエールによる動くメリーゴーランドは必見。さらに、季節ごとに入れ替わる企画展も開催されており、何度訪れても新しい驚きに出会える場所です。

ラ・マシーヌ館 Halle de La Machine は、2018年にトゥールーズのモントードラン地区に誕生したユニークな文化施設です。

巨大なガラス張りの館内では、まるで“マッドサイエンティスト”が作り出したような奇妙なマシンたちによるショーが繰り広げられます。

動く巨大なクモやミノタウロス、自動人形のメリーゴーランドなど、非日常の世界が広がります。
想像力をかき立て、家族みんなで楽しめる“ちょっと変わった”体験をしてみませんか？

考古学者たちがいまだに解き明かせずにいる、フランス屈指の謎――それがブルターニュ地方モルビアンに広がるカルナックの巨石列です。

数千年前に立てられたと思われる無数のメンヒル（立石）が、何列にもわたって規則正しく並ぶその光景は圧巻のひと言。
10月から3月までは自由に見学できますが、4月から9月の観光シーズン中は、専門ガイドによる有料ツアーのみとなり、より深い解説とともに遺跡内部への特別なアクセスが可能です。

「ワシの巣」の異名をもつコルテの城塞は、険しい山上に築かれた堂々たる要塞で、壮大な景色とともに歴史の旅へと誘ってくれます。建設が始まったのは15世紀。完成までに実に350年を要し、当時の建築技術の粋が注がれたことを物語っています。
現在は文化施設として公開されており、石畳の小道を歩きながら「シャトー」と呼ばれるエリアにあるコルシカ博物館 Musée de la Corse を訪れることも可能。1983年までは外人部隊が駐屯していたという背景も、この場所に独特の重みを与えています。

フランス北部、オー・ド・フランス地方の小さな町コードリーにあるこの風変わりな文化施設は、レース産業の歴史に特化した博物館です。19世紀初頭から発展したこの伝統工芸は地域の大きな富をもたらし、当時コードリーは“世界のレースの都”と称されるほどでした。
現在もこの町にはわずかながらレース職人が残り、その繊細な製品の8割以上が海外へ輸出されています。館内では年3回の企画展のほか、職人技の実演やワークショップ、さまざまなイベントも開催されており、時代を超えて愛されるレースの魅力を今に伝えています。

世界最大規模の地下納骨堂として知られる「パリのカタコンブ」は、パリ観光で一度は訪れたい異色の名所です。もともとは建築用の石灰岩を採掘する採石場として使われていた地下トンネルですが、18世紀に衛生上の問題から、市内の墓地に埋葬されていた遺骨がここに移されることとなりました。

現在では、無数の頭蓋骨や骨が積み上げられた迷路のような地下通路が広がり、見る者に強烈な印象を残します。不気味で神秘的、そしてどこかロマンティック──そんな唯一無二の空間には、数多くの伝説も息づいています。

世界で唯一のベネディクティン・リキュールの蒸留所があるのは、ノルマンディー地方の港町フェカン Fécamp 。その生産地を彩るのは、まるでおとぎ話に出てくるようなネオ・ゴシック様式の壮麗な宮殿です。

27種類のハーブやスパイスから生まれるリキュールの製造工程は、併設の博物館で詳しく学ぶことができます。見て、香って、味わって──芸術・歴史・美食が融合する、五感を刺激する特別な体験が待っています。

ジュール・ヴェルヌの世界観に着想を得た巨大な機械たちが、訪れる人々を魅了するナントの名所「マシン・ド・リル」。高さ12メートルの“巨大な象”に乗って町をゆっくり巡ったり、「マシン・ギャラリー」や「海の世界のカルーセル」で動く彫刻や仕掛けを間近に体験したりと、まるで空想と技術が出会うファンタジーの世界に入り込んだかのようなひとときが味わえます。

ナントを訪れたら絶対に外せない、驚きに満ちた文化体験スポットです。

ロワール渓谷にあるリヴォー城の庭園は、ユーモアあふれる仕掛けと現代アートが溶け合う、ちょっと風変わりで幻想的な空間です。季節ごとに異なる魅力を見せるこの庭では、植物でできた彫刻や香りに包まれる迷路、テーマに沿った花壇などが訪れる人を楽しませてくれます。

まるでおとぎ話の中を散歩しているような、夢のようなアート＆ボタニカル体験が待っています。芸術と自然を同時に味わえる、感性を刺激する文化スポットです。

ボルドーに残る旧潜水艦基地を舞台に、アートが光とともに蘇る「バッサン・ド・リュミエール」。巨大な水槽や壁面に映し出されるデジタル映像は、クリムトやクレーといった巨匠たちの名作を幻想的に演出し、訪れる人々を光のアートの世界へと引き込みます。

歴史ある軍事施設が、アートとテクノロジーの出会いの場へと生まれ変わったこの場所は、記憶の儚さや芸術の本質を問いかける体験型文化スポット。他では味わえない、壮大で静謐な感動が待っています。

2021年5月、アーティストのヴァニナ・クルツェクとキャロリーヌ・ヴァン・デル・スペックによって誕生した「MUM（ミュゼ・デ・ユニヴェール・ミニアチュール）」は、缶詰の中や本の上、コンセントの中など、驚くほど小さな空間に繊細なミニチュアアートが詰め込まれた、ロレーヌ地方の風変わりな文化スポットです。

フェルメールやヒッチコックから着想を得たシーンを虫眼鏡片手に鑑賞するという、まるで宝探しのような楽しさ。かつてパン屋だった建物を改装したこの小さな美術館は、スケールこそ小さいながら、想像力の広がりは無限大です。魅力と遊び心がぎゅっと詰まった、不思議なミニチュアの宇宙へようこそ。