フランスのワイン街道を旅しよう!個性豊かな8つのルート

美食とワイン村&田園地帯

ロワール川流域のワイン農家
© Interloire/Philippe Caharel - ロワール川流域のワイン農家

この記事は 0 分で読めます2026年10月7日に公開

フランス各地のワイン産地をめぐる旅に出かけてみませんか? アルザスからボルドー、ブルゴーニュ、プロヴァンスまで、フランスには個性豊かなワイン街道が点在しています。

車だけでなく、徒歩や自転車、船、電動キックボード、さらには気球で楽しめるルートも。ワインや郷土の味覚を楽しむのはもちろん、村のお祭りやワイナリー、古城を訪ねたり、美しいブドウ畑を歩いたり。グルメ、文化、スポーツ、ウェルネスと組み合わせながら楽しめる、8つのワイン街道をご紹介します。

アルザス・ワイン街道 ― 歴史あるワイン街道

ロスハイム村近郊を通るアルザス・ワイン街道を散策。
© Bartosch Salmanski / ADT Alsace - ロスハイム村近郊を通るアルザス・ワイン街道を散策。

全長170km、7つのブドウ品種から造られる51のグラン・クリュ(特級畑)を有するアルザス・ワイン街道は、フランスを代表するワインルートのひとつです。

北のマルレンハイムから南のタンまで、日当たりのよい丘陵地には古城や花々に彩られた美しい村が点在します。円を描くように家並みが広がるエギスハイム、ゲヴュルツトラミネールの「都」とも呼ばれ、15世紀の木組みの家が残るベルクハイム、数多くのワインセラーでさまざまなワインを味わえるリクヴィールなど、立ち寄りたい村には事欠きません。

周辺には徒歩で楽しめる散策路も充実。アンドローでは、風景をスケッチしながら歩けるよう案内表示が設けられたコースもあります。

自転車派なら、ワイン街道と並行して整備された「アルザス・ブドウ畑サイクリングルート」へ。アップダウンのある丘陵地なので、電動自転車もおすすめです。環境にやさしい移動手段は、1925年からバイオダイナミック農法に取り組んできた先駆的なアルザスのワイン生産者たちの精神にも通じています。

▶ アルザス・ワイン街道(Visit Alsace)

▶ Cycling in Alsace( アルザス地方のサイクリング専門サイト)

ボルドー・ワイン街道 ― 大西洋を感じるワインの旅

ボルドー・ワイン街道、サン=テミリオンの村をめぐる旅。
© Saint-Emilion tourisme / CRTNA - ボルドー・ワイン街道、サン=テミリオンの村をめぐる旅。

ガロンヌ川と大西洋に挟まれたボルドー地方は、世界的な名声を誇るグラン・クリュが集まる一大ワイン産地です。

5つのワイン街道があり、60の格付けシャトーが並ぶメドック・ワイン街道から、サン=テミリオン、ポムロール、フロンサックを結ぶ名高いルートまで、ワインとともにさまざまな文化や歴史に出会えます。

ここでいう「シャトー」は必ずしもお城だけを意味するものではなく、ボルドーではブドウ畑や醸造施設を持つワイナリーを「シャトー」と呼ぶことがあります。ルート沿いにはさまざまな様式のシャトーのほか、フランス南西部に多く見られる中世の計画都市「バスティッド」も点在。ブライには旧石器時代の遺跡があり、その城塞はユネスコ世界遺産にも登録されています。

ワインの楽しみ方も実に多彩です。ロバに乗ってブドウ畑を歩いたり、現代アートをめぐったり、自転車で走ったり。夏のメドックでは、海辺で過ごした後にワイナリーを見学し、シャトーでアペリティフを楽しむ「アフタービーチ」もあります。

さらに、ワイン講座とリラクゼーションを組み合わせた体験も。ソフロロジーや太極拳、ブドウ畑に囲まれたスパなど、ワイン産地ならではのウェルネスを楽しめます。

▶ メドックのボルドー・ワイン街道をめぐる

▶ ボルドーのワインツーリズムを楽しむ

ブルゴーニュ・ワイン街道 ― 「クリマ」が織りなす唯一無二の風景

ボーヌとディジョンを結ぶブルゴーニュ・グラン・クリュ街道で出会う、ブルゴーニュの「クリマ」。
© Eléonore H/ Adobe Stock - ボーヌとディジョンを結ぶブルゴーニュ・グラン・クリュ街道で出会う、ブルゴーニュの「クリマ」。

シャブリ発祥の地ヨンヌ県から南のマコネ地方まで、ブルゴーニュのブドウ畑がフランス全体に占める割合はわずか3%。それでも約100のAOC(原産地統制呼称)を有し、その3分の1以上がグラン・クリュという、世界屈指の銘醸地です。

車だけでなく、自転車、船、さらには気球でも楽しめる6つのルートのなかで、とりわけ有名なのが「ブルゴーニュ・グラン・クリュ街道」。ブドウ畑の間を石垣や石積みの囲いが走り、1,247もの「クリマ(Climats)」がモザイクのような景観をつくり出しています。

ブルゴーニュでいう「クリマ」とは気候のことではなく、土壌や斜面、日照条件などによって細かく区分され、何世紀にもわたり固有の名称を受け継いできたブドウ畑の区画のこと。「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」はユネスコ世界遺産にも登録されています。

さらに詳しく知りたいなら、ボーヌ、シャブリ、マコンにあるシテ・デ・クリマ・エ・ヴァン・ド・ブルゴーニュ(Cité des Climats et vins de Bourgogne)へ。

9つのグラン・クリュと26のプルミエ・クリュを擁するジュヴレ=シャンベルタンから、ワイン造りに携わった修道士たちの歴史を今に伝えるクロ・ド・ヴージョ城まで、ブルゴーニュを代表するワインの世界に触れられます。

途中、ディジョンでは「国際ガストロノミー&ワイン都市(Cité Internationale de la Gastronomie et du Vin)」でフランスの美食文化を学び、旅の終わりにはボーヌのオテル・デューへ。鮮やかな幾何学模様の瓦屋根が美しい、ブルゴーニュを象徴する歴史建築です。

▶ブルゴーニュのブドウ畑とワインをめぐる旅

シャンパーニュ・ワイン街道 ― 泡だけではない、シャンパーニュの奥深さ

シャンパーニュ地方、モンターニュ・ド・ランスに沈む夕日。
© geniusksy / Adobe Stock - シャンパーニュ地方、モンターニュ・ド・ランスに沈む夕日。

「シャンパーニュ」は、世界的に知られる発泡性ワインの名前であると同時に、そのワインが生まれる地域の名前でもあります。

マルイユ=シュル=アイ、エペルネ、ランスに広がる「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」は、ユネスコ世界遺産に登録されています。

ところで、今から約4,500万年前、シャンパーニュ一帯が巨大な巻貝の生息する熱帯の海だったことをご存じでしょうか。フルーリー=ラ=リヴィエールにあるシャンパーニュ・メゾン、ルグラン=ラトゥール(Legrand-Latour)では、ワインと古生物学という意外な組み合わせを楽しめます。「カーヴ・オ・コキヤージュ(Cave aux Coquillages)」には、岩盤の中から見つかった数多くの化石が展示されています。

こうした地質を知ると、シャンパーニュの特徴であるミネラル感への理解も深まるはず。次は、貴重なボトルが光や熱を避けて熟成する、白亜質の地下セラーへ向かいましょう。

ランスでは、テタンジェの地下18mに広がる4世紀のガロ・ローマ時代の石切り場跡「クレイエール」へ。エペルネのメルシエでは、全長18kmに及ぶ地下セラーを小さな列車で見学できます。巨大なワイン樽やレリーフなど、地下に広がる壮大な空間も見どころです。

▶【モデルコース】ロマンチックなシャンパーニュ地方での3日間

プロヴァンス・ワイン街道 ― 地中海の色彩とロゼを楽しむ

サン=トロペ湾に広がるプロヴァンス・ワイン街道を散策。
© photosainttropez/ Adobe Stock - サン=トロペ湾に広がるプロヴァンス・ワイン街道を散策。

セミの声、青い空と海、豊かな緑、そしてロゼワイン。プロヴァンスのワインと聞いて、よく冷えたロゼを思い浮かべる人も多いでしょう。年間1億5,000万本を生産するプロヴァンスは、フランス最大のAOCロゼワインの産地です。

とはいえ、プロヴァンスのワイン街道の魅力はロゼだけではありません。地中海沿岸から緑豊かな内陸部まで、景観とともにワインの個性も変化します。

カシでは、カランクと呼ばれる白い石灰岩の断崖と入り江をカヤックやヨットでめぐりながら、フルーティーなAOCカシの白ワインを。サン=トロペとイエールの間に広がるモール山地では、コート・ド・プロヴァンスのラ・ロンド地区でロゼや赤ワインに親しめます。

ワインと一緒に文化遺産をめぐるのもおすすめです。フレジュスの古代ローマ円形闘技場、シトー会のル・トロネ修道院、カマルグの玄関口アルルに残る都市型邸宅「オテル・パルティキュリエ」、そして画家たちに愛されたサント=ヴィクトワール山の麓、エクス=アン=プロヴァンスへ。プロヴァンスでは、赤・白・ロゼの3色のワインとともに、多彩な風景と文化に出会えます。

▶ フランスの人気ブロガーが案内するサントロぺのワイン散歩

▶Route des Vins de Provence(プロヴァンス・ワイン街道)

ロワール渓谷ワイン街道 ― 古城とワインをめぐる「王家の道」

ロワール渓谷ワイン街道、ソミュール城のブドウ畑から見下ろすロワール川。
© Alexander Demyanenko/Adobe Stock - ロワール渓谷ワイン街道、ソミュール城のブドウ畑から見下ろすロワール川。

ロワール川の河口からフランス中部ベリー地方まで、全長800km。フランスで最も長いワイン街道です。

「王家の川」と呼ばれるロワール川に沿って、5つのワイン産地、51のアペラシオンが広がります。ミュスカデで知られるナント、アンジュー、ソミュール、シノンやブルグイユのAOCで知られるトゥーレーヌ、そしてソローニュからサンセール地方へと続くサントル=ロワール。それぞれに異なる個性のワインが造られています。

楽しみ方もさまざま。徒歩や自転車はもちろん、「ガバール」と呼ばれるロワール川の伝統的な平底船や電動キックボードでめぐることもできます。

鳥たちが暮らす自然豊かな川岸、トゥフォーと呼ばれる柔らかな石灰岩を掘って造られた洞窟型のワインセラー、フランス式庭園、そしてブドウ畑を持つ名城の数々。ロワールならではの風景が続きます。

シュノンソー城では夏の夜、星空の下でワインを味わうイベントも。シャンボール城では14ヘクタールのブドウ畑が有機農法で再植樹されました。栽培されている5品種のひとつが、16世紀にフランソワ1世がこの地にもたらしたロモランタン。桃や洋ナシを思わせる香りを持つ、黄金色の白ワインが生まれています。

▶ロワールワインについてもっと詳しく

オクシタニーのワイン街道 ― ちょっと意外な体験を求めて

オクシタニー地方、コリウール近郊のバニュルスに広がる段々畑のブドウ畑。
© OceanProd/ Adobe Stock - オクシタニー地方、コリウール近郊のバニュルスに広がる段々畑のブドウ畑。

26万ヘクタールのブドウ畑に87のアペラシオン、そのうち51がAOPを占めるオクシタニー。フランスの有機栽培ブドウ畑の36%がこの地域にあり、ブドウ畑そのものが南フランスの風景を形づくっています。

南西フランスのワインから、太陽の恵みをたっぷり受けたラングドック、ルシヨンのワインまで、その味わいは実に多彩。徒歩など環境負荷の少ない移動手段で楽しめるワインルートも充実しています。

バニュルスでは、ワイン生産者の案内で山の斜面に広がるブドウ畑を散策。エロー県では、ワインをテーマにしたハイキングコース「Œnorando®(エノランド)」が約20ルート整備され、個性的なワイナリー建築や展望スポットなどをめぐれます。

タルン県のガイヤックでは、ミニクルーズやコンサートとワインを組み合わせたアペリティフを。セヴェンヌ山地の麓では、農耕馬に引かれてのんびりとブドウ畑をめぐる体験もあります。

さらにユニークなのが、オクシタニーを代表する美しい修道院のひとつ、ヴァルマーニュ修道院の屋根の上で味わう、オーガニックのラングドックワイン。そしてジェール県には、フランスで唯一、歴史的建造物に指定されたブドウ畑があります。19世紀にヨーロッパのブドウ畑を壊滅的な危機に陥れた害虫フィロキセラを生き延びた、樹齢200年以上のブドウが今も残っています。

▶オクシタニーのワイン街道

コルシカ島のワイン街道 ― 島固有のブドウ品種に出会う

コルシカ島のワイン街道をめぐる旅。
© Jon Ingall/Adobe Stock - コルシカ島のワイン街道をめぐる旅。

シャカレッル(sciaccarellu)やヴェルメンティヌ(vermentinu)――耳慣れない名前ですが、いずれもコルシカを代表するブドウ品種です。コルシカのワイン造りの歴史は古く、紀元前4世紀のフォカイア人の時代にまでさかのぼります。

長期熟成タイプの赤ワインからロゼ、ミュスカ、白ワインまで、島のワインは実に多彩。その魅力を知るなら、海岸沿いを中心に広がる9つのAOCをたどりながら、「美の島」と呼ばれるコルシカを一周してみましょう。

コルシカ岬では、海を望む段々畑のブドウ畑を馬でめぐったり、夕暮れ時にアペリティフを楽しむハイキングへ。アジャクシオ周辺では高台のブドウ畑を、バスティア周辺では島のワインを学ぶテイスティングを楽しめます。

そして名高いワイン産地パトリモニオでは、赤ワイン用品種ニエルッキウ(niellucciu)が主役です。

旅の途中には、シャルキュトリやチーズなどコルシカならではの食材を味わい、情熱あふれるワイン生産者たちとの出会いも。ピアナのカランクやバヴェラの針峰群など、コルシカを代表する雄大な自然景観も待っています。

▶コルシカのワインをもっと知る

by Delorme Anne-Claire

Journaliste voyageuse. [email protected]

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