アルザスのクリスマスマーケット

魔法が息づく7つの村

アルザス・ロレーヌノウハウ&ショッピング文化・遺産村&田園地帯

Alena AV / Adobe Stock
© Alena AV / Adobe Stock

この記事は 0 分で読めます2025年12月9日に公開

グラン・テスト地方アルザスには、地元の人だけが知る小さなクリスマスマーケットが点在しています。職人の手仕事、金色に染まる路地、冬の日差しの中で交わされるやさしい笑顔、そして夜遅くまで家々を見守るイルミネーション。
ここでは、土地に根ざし、心にしみる“もうひとつのアルザス”に出会えます。

セレスタ:クリスマスツリーの“原点”に触れる町

Sélestat, France

B. Salmanski / ADT
© B. Salmanski / ADT

クリスマスツリーに関する最古の記録は1521年、ここセレスタで残されています。
この史実を大切に受け継ぐ町では、冬になると歴史地区がやわらかな光に包まれ、店先には時を旅するようなツリーの物語が飾られます。
サン=ジョルジュ教会では、装飾されたツリーが“宙に浮かぶ森”のように並び、訪れる人を静かに迎えます。伝統がそっと胸に響くひとときです。

ベルガイム:城壁に包まれた静かなクリスマス

Bergheim, France

Vincent Schneider / OTPRR 48
© Vincent Schneider / OTPRR 48

中世の城壁に守られたベルガイムでは、町の雰囲気そのままの落ち着いたマーケットが開かれます。
夕暮れどきには家々のファサードがランタンの光でほんのり照らされ、住民たちは“クレッシュ(キリスト降誕)巡り”の小道を歩きます。中庭、納屋、アーチの下を抜けるたびに、小さな奇跡のような風景が続きます。
ワイン生産者や陶芸家、語り部たちとの出会いも楽しみのひとつ。喧騒とは無縁の、穏やかな時間が流れます。

ブックスヴィラー:北アルザスにひそむ静かなぬくもり

Bouxwiller, France

E. Wilhelmy / Ville de Bouxwille
© E. Wilhelmy / Ville de Bouxwille

ハノウ地方の中心にあるブックスヴィラーは、12月の初めからそっと灯り始めます。
コロンバージュ(木骨造)の家並みに寄り添うように小さなシャレーが並び、石畳の路地にはやさしい音楽が流れ、オーブンからはブレデラの甘い香りが漂います。
地元の陶器や木彫り、アクセサリーが並ぶマーケットは、派手さよりも「素朴なあたたかさ」を大切にした空間。穏やかに受け継がれてきたクリスマスが息づく村です。

アルトキルシュ:サンドゴー地方に現れる“魔法の森”

Altkirch, France

Lois Moreno / ADT / ARTGE
© Lois Moreno / ADT / ARTGE

アルトキルシュでは、冬になると町に“魔法の森”が現れます。
巨木のような彫刻、幻想的なインスタレーション、伝説の生き物たち…。サンドゴー地方に伝わる物語が、光に彩られて息を吹き返します。
子どもたちは物語の小径を歩き、親たちは輝くモミの木の下で温かいワインを片手にひと休み。芸術・光・想像力が溶け合う、詩のような冬の時間が流れます。

ヒュンスパッハ:アウトル=フォレの端に広がる素朴なクリスマス

Hunspach, France

B. Salmanski / ADT
© B. Salmanski / ADT

「フランスの最も美しい村」に選ばれたヒュンスパッハ。
冬になると、雪のようにやわらかな白い光に包まれます。家々の窓が灯り、歌声があふれ、村の人々が一体となって昔ながらのクリスマスをよみがえらせます。
小径には地元の職人が並び、子どもたちの笑い声が響く、やさしい時間。気取らない、あたたかなマーケットです。

モルスハイム:歴史地区に広がる小さな冬景色

Molsheim, France

J. Kauffmann / OT Molsheim-Mutzig / ADT
© J. Kauffmann / OT Molsheim-Mutzig / ADT

工業地帯や近代的な通りから離れたモルスハイムの中心部は、12月の灯りとともに本来の姿を見せます。
ルネサンス様式の建物や古い路地を背景に、シャレーがぎゅっと並ぶマーケットは小さな舞台のよう。
香ばしいスパイス、湯気の立つワイン、軒下で聞こえる合唱──アルザスの“日常の中心”で営まれる、親しみのある冬の景色が広がります。職人の仕事や昔ながらのワークショップも楽しめる、穏やかな時間が流れる場所です。

クアツェンハイム:コシェルスベルクの入口にある、小さな宝石のような村

Quatzenheim, France

年に一度だけ、クアツェンハイムでは農家の中庭が「クリスマスの農園(Fermes de Noël)」として開放されます。
扉をくぐるたびに、キャンドル、織物、ジャム、手づくりの小物などが並び、温かな空気に包まれます。
子どもたちは納屋の間を駆け回り、笑い声が響く、家族的でやさしいひととき。木の香りとスパイスの香りに満ちた、昔のクリスマスを思わせる時間が流れます。

by Faustine François

好奇心旺盛でアクティブなフォスティーヌは、編集チームをまとめるのも、現場で人々にインタビューするのも大好き。旅こそが、彼女の原動力です!

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