【秋に訪れる南仏コート・ダジュールとプロヴァンスの魅力】 高山都さんインタビュー

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ニースのマセナ広場と高山都さん
© Tatsuro Yasui - ニースのマセナ広場と高山都さん

この記事は 0 分で読めます2025年2月17日に公開

フランス観光局では、フランスにゆかりのある方々や、フランスを訪れた方々に旅の感想を伺うインタビューを行っています。今回は、11月上旬に南フランスのニース、アンティーブ、コティニャックを巡られた高山都さんに、現地での感想や秋に訪れる南仏の魅力についてお話を伺いました。

France.fr : これまで高山さんは何度もフランスを訪れていらっしゃいますが、南フランスは今回が初めてとのこと。訪れる前と後で、印象に違いはありましたか?

行く前は「南仏=ヨーロッパのリゾート地」というイメージが強くありました。とりわけニースは、ヨーロッパの富裕層の集まる華やかな高級リゾート地という印象だったのですが、実際に訪れてみると、思ったより穏やかで心地よくて、パリにいる友人が「老後は南仏に住みたい」と話していた理由がよく分かりました。次回もし訪れる機会があれば、もっと長く滞在して現地の生活を楽しむ旅がしたいと思いました。

ニース海岸沿い遊歩道プロムナード・デ・ザングレにて
© Tatsuro Yasui - ニース海岸沿い遊歩道プロムナード・デ・ザングレにて
11月でもニースのビーチには日光浴をする人々の姿がある
© Tatsuro Yasui - 11月でもニースのビーチには日光浴をする人々の姿がある
ニースを散策する高山都さん
© Tatsuro Yasui - ニースを散策する高山都さん

France.fr : 「暮らすように旅する」のも素敵ですね。実際、今回の旅でも高山さんは普段からの趣味であるランニングを楽しまれていましたね。

ニースもアンティーブも、海沿いをどこまでも走っていけそうな気がして、気持ちが良かったです。特に、ニースは訪れたのがニース・カンヌマラソンの前々日だったこともあり、ランナーが多く、皆さん颯爽とカッコよく走っていました。私たちもつられて、ストロークが大きくなり、スピードが自然に上がってしまうほど。「来年はマラソンにも出たいね」なんて夫と走りながら話していました。

実は、いつも旅先ではよく歩いたり走ったりしていて、ニースでは初日に14キロ歩きました。

舗装された道路が整備された二ースの海岸沿いは、特にランナーに人気のランニングルート
© s4svisuals / adobe stock - 舗装された道路が整備された二ースの海岸沿いは、特にランナーに人気のランニングルート
早朝にランニングをする高山都さん
© Tatsuro Yasui - 早朝にランニングをする高山都さん

France.fr : そんなにたくさん歩いたのですね…!

自分の足で移動すると、街の様子をちょうどいいスピード感で知ることができるんです。車や電車での移動だと景色が流れてしまうけれど、歩いたり走ったりすることで、細かいところに気づけます。たとえば、「この道はきれいだな」とか、「後でこのお店に入ってみようかな」とか…そういった小さなこと一つ一つに意識が向けられます。

ニース旧市街は黄色やオレンジなどビタミンカラーの建物が立ち並ぶ
© Gerald Villena / adobe stock - ニース旧市街は黄色やオレンジなどビタミンカラーの建物が立ち並ぶ

また、郷土料理や美味しいものをいただくことも旅先での楽しみだと思うので、お腹を空かせるという意味でも体を動かすことは大事にしています。私たちはよく歩き、よく走っていたので、朝になれば健康的にお腹が空いて、お昼もディナーも楽しめたりと、バランスよくヘルシーな旅の楽しみ方ができました。

 

France.fr : ニース郊外のエズ村は最初から行きたい場所だったと伺いました。実際に訪れてみていかがでしたか?

「可愛い村」として有名なだけあって、エズ村は視界に入る景色がどこをとっても美しかったです。階段や坂を上まで登る価値は十分にありました。世界中から多くの人が訪れるのも納得でした。

地中海を見晴らすエズ村
© SCStock / adobe stock - 地中海を見晴らすエズ村

エズ村をイメージして、村の雰囲気に合いそうなワンピースを着て行ったら、ぴったりとハマって嬉しかったです。皆さんも、エズ村を訪れる際は、可愛らしい世界観を意識した装いをするとさらに気分が上がると思います。ただ、石畳の階段が多いので、スニーカーなど歩きやすい履物で行くことをおすすめします。

エズ村を散策する高山都さん
© Tatsuro Yasui - エズ村を散策する高山都さん

また、観光客が多いため、朝早く行くのがおすすめです。11月でもお花や緑がありましたが、ガイドの方によると夏には花が咲き乱れているとのことなので、次回は違う季節にも訪れてみたいです。

 

France.fr : 南フランスは多くの芸術家を魅了した地でもあります。現地で活動したマティスやピカソの美術館を訪れ、彼らの作品に触れた感想はいかがでしたか?

日本でもマティスやピカソの作品は見たことがありますが、南仏では彼らが実際に見ていた光景を目の当たりにしたことで、特別な体験になりました。

マティスが晩年を過ごしたニースでは、どこまでも青い海や、海から空へのグラデーションを前に、きっと彼はこの景色を表現したかったんだと想像できました。アンティーブのピカソ美術館でも、ピカソが愛した地中海を一望する眺めを目にして、彼の作品で印象的な青の表現の意味が自分の中で腑に落ちました。南仏の美しい光の中で自然を見渡していると、色が近くに感じられたのが印象的です。

マティスやピカソにお会いしたこともなく、同じ時代を生きているわけでもないけれど、彼らをちょっとだけ近くに感じ、彼らの後ろから彼らの見た世界を覗いているような気がしました。

アンティーブの海岸沿いに建つピカソ美術館は、ピカソがアトリエとして使っていた部屋も残る歴史的建造物
© Picturereflex / adobe stock - アンティーブの海岸沿いに建つピカソ美術館は、ピカソがアトリエとして使っていた部屋も残る歴史的建造物
マティスが晩年に過ごしたニースに建つ、マティス美術館
© Dbrnjhrj / adobe stock - マティスが晩年に過ごしたニースに建つ、マティス美術館

France.fr : アンティーブのハイキングコース「ティルポワルの小道 Sentier de Tirepoil」はいかがでしたか?

行きは海岸沿いのルート、帰りは山沿いの別荘が立ち並ぶエリアを通るルートで、往復で5キロくらいのコースでした。お天気が素晴らしかったので、太陽の光がキラキラと水面に反射して、もともと綺麗な南仏の海が下の方まで透けて見え、クラゲも泳いでいました。場所によって濃淡が違って見える海の青色がとても綺麗でした。

立派な別荘のすぐそばには飛び込めそうな海があり、水着の上にシャツを羽織っただけの服装のマダムがビーチサンダルでお散歩をしていたりと、まるで映画の中の世界に来たような感じがしました。

ハイキングコースの入り口で、ガイドのクレマンと高山都さん
© Tatsuro Yasui - ハイキングコースの入り口で、ガイドのクレマンと高山都さん
アンティーブの海ではSUPを楽しむ人々の姿が
© Tatsuro Yasui - アンティーブの海ではSUPを楽しむ人々の姿が
海岸沿いのハイキングを楽しむ高山都さん
© Tatsuro Yasui - 海岸沿いのハイキングを楽しむ高山都さん

France.fr : 旅の最後の目的地は、コティニャックでしたね。

コティニャックは、中世の面影を残したとても素敵な村でした。崖の中に建つお家や、オリーブオイルの圧搾機などがまるで映画のセットのように佇んでいて。しかも人が少ないので、まるでタイムスリップして物語の世界に迷い込んだような感覚でした。古くて美しいものが好きな人たちにはきっと刺さる雰囲気だと思います。

「フランスの最も美しい村」にも認定されているコティニャック
© Maxal Tamor / adobe stock - 「フランスの最も美しい村」にも認定されているコティニャック
Tatsuro Yasui
© Tatsuro Yasui
コティニャックの崖の中に建つ家
© Tatsuro Yasui - コティニャックの崖の中に建つ家

France.fr : コティニャックで印象に残った出来事はありましたか?

コティニャックは日本ではまだあまり知られていないので、ほとんど情報がなく、自分たちで歩いて村の様子を見て回っていたのですが、そんな中たまたま見つけた陶芸ブティックで素敵な出会いがありました。

なんとなく日本ぽさを感じる作品に惹かれて中に入ったら、ギャラリーの奥でニックという作家さんが陶芸をされていました。話を聞くと、イギリスからコティニャックに移住してきたそうで、以前は日本の益子にも住んでいたとのことです。こんな遠く離れた地で「益子」なんてワードが聞けることに驚きました。スーツケースのスペースは限られていましたが、彼の人柄や作品に惹かれ、器を購入しました。

コティニャックに来た日本人はそんなに多くないかもしれないし、作品を日本にもって帰る人も少ないかもしれないし、きっと彼は日本で器を使う人がいるなんて想像していなかったと思うんです。今、日本で私たちが彼の器を使っているということを伝えたいですね。それを見たら彼の中で作品のイメージがまた湧くかななんて思っています。

コティニャックで見つけた陶芸ブティックにて
© Tatsuro Yasui - コティニャックで見つけた陶芸ブティックにて
Tatsuro Yasui
© Tatsuro Yasui

France.fr : コティニャックのリゾートホテル「ホテル・ルー・カラン Hotel Lou Calen」はいかがでしたか?

ルー・カランは、スタッフの方もとても親切で素晴らしいホテルでした。敷地がとても広く、家庭菜園の畑、レストランやバーもあり、充実した滞在ができました。広くて緑豊かなお庭があったのですが、ここで結婚10年目のパーティーをしたら素敵だろうなと想像が膨らみました。

ホテル・ルー・カランの敷地内を散策する高山都さん
© Tatsuro Yasui - ホテル・ルー・カランの敷地内を散策する高山都さん
ホテル・ルー・カランのお部屋
© Tatsuro Yasui - ホテル・ルー・カランのお部屋

また、ホテルには様々なアクティビティが用意されていました。私たちは、その一つの「粘土のお面づくり体験」に参加したのですが、実は先生がフランス語しか通じなかったのです。先生が言っていることが分からず、見よう見まねで「こう?」と聞いたら「そうそう!」みたいな感じで進めました(笑)。もちろん最後まで話が通じなかったこともありましたが、とにかく明るくてエネルギッシュな先生で、こちらも恥ずかしさを感じることなくモノづくりに没頭した素敵な時間でした。

普段だったら、言葉が通じないと困るし、ネガティブなことと捉えてしまいますが、旅先の非日常の環境では、そういったハプニングも含めて、面白い体験として楽しめました。意思疎通にはとにかく「伝えたい」という気持ちとフィーリングが大事なんだなということを実感しました。

コティニャックで採れる鉄分を含む粘土質の土は、古くから陶器や瓦の素材として使われてきた
© Tatsuro Yasui - コティニャックで採れる鉄分を含む粘土質の土は、古くから陶器や瓦の素材として使われてきた
粘土のお面を作り終わり、先生とツーショット
© Tatsuro Yasui - 粘土のお面を作り終わり、先生とツーショット

France.fr : 南仏の食はいかがでしたか?

ニースでは、ニース郷土料理のラベル「キュイジーヌ・ニッサルド」取得のレストラン「Lu Fran Calin」での食事がとても美味しかったです。野菜をたくさん入ったグラタンや、牛肉の赤ワイン煮込みとニョッキの料理をいただきました。アンティーブとコティニャックでも、お気に入りのお店を見つけてそれぞれ2日連続で同じお店に行ったりと、現地の食を存分に堪能しました。

ニース郷土料理が堪能できる「Lu Franc Calin」
© Tatsuro Yasui - ニース郷土料理が堪能できる「Lu Franc Calin」
Tatsuro Yasui
© Tatsuro Yasui

南仏の料理には、カラフルな野菜がたくさん使われていて、また、バターを使ったこってりした料理よりも、オリーブオイルと塩コショウやレモンで軽めに調理された料理が多く、食べ疲れすることもなく、私たちの身体に合っていると感じました。

日本食が恋しくなると思って、お味噌汁やご飯を少しだけ持参していたのですが、必要ありませんでした。

 

France.fr : 今回は、秋が深まる11月に南仏旅行をしていただきました。この旅をどのような方にお勧めしたいと感じましたか?

あらゆる方に、良い旅だったとおすすめしています(笑)

11月はオフシーズンなので、バカンスシーズンの夏に比べるとずっと人が少ない時期でした。だからこそ、観光客が多い時にはできないような、地元の人との会話を楽しめたし、街や村の歴史的な建物や背景をゆっくり味わいながら知ることができたので、そういった体験をしたい方には特にお勧めしたいです。

Tatsuro Yasui
© Tatsuro Yasui

高山さん、貴重なお話をありがとうございました!高山都さんのフランス旅行の様子は、インスタグラム(@miyare38)からもご覧いただけます。


高山都(たかやま みやこ)

1982年生まれ。大阪府出身。モデル、執筆業、商品のディレクションなど幅広く活動し、丁寧な生き方を発信するInstagramも人気。趣味は料理、ランニング、器集め、旅行、和装

 

 

 

-協力-

by 編集部 France.fr

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