【添乗員が見たフランス】ルーヴル美術館貸切ツアー

連載「添乗員が見たフランス」では、様々な旅行会社の添乗員がフランスの観光地で実際に体験した、思い出深いエピソードを紹介します。記念すべき第1回は、株式会社エイチ・アイ・エスの添乗員による、ルーヴル美術館貸切ツアーでのエピソードです。

私の26年という長い添乗員人生の中で最も多く訪れた美術館はルーヴル美術館である。いや、私の人生で、最も多く訪れた美術館と言い換えることもできる。世界三大美術館のひとつであり、世界で最も有名な美術館なのだから、パリに来たツーリストは挙ってやって来るのは当たり前で、自分もその一人なのだが、人間は自分勝手なもので、来館者の多さを嘆くのである。
特に夏などは人が多く頭がボーとしてしまい、名作観賞どころではないこともある。だからと言って、年間1000万人が訪れるという、ルーヴル美術館ほどの世界の至宝を、貸し切りにしたい、貸し切れるなどと、大それたことを誰が思うだろうか。貸し切りにできたとしても、それはアラブの石油王か、ハリウッド・スターの話で、皆が自分には無関係と思っていたであろう。

エイチ・アイ・エスの特別企画として、ルーヴル貸し切りが発表された時は誰もが耳を疑い、「そんなことできるの?」であった。それは、閉館後の静寂に包まれた館内を、なんとも贅沢に名画、名作を間近で堪能できる夢の企画である。

私にもそのチャンスが訪れた時のことを憶えている。人のいないルーヴルが想像も出来ず、通い慣れた、地下入口の「カルーゼル・デュ・ルーヴル入口」ではなく、「ガラスのピラミッド中央入口」で、全てのビジターが退館するのを半信半疑で待った。道行く人々が閉館後に列を作る日本人を訝しげに眺める視線が気になった。

ガイドさんが現れ、ルーヴルの内部へと降りて行き、やっと現実と確信したのだ。
閉館後のルーヴルは自分が知っているルーヴルであってそうではない気がした。理由はすぐに解った、今までは人込みをかき分け作品を見ることに必死で、かつて歴代フランス王の王宮として使用されていた宮殿自体の重厚さに気が付かなかったのだ、名画、名作と共に宮殿の持つ歴史の重みに圧倒され静寂の中、自分が絵画に見られているような錯覚さえ覚えた。

貸し切り後、ホテルへ戻るバスの中で、ルーヴル美術館初来訪だったお客様に、すでにホテルに到着したことも気が付かず、ルーヴル美術館貸し切りがどれだけすごいことかを力説し、お客様の「あの、着いてますよ」に赤面したことを思い出します。

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語ってくださったのはこの方

中田啓司さん
添乗員歴26年、渡航国数は143か国。これまでに460の世界遺産を訪れている。世界遺産アカデミー公認講師、添乗能力資格1級、J.S.Aワインエキスパート(日本ソムリエ協会)をはじめとする資格を持ち、2017年にはツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤー グランプリを受賞。

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